2018年09月26日 (水)野菜高騰の中 夏野菜が大豊作!?


※2018年8月15日にNHK News Up に掲載されました。

「東京の野菜、高くないですか?」 先月、四国・香川県から東京に異動してきた私。驚きの1つが家族で入ったスーパーの野菜の価格です。1袋300円近いキュウリやナス。その値段に目を疑いました。ところがことしは記録的な猛暑の影響で東京だけでなく、全国的に野菜の価格が高騰しているようです。とにかく野菜が大好きな私にとっては一大事です。そんな中、驚くべきSNSを見つけました。夏野菜が大豊作だというじゃないですか!? 一体どういうことなのか取材してみました。

ネットワーク報道部記者 目見田健・後藤岳彦

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<野菜高騰>
「やっぱり東京は怖い…」 1袋300円近くするナスやキュウリを前に思わず妻にもらしてしまったひと言。ところが、調べてみると、この夏の野菜は東京だけでなく全国的に高騰しているようです。

yas180815.2.jpg農林水産省がまとめている全国の主な卸売市場の野菜価格はことし8月11日は1キロ当たり279円で去年の同じ日より70円高くなっています。

品目別で見ると、1キロ当たりでピーマンが231円、キュウリが169円、ナスが54円も高くなっていました。

yas180815.3.jpgではいったい、いつになったら価格が落ち着くのか? 農林水産省の担当者に聞いてみると、「徐々に価格が落ち着いている品目もあるがこのまま暑い日が続くと野菜によっては高値が解消されない可能性もある」という回答でした。


<「野菜高い」でも…>
がっかりする私がSNSで見つけたのは目を疑うような書き込み。

「野菜が豊作で…今日もけんちん汁。仕上げにトマトを入れるのが決め手です」
「夏野菜が豊作なので毎日レシピに悩む嬉しい悲鳴です」
「トマトは例年の7割増ぐらいの大豊作」
「ズッキーニとキュウリとバジルと茄子とトマトとブルーベリーがたっぷり収穫できました。が!多過ぎて!食べきれない!!」

夏野菜が大豊作で食べきれないという書き込みが数多く投稿されているのです。

この野菜が高い時期に夏野菜が大豊作で食べきれない!?

一体どういうことなのか、さらに調べてみると、実はこれ、「家庭菜園」でした。


<家庭菜園>
実際に家庭菜園について書き込みをしていた1人に話を聞いてみました。

福島県須賀川市に住む女性は夫と子どもの3人家族。4~5年ほど前から家庭菜園を始めたということです。現在、家庭菜園で栽培しているのは、カボチャ2種類、ナスとトマトは3種類ずつ、ゴーヤーやほうれんそう、にんじんのほか、枝豆やオクラ、空心菜などさまざまです。

yas180815.4.jpg野菜価格の高騰に加え、土いじりをして、自分で収穫した野菜を食べる楽しみも重なって、栽培する野菜を増やしてきたということです。この夏は夏野菜が大豊作で家庭菜園でとれた野菜で料理のほとんどを賄うことができるほどだったといいます。

yas180815.5.jpg女性は「家庭菜園はことしの夏、例年に比べて豊作でした。特にカボチャやスイカはとても甘くなりました」と話していました。


<家庭菜園がブームに>
どうやら今、この女性のように自宅で野菜を栽培する人が増えているようです。

全国で1100店舗余り展開する大手ホームセンターでは、ことしの夏は、キュウリやトマト、ナスなどの野菜の苗が飛ぶように売れているといいます。

価格は1つ98円から200円ほどで苗が入荷するたびにすぐに完売になるほどの人気ぶりだったそうです。しかも購入者は20代の若者から70代くらいまでと幅広い世代。

ホームセンターの担当者は「ことしは猛暑の影響で野菜の値段が高いのでそれなら自分で作ろうと考えた人たちが多いのでは」と話しています。

しかし、そんなに簡単に野菜って栽培できるのでしょうか?
「土をプランターに入れたり、肥料をあげたりする準備もあるし、栽培も難しそう。家庭菜園って何かと大変じゃないですか?」と質問したところ、「そんなことないですよ」と担当者。

実は、最近、販売されている野菜の苗は容器の中に土も肥料もすべて入っていて水をあげるだけでトマトなどがベランダで栽培できるというもの。価格も1000円ほどで幅広い世代に人気を集めているそうです。

バジルなどハーブをベランダで栽培している若い人たちにとっては野菜の栽培にも挑戦しやすく、家庭菜園人気を後押ししているようです。

猛暑だからしかたないと私は半ば諦めていた野菜の高騰。取材をしてみると趣味を楽しみながら少しでも家計の負担を軽くしてこの夏の野菜の高騰を乗り切ろうとするみなさんの努力を知ることができました。

私も野菜の家庭菜園にチャレンジしてみようと思っています。

投稿者:目見田健 | 投稿時間:10時42分

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