2018年03月13日 (火)小平選手 超多忙の3日間 カメラの前で語った言葉は


※2018年2月21日にNHK News Up に掲載されました。

ピョンチャンオリンピックで栄光をつかんだメダリストたち。でも競技の興奮が冷めやらぬうちから始まるのがインタビュー、記者会見、そしてテレビの生出演…。「もっとゆっくりさせてあげれば」と思う方もいるでしょうが、この時でなければ語れない言葉があるんです。スピードスケート女子の金メダリスト、小平奈緒選手の超多忙な3日間とその言葉を追いました。

ネットワーク報道部記者 佐藤滋
cho180221.1.jpg

<18日 21:27>
スピードスケート女子500メートル。

小平奈緒選手はこの時間に36秒94のオリンピック新記録をマークしました。

アスリートとして最も輝いた瞬間です。

cho180221.2.jpg

<21:29>
その2分後、最大のライバル、韓国のイ・サンファ選手が滑り終えました。

タイムは37秒33。この時点で2位。

cho180221.3.jpg

<21:32>
最終組が滑り終わり、小平選手の金メダル、イ選手の銀メダルが確定。小平選手とイ選手が互いをたたえ合う様子に会場全体から大きな歓声が。競技のクライマックスはここまでのわずか5分でした。

cho180221.4.jpg

<21:45>
ここから小平選手の超多忙な時間が始まりました。早速テレビ中継のインタビューに。

「周りが見えないくらいうれしく、すべてが報われた」

cho180221.5.jpg

<22:10>
続いてテレビ各局のインタビュー。

「サンファ選手には『あなたを尊敬している』と伝えた」

その後、新聞・通信社の取材、取材。

cho180221.6.jpg

<22:35>
小平選手とイ選手の記者会見開始。

互いをどう思い合っているかの質問が相次ぎます。小平選手が「尊敬している」と伝えたことを語ると、通訳を介してそれを聞いたイ選手が机の下で隣の小平選手の手を取るような様子を見せ、親密さをうかがわせました。

cho180221.7.jpg

<22:58>
20分余りの記者会見が終了。小平選手がレースを終えてからわずか1時間半の出来事です。


<19日 6:40>
関係者によると「ほとんど寝ていない」小平選手。翌朝のこの時間に国際放送センターに到着。

cho180221.8.jpg

<7:00>
マイクをつけるとすぐにNHKの番組に生出演。メダル授与式の前のため首にかかるのは1000メートルで獲得した銀メダルのみですが、「やっと成し遂げることができた」と感慨深い様子。

その後、テレビ各局を回りました。

cho180221.9.jpg

<9:57>
続いて一夜明けての記者会見がスタート。会場は海外メディアも含めた報道陣でごった返しています。

cho180221.10.jpg「アスリートとして自分自身を表現する言葉を3つあげて」(海外メディア)

「うーん… 求道者、情熱、真摯(しんし)」

長野県出身の自身の経験を踏まえ、「子どもたちがスケートという競技をやりたいと思ってくれればいい。自分が長野オリンピックで大きな感動をもらったようにきっかけ1つでやりたいという好奇心が生まれるはず」とも語りました。

cho180221.11.jpgこの頃になると競技直後の感想から、次第に自らの思いを表現する言葉が目立つようになってきました。


<取材を受け続けるワケ>
レースのあと、ほぼ休みなく言葉を発し続ける小平選手などのメダリスト。

なぜなのかをJOC=日本オリンピック委員会の広報担当者に尋ねました。

「日本代表の選手として、日本で応援していただいている方に声を届ける重要性や注目度の高さも認識しているからです。メダリスト自身も、支えてくれた人たちに感謝の思いを伝えたい気持ちを持っていて、それが役割でもあるとわかっています」

一方で、考慮しているのが「選手の負担軽減」。メダル獲得直後から取材を集中させることは一見、負担が大きいようですが、これにも意味があるといいます。

「オリンピックのあともシーズンが続く選手が多いからです。競技当日や翌日に取材対応を凝縮させることで、次に向かいやすくなります。また、報道各社にバラバラに対応するよりもまとめた方が結果的に負担が少なくなると考えています」

取材や出演の場合はJOCの担当者が付き添い、決められた時間をオーバーしないように確認しつつできるだけ短時間で済ませるように配慮しているとしています。


<20日 19:55>
レースの翌々日。日中は、少し休んで軽くトレーニングをした小平選手はこの時間、表彰式に。

「なかなか日の丸があがる光景を見ることができなかったので、この目で実際に見ることができてうれしかった」

cho180221.12.jpg

<21:00>
表彰式のあとは500メートルの金と1000メートルでの銀の2つのメダルをかけて再び、現地のNHKのスタジオで生出演。

cho180221.13.jpg「順位は自分ではコントロールできないもので考えてもしかたない。そう思ってからはもっともっと自分自身にフォーカスして考えられるようになった」

「究極の滑りを目指して追い求めていく。学びがあることが楽しい。それは、勝ちたいということよりも、もっと究極な気持ちがする」

「どんなにいいタイムを出せても、どこかに課題や自分を成長させるものが隠れている。それをこれから探すのが楽しみ」

cho180221.14.jpgそして「結果を出せない人に対してかける言葉があれば」と聞かれると、「『なせばなる』ということ。しっかり、やることをやっていれば実る時が来るということを言ってあげたい」。

スケートだけでなく私たちもふだんの生活の中で参考にしたい言葉。メダリストの言葉は説得力が違います。

最後に触れたのは前日の会見でも話した競技の普及についてでした。

「オリンピックで金メダルを頂けたことで、周りの皆さんにもスピードスケートを認知して頂いた。子どもたちにスケートの魅力を伝えながら、また自分自身も、もっともっとスケートを楽しんでいきたい」


<3日間で増した言葉の強さと深み>
3日間、語り続けた小平選手。

その時々で感じたのは、小平選手が自身を語る「言葉」の強さ、しかも時がたつに連れて深みを増していくように思えました。

このあとも小平選手の多忙は続きます。日本選手団主将も務めている小平選手は26日に帰国して記者会見、27日には選手団の解団式に出席する予定です。

cho180221.15.jpgそのあとは少し休んで…ということはなく、3月上旬に中国で行われる世界スプリント選手権に参加する予定です。

「500メートルの世界記録を塗り替えたい。今シーズンの最後にカナダで行われるレースで挑戦したい」

高い意欲を持ち続ける小平選手は今後も競技を通じて、人々の心に届く「言葉」を発信してくれると思います。

投稿者:佐藤滋 | 投稿時間:17時50分

トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント

※コメントはありません

コメントの投稿

ページの一番上へ▲