2013年10月11日 (金)過熱する幼児英語教育 背景は


 低年齢化が進む英語教育。いまや、小学校入学前から英語を学ばせるのは珍しいことではありません。赤ちゃんが日本語を覚える前から英語に触れさせるための教材まで現れています。なぜここまで英語教育が広がっているのか、背景を取材しました。
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会場をびっしり埋め尽くした親子連れ。東京・晴海にあるバイリンガル教育を売りにした保育所の入園説明会です。保育料は月10万円以上。それでも募集の5倍を超える200組が詰めかけました。eigo3.jpg園児は毎日、外国人講師から英語を学んでいます。説明会では年長の園児が、講師の「大きくなったら何になりたい?」という質問に対し、「宇宙飛行士になりたい。ベストを尽くします」と流ちょうな英語で答えていました。
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 説明会に参加した母親は、「これからは英語が当たり前の時代になると思うし、私たちは英語が全然できないので、小さいうちから英語の世界というか、環境に慣れさせたいという気持ちできました」と話していました。

一方、大手通信教育会社は、ことしから0歳児向けの英語教材の販売に乗り出しました。教材の説明会は、少しでも早く英語教育を始めたいと考える親たちでにぎわいました。
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0歳児の母親は「あまり早すぎるとは感じていないです。日本語も0歳から覚えていくと思うので、一緒に英語も覚えていければいいかなと考えています」と話していました。
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 英語教室に通う人も低年齢化が進んでいるといいます。足立区の英語教室は幼児を持つ親からの問い合わせが増えていて、講師の井上雅美さんは「小学校でも英語の授業が始まり、その前に英語を楽しんで好きになってもらおうと考える親が多い」と話していました。
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こうした英語教育の低年齢化が顕著に表れているのが私立幼稚園です。ベネッセ教育総合研究所の調べによりますと、英語教育を取り入れている割合は、平成19年度に47.6%だったのが昨年度58%まで上昇。初めて半数を超えました。
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 この背景には、幼稚園側の事情もありました。このうち3年前から英語教育を始めた東京・清瀬市の私立幼稚園は、少子化に加えて共働きの増加で保育所に子どもが流れ、定員割れが続いていることが悩みです。全国的にも、去年、定員割れをした私立幼稚園はおよそ80%にのぼっています。なんとか園児を獲得しようと、この幼稚園が取り入れたのが英語教育でした。入園案内のパンフレットでも大きくアピール。その結果、園児数はわずかながら5年ぶりにプラスに転じました。
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園長の森田正英さんは「少子化で競争が激しい中で、なんとか220人維持できているので、今後も英語教育を取り入れて、保護者の支持が得られるように頑張っていきたい」と話していました。
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 さらに、英語の必要性を身にしみて感じている親たちの事情も、この流れを加速させています。東京・足立区の金森由紀子さんは、2人の娘に2歳の時から英語を学ばせています。長女の千夏ちゃんは5歳。幼稚園や自宅学習に加え、毎週、英語教室でもレッスンを受けています。きっかけは、夫の慎司さんの仕事の変化でした。それまでは国内の営業を担当していた慎司さん。勤め先の会社が海外進出を推し進めた影響で海外出張が増え、英語で苦労していると言います。
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 自分たちが苦手な英語で、娘たちを悩ませたくないと願う金森さん。下の2歳の娘も、英語を学べる幼稚園に通わせたいと考えています。金森由紀子さんは、「小さいうちに英語を身近に持ってきてあげるのは、今、親にしかできないことだと思うので、英語に触れさせてあげる機会を作ってあげたい」と話していました。
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 低年齢化に拍車がかかる英語教育。幼児教育が専門の、白梅学園大学の無藤隆教授は、「子どもがいかに自発的に取り組んでいくか、そこを大事にして欲しいですね。英語だけをやればいいわけではないわけで、鬼ごっこもして欲しいし、積み木もして欲しいし、絵本も読んで欲しいわけだから、英語もそういう様々な活動をする中の一つとして考えて欲しい」と指摘しています。
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 英語教育を取り入れた幼稚園の中には、その分、絵本を読む時間などを削っているところもあります。専門家によりますと、幼児教育で最も大切なことは、自主性や創意工夫する力を身につける事だということです。英語も大事ですが、あまり英語だけにならないよう、気をつけることも大切かも知れませんね。

投稿者:成田大輔 | 投稿時間:06時00分

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