2020年01月30日 (木)オトナもうらやむ給食


※2019年11月1日にNHK News Up に掲載されました。

夢中になった絵本や物語に登場するごちそうを味わえたら…。

そんなことを考えたことはありませんか?

例えば「給食番長のカレーライス」に「タンダの山菜鍋」、それに「ゆうすげむらのふろふき大根」。

これ全部、小学校の給食メニューなんです。想像をかきたてられる給食の世界、ちょっとのぞいてみました。

ネットワーク報道部記者 和田麻子・ 大石理恵

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絵本の料理、再現します

ことしから、絵本に出てくる料理を給食のメニューで再現している東京・練馬区の上石神井北小学校。

先月、12日間の“読書旬間”の初日にふるまったのは、子どもたちの大好きなカレーライスでした。

このカレーライスが登場するのは、絵本作家、よしながこうたくさんが描いた「給食番長」です。

otona.191101.2.jpg物語の舞台は、ある小学校のクラス。主人公の番長は、早く遊ぶため、クラスメイトに給食を残すようそそのかします。

悲しんだのは、給食のおばちゃんたち。
悲しみに暮れて、給食づくりをボイコットします。

番長たちは大慌て。
自分たちで給食を作ったもののまずくて、とても食べられたものではありません。

悲しい思いをした番長たちは、給食のおばちゃんの気持ちをやっと理解し、給食を残さないことを誓って物語は終わります。

番長のカレーライス

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物語の中で、番長が作ったのが「カレーライスとひじきのサラダ」でした。

小学校で給食の献立を作る管理栄養士の石黒百萌さん(26)は、絵本で番長がカレーライスに果物や魚を入れた調理方法を忠実に再現。

otona.191101.4.jpg工夫を重ねてりんごとカツオからだしをとるなど、完成までにおよそ1か月かけた力作となりました。


給食の前に、本を読んでいた子どもたちは料理を見て大喜び。ふだんは残りがちなひじきがこの日は、ほとんど残らなかったそうです。

また、給食の時間に合わせて図書館の管理員が教室を回って絵本の紹介をすると、本を読んだことのない子どもたちからは、「早く読みたい」という声が上がったといいます。

otona.191101.5.jpg“読書旬間”の最終日には、長年親しまれている絵本作家のかこさとし(加古里子)さんが描いた「だるまちゃんとてんぐちゃん」に登場するずんだ餅など、期間中、合わせて3回、再現に挑戦したといいます。

otona.191101.6.jpg相当な手間がかかることがうかがえる、この給食。
今後も続けていく予定ですか?ーー

そう尋ねると、石黒さんは笑いながらこう答えてくれました。

「私自身が幼い時にあまり本を読まなかった反省があって、子どもたちには、たくさんの本を読んでほしいんです。『残さないで』といくら言っても聞いてもらえませんが、本に出てくる料理であれば、何よりも残さず食べてくれる思わぬ効果があることにも気付きました。もちろん手間はかかりますが、今後も続けていきたいです」

ネット上では

各地の小学校で行われるこうした取り組みに、ネット上では好意的な受け止めが広がっています。

「物語に出てくるごはんって本当に美味しそうだよね!想像力をかきたてられるごはん、すてきな給食だなあ」

「こまったさんのグラタン、わかったさんのマドレーヌ、このシリーズが大好きでした。給食をきっかけに読書が好きになるといいですね」

「『山岡士郎の究極の給食』と『海原雄山の至高の給食』の時に呼んで!」

「食の大切さ、好き嫌いへの対処、文学への誘導、道徳のすべてがそろったすばらしい教育ですね。とはいえ、献立つくる方々は大変そう(笑)」

大人も楽しい再現ごはん

お話に登場する料理を再現する動きは、子どもたちの給食だけにとどまりません。

otona.191101.7.jpg「美味しんぼ」に登場する中国風フライドチキン。

otona.191101.8.jpg「孤独のグルメ」に出てくる、いわしと大根のカレーライス。ここ数年、料理をテーマにした漫画が人気を集める中で注目されているのがこうした漫画のごはんを再現する動きです。

上で紹介したメニューを再現し、ブログに掲載しているのが東京都に暮らす会社員、梅本ゆうこさんです。

otona.191101.9.jpg想像が現実になるおもしろさ
これまでに500種類の再現料理を紹介してきた梅本さん。

再現を始めてから、ルーティンワークになっていた日々の料理がエンターテインメントに変わったそうです。

「漫画のごはんは、プラモデルのように想像するしかなかったものが現実になるおもしろさがあるんです」(梅本さん)

otona.191101.10.jpg人気漫画「凪のお暇」で主人公が作る「フライパンまるごとちぎりパン」を再現

ただのふろふき大根じゃない

給食で物語のメニューを再現する動きは梅本さんもネットでチェックして、関心を持っていたそうです。

「例えばふろふき大根など渋めのメニューが普通に給食で出てくると子どもたちの反応はイマイチかもしれませんが、『あのお話に出てきたふろふき大根』となると興味を持って食べられるんじゃないでしょうか。子どもたちにとっては非日常を味わえるエンターテインメントになると思います」

そのうえで、こんな提案もしてくれました。

「私が子どもの頃は国語の教科書の『ちいちゃんのかげおくり』に出てくる『ほしいい』を食べてみたいと思っていました。教科書と給食、さらには家庭科の実習なんかもリンクさせたらさらにおもしろくなるかもしれませんね」

2次元の世界から飛び出した「ものがたり給食」。
そこには憧れの味を口にできるワクワク感と作り手のぬくもりがありました。

子どもたちの「食べてみたい」「読んでみたい」が、さらに広がっていけばいいと思います。

投稿者:和田麻子 | 投稿時間:15時15分

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