2012年04月27日 (金)「乳幼児揺さぶられ症候群」の実態


小さな子どもをなだめても泣きやまない。なぜ泣いているのか分からない・・・。

親を悩ます子どもの泣き声。子どもを無理に泣きやまそうと強く揺さぶり、脳などに障害を及ぼす、「乳幼児揺さぶられ症候群」が相次いでいます。

医師は「寝たきりの重症心身障害児になるお子さんたちもいます」と話しています。
乳幼児揺さぶられ症候群は、親などに激しく揺さぶられることで子どもの脳が傷つき、重い障害が残ったり、死亡したりするもので、虐待の一つとされています。
去年、発表された調査結果によりますと、虐待が原因で障害児となり、施設に入った子どものうち、6割以上に揺さぶられ症候群の疑いがあるとみられています。

新たに分かってきた、揺さぶりが脳にダメージを及ぼすメカニズム、そして、被害を防ぐための取り組みを取材しました。
(下の画像は「人形」を使った講習会です)

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重い障害がある子どもが暮らす関東地方の施設を取材しました。
4歳の男の子は、生後半年ほどのときに、激しく揺さぶられた疑いがあり、脳にダメージを受けました。それ以来、寝たきりになり、着替えや食事など生活のすべてに介助が必要です。
別の4歳の男の子は、生後2か月のとき、強く揺さぶられた疑いがあります。
脳に障害が出て、立って歩くことができません。目もはっきり見えていないと診断されています。

揺さぶられ症候群の子どもの脳の写真では、頭の中で広い範囲に出血が起き、脳を圧迫していることが分かります。また、眼底の写真でも、交通事故で頭を打ったときのような出血が網膜の至る所に見られます。

揺さぶられ症候群の子どもを診察してきた米山明医師は、揺さぶりによって障害を負う子どもの数は増えていると言います。
米山医師は「手足が不自由になり、寝返りもできないくらいの、いわゆる寝たきりの重症心身障害児になるお子さんたちもいます」と話しています。
「ことばでも、意味のあるものを話さないとか、さらに、てんかんを合併することもあります。医療的なケアが、より必要になるお子さんたちも多い」と指摘します。

0427015.jpgどのぐらいの揺さぶりで脳に出血が起きるのか。今、研究が進められています。
東京工業大学の宮崎祐介准教授は、医療関係者の協力を得て、生後6か月の子どもの人形を作りました。
頭蓋骨の形や大きさを精密に再現。その中に入れる脳のモデルも、重さや固さが実際と同じになるようにしました。頭蓋骨と内側の脳のそれぞれに印を付け、揺さぶったときの動き方を調べます。

120427014.jpg分析の結果、頭蓋骨と脳が動くタイミングが大きくずれていることが分かりました。 このとき、子どもの頭の中で深刻な事態が起きています。脳と頭蓋骨をつないでいる血管が、激しい揺さぶりによって引きちぎられ、出血が広がるのです(下のCG画像)。
実験の結果、1秒間に3回から4回往復するほどの激しい揺さぶりで出血が起きることが分かってきました。

120427013.jpg宮崎准教授は「かっとなった状態で、われを忘れて激しく揺さぶってしまうと、こういう重篤な障害が発生するのだと思います」と話しています。

120427012.jpg揺さぶられ症候群は、子どもを泣きやまそうとして、意図せず重大な被害を招いてしまうケースが少なくありません。そうした衝動的な揺さぶりを防ぐ取り組みも始まっています。

茨城県では、去年から子どもが生まれる夫婦を対象に、人形などを使って揺さぶりの危険を伝えています。講習では、子どもは理由もなく泣く場合があること、ストレスを感じたら少し子どもから離れ、気持ちを落ち着かせることが大事だといったことを伝えています。

参加者は
「赤ちゃんの脳が大変なことになることが分かって勉強になりました」「赤ちゃんは泣くものだと思って、 少し気楽に赤ちゃんと接するようになれたらと思いました」などと話していました。

茨城県子ども家庭課の岩田江里子さんは「泣き声に困ったときの対処法をよく分かっていると、うまく対応ができて乗り越えられるかと思います」と話しています。

120427011.jpg赤ちゃんは泣くことが仕事と言われますが、講習で出てきたように理由もなく泣くことがあります。どうあやしても泣きやまないことがあると知っておくだけでも、被害を防ぐ効果があると専門家は指摘しています。
ただ、衝動的な揺さぶりを予防するための取り組みは、まだ一部の自治体にとどまっているのが現状で、今後、危険を知ってもらう啓もう活動を広げていくことが求められています。

