2015年07月22日 (水)復職した女性たちが抱きがちな"罪悪感" どう取り除く?


働く女性が増える中、産休・育児休業を終えて職場に復帰する女性も増えていますが、多くの女性たちが、子どもを保育園などに預ける際に、子どもに泣かれると辛い気持ちになったり、後ろ髪を引かれる気持ちを抱いたりします。また、保育園などに子どもを預けず、親元に子どもを預けている女性からは「親は老後の生活をこれからエンジョイするという時期なのに、子どもの面倒を見てもらっていることに申し訳ない気持ちになる」という声も。職場復帰を果たした女性たちが口にする“申し訳ない”という言葉。子どもや家族、そして、職場の同僚などに「申し訳ない」と、いわゆる“罪悪感”を抱きがちなのです。こうした“罪悪感”が、女性が力を発揮するための壁だと捉え、対策に乗り出す企業が出始めています。fuku3.jpg

【子育て社員が抱く“罪悪感” パフォーマンスにも影響】
大阪・中央区にある大阪ガス。人事部の担当者が手にする分厚い2冊のファイルは、2013年夏に、女性総合職の社員およそ100人にインタビューした時の資料をまとめたものです。fuku4.jpgこの会社では、今では女性社員の半分近くが子育てをしながら働いています。女性社員に聞き取り調査したところ、ある事実が見えてきました。「子どもを保育園に預けるのはかわいそう」「子育ては女性が中心になってするべきではないか」などと考えてしまい、出産前のように仕事に積極的になれない女性が多いことが分かったのです。fuku5.jpg大阪ガス人事部ダイバーシティ推進チーム(当時)の田畑真理マネージャーは、聞き取り調査の結果について「育児をしながら十分に活躍できていないと感じている人の多くは、何もかも自分で抱え込んでしまっているということに気付きました。“母が何でもしなくちゃいけない病”に陥っているのです。職場で活躍できない育児者になってほしくない、それを一番に感じました」と話していました。fuku6.jpg力を発揮できない女性社員が増えれば、業務への影響も大きくなります。会社では、育児も仕事も一人でこなさなくてはいけないという思い込みが“罪悪感”を生み出していると考えました。fuku7.jpg【育児外部パワーの利用促し“罪悪感”払拭を】
入社9年目の向美怜さんです。2年3か月の育児休業を経て、去年11月に復職しました。今は子どもを保育園に預けて、午後4時までの短時間勤務で働いています。fuku9.jpg将来的にはフルタイム勤務を目指していますが、そのためには、保育園だけでなく、さらに子どもの面倒をみてもらう手助けが必要になります。向さんは「子どもにとっては保育園に預けられるだけでも、すでに我慢をしているのに、さらにその後まで他人に預けるということに対して、そこまでして働くべきなのか、、、」と、さらに子どもを預けることに心苦しさを感じると話していました。fuku10.jpgベビーシッターなど、育児を人に頼ることに抵抗のある女性が多いことから、会社はことし、あるプログラムを試験的に導入しました。
将来、仕事と家庭の両立の参考にするため、子育てしながら働く女性の姿を見たいという大学生を企業に派遣する会社から、大学生を研修生として受け入れ、交通費などの費用を全て負担します。fuku11.jpgその上で、大学生に、6日間、社員の子どものベビーシッターをしてもらうのです。大学生のキャリア研修の一環として社員にベビーシッターを受け入れてもらうことで、ベビーシッターなど外部の子育てサービスを利用する際の抵抗感を和らげることが狙いです。
向さんも、大学生の研修のためなら、と、ベビーシッターを受け入れました。

研修の6日間、向さんは、子どもたちの保育園の迎えや夕食作りを大学生に任せました。初めてベビーシッターを体験した向さんは「実際、ベビーシッターを受け入れてみたら悪くないなと感じました。今後、フルタイムの仕事をしていくことになったら、絶対、誰かに頼らなければいけない時が来ると思うので、今回、実際に経験してみて、この先、どのように働くかなど検討材料にしたいと思いました」と話してくれました。fuku13.jpg大阪ガス人事部ダイバーシティ推進チーム(当時)の田畑真理マネージャーは「会社としてはいろいろな選択肢を用意することを考えていて、“外の手を使う”ということに対する抵抗感をどんどんなくして行きたいと思っています」と説明していました。fuku14.jpg【出産前から“罪悪感”対策も】
出産前から対策に乗り出す企業もあります。大手IT企業のDeNAです。fuku15.jpg以前は産休を取得する前の面談は制度の説明だけでしたが、2年前から、子育て中の先輩社員の経験を聞く機会を設けました。復帰後に後ろ向きな気持ちを抱くと、業務や生産性にも影響を与えかねないと考えたからです。fuku16.jpg取材した日は、妊娠6か月の女性社員の産休前面談が行われました。そこで、女性社員は、仕事と子育ての両立の方法、夫と家事をシェアするためのコツ、出産前に準備をしておくべきことなど、子育て中の先輩社員から、アドバイスを聞いていました。育児を女性が全てこなさなければいけないという思い込みを早い段階から取り払うのがねらいです。fuku18.jpgDeNAヒューマンリソース本部の渡辺真理さんは、「子育て中の先輩女性社員から本音の部分を伝えてもらうことで、みんな安心したり、復職に向けてポジティブになったりしていると聞いています。気持ち一つとってもダイレクトにパフォーマンスや生産性に影響するので、出産後、いかに前向きな気持ちで復職してもらうかがか課題です」と話していました。fuku19.jpg【女性自身も“子育ては女性の仕事”という固定観念と向き合う必要】
長年、女性の働き方について企業にアドバイスをしている育休後コンサルタントの山口理栄さんは、「女性自身も『子育ては女性の仕事』などという固定観念と向き合う必要がある」と指摘しています。fuku20.jpgその上で、山口さんは、「まず、自分の中に、そのような気持ちがあるということを認める必要がありますし、その気持ちを意識的に排除することも必要だと思います。女性が子育てしながら働く上で、どこまで働けば満足か、子どもとどのように接することを自分は求めているのか、自分であらかじめ結論を出しておくことが大事です」と説明しました。fuku21.jpg子どもを持ち、働く女性が必ずと言ってもいいほど直面する“罪悪感”。
女性自身が、「家事や子育ては女性がするべきもの」「子どもを預けて働くことは子どもに申し訳ない」などという気持ちを整理することも大切ですが、男性や家族、職場など周りの人が、女性がそのような“罪悪感”をいだかないようにサポートをしたり、心ない言葉をかけないようにすることも必要だと山口さんは話していました。

 

投稿者:清有美子 | 投稿時間:08時00分

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