2013年05月08日 (水)歯ブラシによる事故に注意!


乳歯が生えると始まる、歯磨き。大切な生活習慣です。子どもたちに身につけさせようと頑張っているお母さんもいると思いますが、実は、思わぬ危険が潜んでいます。口の中に刺さる事故が起きているのです。実態と注意点をお伝えします。

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東京消防庁のデータでは、平成23年までの5年間に、歯ブラシが口の中に刺さるといった事故により、救急車で病院に運ばれた5歳以下の子どもは、あわせて229人。特に多いのは、1~2歳の子どもで、1歳児だけで全体の半数、2歳児を含めるとおよそ75%に上ります。

下の画像は、1歳の子どもが歯ブラシをくわえたまま転び、のどに刺さったケースです。首の周りを拡大したものですが、首の太い血管の間に、ブラシが写っています。母親が刺さった歯ブラシを引き抜いたところ、柄が折れて、のどの奥にブラシが残りました。
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子どもの事故に詳しい日本小児科学会の山中龍宏医師は、「毎日歯ブラシを使っているので、転倒するといろいろなところを突いてしまう。中には、のどの奥から脳の方まで入ってしまうことも、向きによっては発生するおそれがある」と話しています。
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先端に丸みのある歯ブラシが、なぜ、口の中に刺さってしまうのでしょうか。産業技術総合研究所では、小さな子どもが転ぶ様子から、事故が起きる状況を分析しました。子どもは頭が重く、重心が高いため、平らな床でも、よく転びます。
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歯ブラシをくわえたまま転ぶとどうなるのか、再現実験をしました。転んだときと同じ条件で歯ブラシを鶏肉にぶつけると、歯ブラシは突き刺さり、穴があきました。
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先端にかかった力は、最大27点5キロ。瞬間的に一点に大きな力がかかるため、丸みのある形状でも口の中に刺さってしまうのです。
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子どもの事故対策を研究している産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターの西田佳史さんは、「非常に特殊なケースで起こるのではなく、よくある歯ブラシと、よく起きる転倒によって起こりうるということが分かってきた」と話しています。
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ところが、事故の危険性はあまり知られていません。消費者庁が1200人の保護者を対象に行ったアンケートでは、70%近くが、歯ブラシが口の中に刺さる事故について、「聞いたことがない」と答えています。
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東京・江東区では、1歳の歯科検診の際に歯科衛生士が個別に歯磨き指導をし、子どもが歯ブラシを持ったまま母親を追いかけて転ぶといった事例を紹介しながら、注意を呼びかけています。
1歳児の母親は、「丸くなっているので、そんなに痛くないし、安全にできているものだと思っていた」と話していました。
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インタビューをした限り、第1子で、初めての子育てという親の多くは、事故自体を知りませんでした。第2子、第3子の場合は、経験から危険性を感じてはいましたが、刺さって重症になるケースまでは知らない人のほうが目立ち、注意が必要です。

事故を防ぐ対策をとった商品も販売されています。持ち手に「つば」をつけることで、先端がのどに届かないようにしているものや、持ち手をリング状にして、口の中に深く入らないようにしているものなどがあります。
一方、こうした商品を幅広く取り扱っているのは、専門店にとどまっているのが現状です。また、価格も、普通の商品では安いものが1本50円以下で買える中、総じて高めで、中には1000円近いものもあります。「高すぎる」と話していた母親もいました。
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日本小児科学会の山中医師は、「歯ブラシでのどを突くことがあるという危険性を認識することと、危険性が少なくなる製品があればそれを実際に購入して使うという2つのことが重要だ」と話しています。
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◆事故を防ぐために


【目を離さない】

 事故は、歩いていて転倒したり、人や物にぶつかったり、踏み台などからの転落で起きています。保護者の方は目を離さないようにしてください。
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【長い歯ブラシを置かない、折れたら破片は】

 長い歯ブラシや親が使う歯ブラシを、子どもの手の届くところに置かないでください。死亡事故の報告はありませんが、長さと刺さる角度によっては、脳に達するおそれがあります。 
 折れた歯ブラシがのどの奥に残っていないか、破片にも気をつけてください。気付かずそのままにすれば、やがて炎症を起こして腫れ、重症化すれば、腫れた部分が気道をふさぎ窒息するおそれもあります。


【安全対策品を使う】

 安全対策品ですが、どこででも手に入らず高いという課題は、積極的に使うことで変わるかもしれません。需要が増えればどこの店でも置くようになり、量産効果で安くなることも期待できます。使ってメーカーに改善を要望すれば、さらに使いやすく安全性の高い商品開発につながることも考えられます。


【歯磨きは10秒だけでも可】

 最後に、歯磨きをするときの心構えですが、実はそれほど負担に思う必要はなさそうです。
 歯科医師によりますと、子どもの歯磨きで大事なのは、まずは習慣化です。子ども自身がきれいに磨けなくてよいといいます。
 虫歯予防のためには親が磨きますが、時間がなければ、1日1回、気が向いたときに、ミルクがたまりやすい上の前歯を10秒程度だけ。下の歯と合わせても20~30秒くらい磨けば十分だということです。
 その際には、「気持ちいいね」、「きれいになったね」などと、楽しそうに、そして褒めながらやると、歯磨きを嫌いにならないそうです。


 注意点を意識して、事故なく楽しく歯磨きの習慣化を!

投稿者:三瓶佑樹 | 投稿時間:06時00分

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