投稿者:村石多佳子 | 投稿時間:06時00分

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コメント

昨年、8ヶ月の子供が揺さぶられっこ症候群で入院しました。自分は母親です。原因は父親の高い高いでした。子供は大喜びできゃっきゃと笑っていました。旦那は両手で首とお尻をしっかりと支えてはいましたがかなり高低のある迫力あるものでした。2秒に1回のスピードだったと思います。

救急車で運ばれ、3週間の入院をしました。児童相談所へ通報され、虐待を行った両親として指導措置をとられました。退院後、父親とは2ヶ月離れ離れで暮らすことになりました。度重なる児童相談所の自宅訪問と地域の保健センターの人間の訪問にノイローゼになりそうでした。自分たちはあやして遊んでいただけのつもりだったのに揺さぶられっこに関する知識が足りなかったために本当に大変なことになりました。

今では子供も障害が残ることなく家族3人平穏に暮らしています。この一件で子供の体はもちろん家族もみんな傷つきました。私たちは子供のことが大好きで普通に普通に幸せに暮らしていたのにあの時一瞬にして生活が変わってしまいました。子供にもしものことがあったら夫婦関係も破綻していたに違いありません。

本当の虐待で親が子供を傷つけてしまうケースが多いのかもしれませんが我が家のようにそのつもりがないのに結果虐待につながってしまうケースもあります。もっと揺さぶられっこ症候群の正しい知識をこれから子供を持つお父さんお母さんに知ってもらえる機会が増えることを願っています。

投稿日時:2012年08月16日 13時21分 | sachi

sachiさんのコメントに深く共感いたします。
我が家も同じ境遇です。長男が3ヶ月の頃に、突如痙攣を起こし、救急外来にかけつけ、予想以上の深刻な事態に、両親ともに泣き崩れました。
子供が元気な笑顔を見せるまで、自分を責め続ける感情が深く、子供の状況をきちんと受け止められず、夢の出来事であったら良いと思いながら、毎日できるお世話を必死にこなしました。
長男が入院するまでの我が家は、子供への愛情にあふれた、幸せな生活でした。お祝い行事も親ばかなほど一生懸命やり、長男も良く笑い、よく寝る育てやすい子供でした。私たち両親は、子育てに悩むことも少なく、揺さぶられっこになると言われる揺さぶり方をしたのか?、あやす際にそうなってしまったのか?未だに自問自答を続けています。原因は、未だに分かりません。

長男が入院し、精神状態がぐちゃぐちゃの中、児童相談所への通報、虐待の疑いをかけられ、両親ともに疲労困憊でした。私は子供に24時間付き添いの生活、主人は仕事に見舞いでぼろぼろでした。あやし方について、主人が疑わしいと言われた時、主人は心療内科に通うほどにまで追い詰められました。私は、主人をそんな状況に追い込みたくなかったし、支えてあげられなかった自分に腹が立ちました。

長男は4ヶ月入院して退院し、私と長男は実家に半年居なくてはならず、半年間、主人とはバラバラの生活をしました。主人は本当に寂しく辛い生活であっただろうとおもいます。毎日、長男の映像を撮って送りました。半年間帰ってはいけなかったので、それしか私には出来ませんでした。
現在、主人のもとに戻り、家族一緒の幸せを取り戻すべく頑張っています。長男は言葉が遅いですが、まだ異常なほど遅いとは言われておらず、両親ともに希望を捨てずに見守っています。それ以外の発達問題は出ていません。
市役所、相談所、カウンセラーの訪問は、現在も定期的に続き、そして通院や検診の度に、揺さぶられっこの問題に直面しますし、近くに親戚のいない私たちは「虐待の親」として見られているように感じる機会ばかりで未だに苦しいなと思います。
揺さぶられっこについて、妊娠中までにみなさんが知る機会を得られるようになることを、強く願うとともに、私たちのような親への精神的なフォロー体制も生まれてほしいと思います。
私たちは、疑いが晴れるその日まで耐えるような生活を送ります。
そして、家族があらぬ疑いをもとに、引き離されることが二度と無いことだけを切に願いながら、今ここにある子供や主人の笑顔を大事に、日々、ささやかな「家族一緒の生活」に幸せを感じます。

投稿日時:2012年11月01日 00時42分 | non

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