2012年12月01日 (土)どうする?マンションの老朽化


いま、問題になっている「マンションの老朽化」。日本にマンションが作られるようになっておよそ50年経ちます。築40年を超える分譲マンションは、首都圏を中心に全国におよそ6700棟あります。こうしたマンションの中には、老朽化が進んでも必要な工事が行われていないものもあり、大地震が起きた際倒壊する恐れも指摘されています。マンション老朽化の実態と対策の動きです。
20121201roukyuuka-1.jpg

 

東京都内にある築43年のマンションです。ベランダの柵はさび、建物の至る所にひびがあります。
20121201roukyuuka-16.jpg
老朽化によって、住民の生活にも影響が出ています。水道の蛇口をひねると、給水管の修繕工事が長年行われず、水が赤みを帯びていました。このマンションに住んでいる男性は、「生活できない。飲み水や食べ物に使う水は、全部買ってきたペットボトルの水で、月に何十本も使います。風呂の水も時々赤色になるので困ります」と、話していました。
20121201roukyuuka-3.jpg老朽化したマンションでは、事故も起きています。大通りに面した築45年のマンションではことし8月、10階の軒下から鉄筋コンクリートの塊が突然、落下しました。
20121201roukyuuka-5.jpg修繕工事が行われず、コンクリートが劣化し事故が起きたのです。もし通行人にあたっていれば、命の危険もありました。マンションの修繕工事はどうなっているのか。東京都は、大規模な修繕工事を定期的に行うよう呼びかけています。しかし、調査してみると、築40年を越える分譲マンションのおよそ25%が、1度も工事を行っていませんでした。東京都のマンション課では、「大規模修繕工事によって適切なメンテナンスをおこなわないと、コンクリートの劣化が進みます。それによってコンクリート強度の低下が生じたり、外壁の剥落等がおきます。大規模修繕工事をしていないマンションがまだ4分の1もあるというのは大変大きな問題だと思います」と、話していました。
20121201roukyuuka-6.jpgなぜ、修繕工事が進まないのか。およそ6割の世帯がマンションで暮らす東京・豊島区では、2年前にマンション担当課を設置して対策に乗り出しています。職員が修繕工事が進まない理由を調査するため、区内のマンションを訪れて居住者に声をかけると、「管理組合は無ありません」という答えが返ってきていました。調査によって見えてきたもの。それは、管理組合が機能していない実態でした。
20121201roukyuuka-7.jpgマンションは、長い年月を経る中で、部屋が別の人に転売されたり相続されたりします。新しい所有者の中には、マンションに住まず部屋を「賃貸」に出す人が少なくありません。自分がマンションで暮らしていないため管理に対する関心が薄れ、管理組合が機能しなくなるのです。
20121201roukyuuka-8.jpg豊島区のマンション担当課の園田香次課長は、「賃貸化が進むと家賃を取ることが主になってしまうので、そこに住んでいない所有者は、日常の管理にどうしても無関心になっていくと思います」と話していました。
20121201roukyuuka-9.jpgどうすれば老朽化したマンションの修繕工事ができるのか。懸案だった修繕工事を実現したマンションがあります。都内にある築41年のマンションです。このマンションでは、老朽化が進む中で、以前から修繕工事を求める声が上がっていました。管理組合の副理事長は、「大きなひびがはいっているので、居住者の皆さんも怖いと言っています」と、話していました。しかし、部屋を賃貸に出し、マンションに住んでいない所有者からは、「まだ修理の必要はない」という消極的な意見も出ていたといいます。
20121201roukyuuka-10.jpgなんとか工事ができないか。相談したのが、マンションの維持運営の専門家、マンション管理士の瀬下義浩さんです。
20121201roukyuuka-11.jpgまず進めたのはマンションの維持費の見直しでした。これまでマンションでは、給水設備やエレベーターの管理を長年同じ業者に委託していました。これらの業者の見直しなどで年間200万円以上、維持費を削減できたのです。
20121201roukyuuka-12.jpg削減などによってねん出した資金を使い、警備会社と契約しオートロックを設置し、セキュリティーを強化して資産価値を向上させる計画を立てました。資産価値が高まれば家賃収入が上がる。さらに、修繕工事を行えば、その収入を将来に渡って安定して得ることができる。所有者たちにそう訴えたのです。
20121201roukyuuka-13.jpgこれに対し、マンションに住んでいない所有者の1人は、「マンションの内容が良くなれば、少しでも高く貸す、あるいは売れると思うので、外部の所有者にとって付加価値は非常に大きいと思います」と、評価していました。
20121201roukyuuka-14.jpg結局、所有者の賛同が得られ、11月にマンションは修繕工事にこぎ着けることができました。マンション管理士の瀬下さんは、「資産価値を落とさないような提案をすると、マンションに住んでいない外部の所有者の方たちも興味を持って積極的に参加してくれます。まずはこれだけ改革します、これだけ価値観を引き上げましょうというところから理解を求めて、理解していただくと、次のステップに行くことが出来ます」と、話していました。
20121201roukyuuka-15.jpg築40年を越えるマンションは、10年後には全国で3万5千棟を越えるとみられています。しかし、現在の法律では、マンションの老朽化が進んでも、強制的に修繕工事を進めさせることはできません。いま、外部の力を借りてマンションを再生させるなど、さまざまな対策が求められており、老朽化したマンションを再生するためにマンション管理士を活用する方法は、自治体も注目し、管理士の派遣に補助を出すところも出てきています。また、東京・豊島区では、マンションに長期の修繕計画の作成を義務付ける条例をつくろうと、独自の取り組みを始めています。  

投稿者:天間暁子 | 投稿時間:06時00分

トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント

マンション販売は全ての販売会社と
言ってよい程に
マイホーム希望者に目隠しをした
情報しか与えていない
管理費、修繕積立金等々は
パンフレット記載金額の数倍から十倍が
必要になるはずなのにオブラートに包んだような
話しかしない!!
特に本体部分は元より屋外立体駐車施設の改修に
多大な費用が掛かる事を殆どの方は知らない!!
問題発生時に国や県等の公共機関を頼るのでは無く
もっと建築主、販売会社、物件住民に対し
法的義務を負わせるべきだと思います。

投稿日時:2012年12月01日 10時41分 | masa

マンション管理士に頼るほかないような気がします。管理士の資質を向上させ、一方,管理士に過大な責任を求めない制度も必要と思います。管理士がOKを出したマンションが万一地震で倒壊したら、管理士に過大な責任を負わせるような制度では、制度が瓦解するでしょう。と言っても、余りずさんな案でも制度はだめになるでしょう。適切な責任の取り方の決定が重要でしょう。

投稿日時:2012年12月01日 15時00分 | うるさいおじーさん

宮城県の萩原です。
天間さんには、震災時にいろいろお世話になりました。マンションの問題は、今後ますます社会的な問題となりますので、今後もマンションの問題を継続的に取り上げてください。

投稿日時:2012年12月01日 15時10分 | 萩原 孝次

コメントの投稿

ページの一番上へ▲