2012年09月07日 (金)災害時の食の備え


この時期、災害に備えて備蓄する食品を見直されている方も多いのではないでしょうか。実は、東日本大震災では備蓄する食材についても課題が浮かび上がりました。同じ食料ばかりが続き、体調を崩す人も多かったようです。

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 仙台市の大学院生、鈴木由佳さんは、宮城県内にある実家で震災にあい、物資の供給が途絶えました。買い出しに行っても長蛇の列で5時間並んでも買えるのは、菓子パンやカップ麺数個でした。自宅にあった米や菓子パンを食べ続ける日が2週間ほど続き、体調を崩したと言います。

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「野菜が少なかったので便秘になって肌荒れもひどく、寝不足もあったので基本的にずっとだるい状態でした」と鈴木さんは当時のことを話してくれました。震災の時の食事がどのようなものであったのか。研究を進めている宮城大学の石川伸一准教授は、被災した400人以上の学生から当時の食事や体の状態についてレポートを集めました。その結果、同じ食べ物ばかりで食欲がわかなくなり、栄養も足りずに体調を崩したケースが多いことがわかってきました。

20120904_3.jpg石川准教授は、今後の備蓄する食材について「実際、食料がなかなか届かない。食料が届くまでに1週間とか10日かかったところもあったので、その辺りまで見据えた食料であったり備蓄を考える必要がある」と話していました。震災で精神的に大きなストレスがかかる中、普段食べ慣れていない食事が続くと、それが新たなストレスを引き起こします。そこで、石川准教授は備蓄する食料は栄養も味も良いものを選ぶことが重要で、身近なスーパーにも備蓄に適したそうした食料があると言います。

kanzume.jpgそのひとつが肉や魚、豆の缶詰。タンパク質を補い、免疫力が低下することを防ぐことにつながります。石川准教授は、「震災や災害で流通がストップすると、どうしても肉、魚、卵、それに乳製品などタンパク源となる食料が入ってこないので、それを補えるのが缶詰」と指摘しています。

dry.jpgさらに、ビタミンやミネラルをとることができるのがドライフルーツです。例えばプルーンは食物繊維も豊富で便秘を防ぐ効果があります。また、災害時にはカップ麺など塩分が高めの食事も多くなりがちですが、プルーンにはカリウムが多く含まれ、余分な塩分を排出する働きもあるといいます。
そして、石川准教授が身をもって必要性を感じたのは、うまみのあるスープです。大地震から2日目に妻と2人で一杯のスープを分け合いました。スープにはうまみ成分のグルタミン酸が含まれ、あたたかさとうまみが張り詰めていた気持ちを落ち着かせてくれたそうです。
「チタンの鍋で妻と2人でスープを分け合って食べた。災害時の食べ物は絶対おいしくないといけないとその時感じました」と、当時を振り返っていました。
ふだんの食事に使いながら災害にも備えることがポイントですが、災害時にどうしても不足するのが備蓄が難しい”野菜”です。実は、その野菜を備蓄する方法として注目されているのが野菜の天日干しです。

yasai.jpg薄くスライスした野菜を湿気を避けながら、3日程度干してカラカラに乾燥させるだけ。神奈川県葉山町の菊池美香さんは、にんじんやゴーヤーなど様々な野菜を干して乾燥させて保存しています。中には半年以上保存できるものもあります。野菜の味が凝縮されていて水で戻して普段の料理にも使えます。震災では電気やガスが止まる中、以前から作っていたかぼちゃやにんじんなどの干し野菜を食べてしのぎました。菊池さんは、「防災について以前は考えたことなかったけれど、震災後は非常食として考えるようになりました。干し野菜があれば少しの水、少しの調味料、少しの電気ガス、短い調理時間でできるのですごく役に立つ」と話していました。

実際に、仙台市の料理研究家、堀桃さんは、地震の後、食料がなかなか手に入らない中、干し野菜を使って 食欲がわくようなさまざまな料理を作り続けました。使ったのは大根葉やレンコンの干し野菜。たまたま残っていたじゃがいもをすりおろして、干し野菜を混ぜていきました。形を整え、コンロで両面を焼くと、栄養価の高い干し野菜とじゃがいものお焼きの完成です。

oyaki.jpg水にさらさなくても、混ぜているうちにじゃがいものに含まれる水分で戻るため、貴重な水は一滴も使っていません。

tuna.jpg他にも醤油にさらして戻した干しシイタケと、ツナの缶詰を油を切らずに混ぜれば、水を使わずにサラダを作ることもできます。作り置きをしていた干し野菜が役立ち、堀さんは1か月間、食料を買わずに過ごすことができました。

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「備えあれば憂いなしで、私は乾物があったおかげで命をつなげました。ちょこちょこと自分の好きな野菜を干していれば将来災害があった時にとても役立つと思います」と話していました。
普段から食事に使い、なくなりかけたらまた買ったり、作ったりしてストックを切らさない。この繰り返しで災害に備えることがポイントです。 

 

投稿者:村石多佳子 | 投稿時間:06時00分

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