2018年04月24日 (火)日本初児童書専門店 メルヘンハウスが残したもの


※2018年3月18日におはよう日本で放送されました。

真剣な表情で本を読みふける男の子。
「おもしろい。」
nih180318.1.jpg思わず笑みがこぼれる女の子。
小さな子どもたちを夢中にさせる、こちらの本屋さん。

nih180318.2.jpg45年前、名古屋市で創業した、日本初の児童書専門店「メルヘンハウス」です。
今月(3月)末、惜しまれながら、その歴史に幕を下ろすことになりました。

nih180318.3.jpg「こんな絵本と児童書の専門店は、なかなかない。家族みんなで残念がっています。」

「そういう場所があってくれただけで、本当にありがたい。」

二宮
「今、街の中から、本屋が減っているんです。

nih180318.4.jpg全国の書店の数、2万店以上あった2000年に比べて、40%以上も減っています。」

和久田
「その背景の1つが、ネット書店の普及です。長年、根強く人気を集めてきたメルヘンハウスも、ついに閉店を決めました。日本初の児童書専門店は、私たちに何を残してくれたんでしょうか。」



<メルヘンハウス 本の魅力 伝え続けて>

nih180318.5.jpg外壁に描かれた動物の絵。
日本初の児童書専門店、メルヘンハウスです。
経営が厳しい中でも、雑誌やマンガなど売れ筋は置かず、絵本などの児童書のみにこだわってきました。
その数、3万冊。

nih180318.6.jpg子どもたちが手に取りやすいよう、本は子どもの目の高さに合わせ、表紙全体が見えるように並べられています。

nih180318.7.jpg店のスタッフは、絵本のいわば“コンシェルジュ”。
子どもの年齢や興味を聞いて、一人ひとりに合った本を提案します。

nih180318.8.jpg客 「車とか電車とか(好き)。」

スタッフ 「何歳?」
客 「今、1歳です。」

nih180318.9.jpgスタッフ「電車。」

客「電車好きだもんね、これにする?」
スタッフ「読んでみてください。」

nih180318.10.jpg「ここだったら、昔からずっと読み伝えられている本とか、いいものを、どれ選んでも大丈夫っていう安心感がある。」


nih180318.11.jpg創業者の三輪哲さん、74歳です。

nih180318.12.jpg毎週末、開いている「おはなし会」。
創業当時から続けてきました。

メルヘンハウス代表 三輪哲さん
「おじさんはね、ここをいつも食べるの。おいしい。」

三輪さんの優しい語り口に、子どもたちは引き込まれていきます。
29歳の時に店を開いて以来、三輪さんは、子どもたちに本の楽しさを伝える場をつくりたいと考えてきました。

メルヘンハウス代表 三輪哲さん
(当時)子どもの本がいっぱいいいものが出ているにもかかわらず、一般書店には並ばない。
子どもの本の現状は、そんなもんなんだというのを非常に強く感じて、何とかしなきゃという思いがあった。子どもの時の読書っていうのは、一生を左右する部分がある。」

nih180318.13.jpgメルヘンハウスのおかげで、本の楽しさのとりこになった親子がいます。
倉田和枝さんは9年前、長女の愛弓ちゃんが生まれた時からメルヘンハウスに通いつめてきました。
そこで、幼いころに読んだ思い出の絵本に再会。
親子で一緒に読むことができました。

倉田和枝さん
「子どものとき、母親に読んでもらった絵本を一緒に読んで、私が受け取った気持ちを共有できる。絵本ってすごいなと、気づかせてもらった。」
「どれがお気に入りですか?」

nih180318.14.jpg倉田愛弓ちゃん

「『ハナさんのおきゃくさま』っていう本です。ハナさんがお客さんを好きなところが好き。」

小学3年生の愛弓ちゃん。
自分で率先して、いろんな種類の本を読むようになりました。
本の世界がどんどん広がっていったといいます。

倉田和枝さん
「本はすごく好きになったのは、びっくりするくらい。私の知らない世界を、ちょっとずつ持ってきているのは、すごく私もうれしい。人生を豊かにしてもらったり、家族の時間を豊かにしてもらったり、全部くれたのがメルヘンハウス。」

nih180318.15.jpg倉田愛弓ちゃん 
「国語…。」
倉田和枝さん 「“国語オールA”って、今、アピールしています。」


<“子どもと本の出会いを” 受け継がれる思い>
絵本の魅力を伝えてきたメルヘンハウス。
その思いを引き継ごうとしている女性がいます。

nih180318.16.jpg山口久子さんです。
コツコツ集めてきた絵本は、多くがメルヘンハウスで購入したもの。
5,000冊に上ります。
地域の子どもたちに読んでもらいたいと、自宅の庭にプレハブの文庫を作りました。
週に1回、好きな本を何冊でも無料で貸し出しています。

山口久子さん
「メルヘン(ハウス)がなかったら、こんなに続けていなかったかもしれない。頼りになった本当の本屋さん。本当に頼りにしていました。」
メルヘンハウスが長年続けてきた「おはなし会」。

nih180318.17.jpgそれも山口さんは広げていこうとしています。
毎週のように、保育園や小学校などに出向いて、読み聞かせます。
メルヘンハウスがそうしてきたように、山口さんも子どもたちの成長に合わせて本を選んでいます。

山口久子さん
「成長も見られて、それも楽しみ。
子どもの喜ぶ顔も、私たちも幸せになれること。」

今月末で店を閉じることになったメルヘンハウス。
本の魅力を半世紀にわたって伝え続けてきた三輪さんの思いは、確かに受け継がれています。

メルヘンハウス代表 三輪哲さん

「僕は、“本との出会いは人との出会いである”ということばが好きなんです。手のぬくもりを添えて、子どもに手渡していかなきゃならないんじゃないか。メルヘンハウスで本と出会って、(その子が)生き方を考えるところまでいったっていう、そういうのがあったりしたら、うれしい。お金にかえられない喜び。」


<メルヘンハウス 本の魅力 伝え続けて>
二宮
「今、メルヘンハウスの閉店を知って、絵本作家や出版関係者、そして子どものころメルヘンハウスに通った人など、全国から大勢の人たちが訪れているそうです。」
和久田
「私も小学生のころ、図書館のお話会に通っていたので、今見て思い出しましたけど、子どもたちの本当に夢中になって聞き入っている様子と、うれしそうな顔を見ると、それだけで、本が持っている力って本当に大きいんだなって感じましたよね。」
二宮
「今まさに、子どもに読み聞かせしていますけど、そういったうれしそうな顔を見られる時間っていうのが何より楽しみの時間なんですよね。
ネット書店は確かにお目当ての本があると便利で私も使うんですけれども、こんな本があったのかと、人の手を介して出会える場所も大事にしたいなと思いました。」

投稿者:松岡康子 | 投稿時間:15時48分

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