2016年11月09日 (水)園庭"なし"保育園の増加 都心部では3割も


※2016年10月26日に放送されたものです。

待機児童対策で保育所の整備が進められていますが、東京都心の一部の自治体では、「園庭」を持つ保育所の割合が3割に満たないことが、民間団体の調査でわかりました。

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東京・杉並区にある都が認証している保育所「ゆらりんMOMOの家保育園」はビルの2階にあり園庭はありません。

このため保育所では、毎日、子どもたちを散歩に連れていきます。
取材した日、向かったのは、近くにある公園です。
途中、交通量の多い場所では、保育士たちが細心の注意を払います。まっすぐ向かえば徒歩で20分ほどの距離を、住宅地の中を歩いたり、別の公園を経由したりしてあえて回り道することで、40分かけて歩きました。

161026.7.jpgこの保育園の浅野麻美園長は、
「園庭がないことは残念ですが、限られた環境の中でできることをしようと、散歩に重点を置いて保育をしています。よく歩いて、よく寝て、よく遊んで、生きる力を大事にという風に考えています」と話していました。

161026.6.jpg乳幼児の保護者などで作る団体が、東京23区など首都圏の自治体と、全国の政令指定都市を対象に行った調査では、園庭がある認可保育所の割合は、平均で78点1%でした。

その内訳を見てみると、東京・稲城市や神戸市など、東京郊外や地方にある12の自治体で、すべての認可保育所が園庭を持っていたのに対し、東京・文京区や港区など、都心の一部では3割に満たず、地域による差が大きいことがわかりました。

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「保育園を考える親の会」の普光院亜紀代表は会見の中で、
「園庭がなくても活発に外遊びに連れ行って下されば外遊びが確保できるが、それは子どもにとっても保育者にとっても、なかなか大変なことです。ぜひ整備にもう少し配慮いただければ」 と話していました。

こうした状況を専門家はどう見ているのか。
早稲田大学の前橋 明教授は、長年、子どもたちが、日に歩く量を調査してきました。
その結果、園庭のある保育所では平均がおよそ6300歩だったのに対し、園庭のない保育所では5000歩余りと、1000歩以上の差があることが分かりました。

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子どもが保育所に通う時期は、
生涯の体力が作られる時期に当たるとして、
前橋教授は「園内でも音楽流しながらリズム運動を室内でもできるようにするとか、できうることで体を動かすような工夫が必要だと思います」と話しました。

また、前橋教授によりますと、
子どもたちの体温が最も高まる午後4時頃が、
子どもにとっては一番、体を動かしやすい状況になるということで、
前橋教授は「外に出られれば外に出て太陽の光を浴びて体を動かす。外に出られなくても、体を動かす時間を確保する。お昼寝後の子どもの時間帯を、静かな活動よりも少し体を動かすことにあてられれば、子どもたちはもっと元気になると思いますので、子どもたちが自由に体を動かせる保育を保育者の方々は心がけて欲しい」と話していました。

投稿者:清有美子 | 投稿時間:16時15分

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