2013年01月01日 (火)どう防ぐ?餅の窒息事故


新しい年を迎えました。お正月といえば、欠かせないのがお餅ではないでしょうか?その一方でこの時期に相次ぐのが餅をのどに詰まらせる事故です。東京消防庁によりますと、平成23年までの5年間に604人が救急搬送され、このうち半数以上が1月と12月に集中していたということです。また、およそ9割が65歳以上のお年寄りで、死に至ることもあるといいます。専門家によると、お年寄りはかむ力や飲み込む力が弱いため、のどに餅がくっついて窒息するケースがあるといいます。餅による窒息事故をどう防げば良いのでしょうか。

20130101moti-1tamago.jpg
 

東京・豊島区の特別養護老人ホームでは、ある特殊な餅を使うことで事故を防ごうとしています。一見ソーセージのようですが、これがその餅です。


20130101moti-2tamago.jpg長野県の製薬メーカーが高齢者向けに開発したもので、うるち米を主な原料にしています。もち米で作られた市販の切り餅とこの商品をおよそ1分間ゆでてみました。すると、「粘り気」に違いがみられました。白の切り餅は粘り気が強く、くっついてなかなか離れません。

20130101moti-5tamago.jpg一方、赤の「うるち米の餅」はほとんど粘り気がありません。メーカーによりますと、市販の切り餅に比べてくっつきやすさが半分ほどだということです。

20130101moti-6tamago.jpgこの老人ホームでは、正月を前におやつにお汁粉を出しました。この老人ホームでは、窒息事故の危険があるため餅を出していませんでしたが、今はこの商品でお年寄りに喜ばれているということです。

20130101moti-8tamago.jpg管理栄養士の田丸瑞穂さんは「お年寄りは餅が大好きですがとても危険なので餅に近いものを何か工夫して出したいという思いがあります。窒息事故を起こすわけにはいかないので注意していきたいと思っています」と話していました。

20130101moti-9tamago.jpgでは、普通の餅を安全に食べるにはどうすれば良いのでしょうか。窒息事故に詳しい昭和大学歯学部の向井美惠教授に聞きました。
カギは「(口に)少なく入れて多くかむ」ということです。

20130101moti-10tamago.jpgポイントを細かくみていきましょう。
【ポイント①】小さく薄く切り、少しずつ口に入れる。
前歯でかみ切りやすいように、薄くて細長くするといいということです。向井教授は市販の切り餅の厚さを半分にしました。

20130101moti-12tamago.jpg
【ポイント②】30回以上、あるいは飲み込みたくなってからあと5回はかむ。
よくかんで唾液と混ぜ合わせ、餅をどろどろにすることで詰まらせる危険が少なくなるといいます。
【ポイント③】飲み込む時は「餅を飲み込むぞ」と意識して飲み込む。
【ポイント④】唾液が出にくく口の中が乾く人はお茶などで湿らせてから食べる。
乾いていると餅がくっついてしまうからです。この時に注意することは、お茶などを多く飲まないこと。水分と一緒に、まだかみ足りない餅を飲み込んでしまうからということです。
【ポイント⑤】1人では食べない。
まわりの人が見守ることが大切ということです。

一方で、やってはいけない行為もあると向井教授は指摘します。驚かせたり、しゃべりながら食べたりすると、気道に餅が入り、窒息する恐れがあるといいます。向井教授は「急に名前を呼ばれてハッとなったり、おしゃべりをした後のハッと息継ぎをしたりする時が一番危ないので、『おしゃべりが終わってから食べよう』というふうに切り替えをしていただくと事故は少なくなると思います」と話していました。また、豊島区の特別養護老人ームで使っていたような高齢者向けの特殊な餅についても、病状や飲み込む力などによって食べられない人もいますから、医師や歯科医師に相談することが大切だと話していました。

20130101moti-14tamago.jpg
注意して食べたとしても、万が一、餅をのどに詰まらせたら、どうすれば良いのでしょうか。救急救命士に聞きました。餅を詰まらせた人を見かけたら、大声で助けを呼び、まわりの人に119番通報とAEDの搬送を依頼し、直ちに餅の除去を始めます。呼びかけて反応のある人に対しては、まず「背部叩打法」という方法を行うということです。これは、年齢や性別に関係なく実施できるということです。以下は、詰まらせた人が座っている場合です。
① 詰まらせた人の後ろから片手を脇の下に入れて下あごを支えて突き出します。

20130101moti-16tamago.jpg② もう片方の手の付け根で、肩甲骨と肩甲骨の間を4,5回強く叩きます。


20130101moti18tamago.jpg
こうした応急手当は経験がなくても恐れずに即座に対応することが命を救うことにつながるといいます。

20130101moti19tamago.jpg東京防災救急協会の救急救命士は「適切な処置を行わない場合には心肺停止に陥ってしまうので、速やかに異物除去の処置を行うことが大事です。全く手を出さなければ、どんどん死に向かって進んでいってしまうので、必ず必要な手当を行ってあげてください。背部叩打法は誰にでも簡単にできる行為です」と話していました。

20130101moti20tamago.jpg
こうした応急手当の方法は、東京消防庁などのホームページに紹介されています。http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201212/mochi/index.html

お正月、誰もが餅を食べる機会が多くなるでしょう。窒息すると死に至る恐れもあるので、向井教授が指摘しているポイントを守って注意して食べることが大切ですし、応急手当の方法を覚えておくことも必要だと思います。おいしい餅を安全に味わって、餅の窒息事故がなくなればと強く願っています。

      

投稿者:中村織恵 | 投稿時間:06時00分

トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント

明けましておめでとうございます。
お餅の件、とても参考になります。お正月に保存食のお餅を無理に食べなくてもよくなってきたのはありがたいです。もちろん、風習として、餅をついたりお供えにしたりは続けていきます。
とはいえ、私もお餅は大好きですし、おいしい。お餅は入れ歯や差し歯にからんでしまって、のどにつまると聞きます。入れ歯・差し歯対策も将来、考えないといけません。高齢者の方の面倒をみるときも気をつけていきます。お雑煮やお汁粉に、白玉を代用しようかなとも考えています。別件ですが、AEDは、そんなに日常的に役に立っていますか?先日心臓マッサージと人工呼吸とAEDの記事を読みましたが、私は心臓マッサージの心得がありますが、AEDよりも酸素マスクの備えがあると助かると思っています。なぜAEDのように利用度よりもメンテナンス料がかかる機器が、東京ではコンビニにも郵便局にも。地方にはスポーツ施設になかったりする矛盾。政府でこのように決めているのも滑稽ですね。

投稿日時:2013年01月01日 16時20分 | えと

コメントの投稿

ページの一番上へ▲