2018年02月26日 (月)現地の寒さ 体感しました
※2018年2月6日にNHK News Up に掲載されました。
「寒い」「寒い」 事前にそう言われて取材に入ったオリンピックの舞台、ピョンチャン。北海道、山形と厳しい冬がある勤務地を経験してきた私が現地で感じたのは…
ネットワーク報道部記者 佐藤滋
<まずはタオル 伝説のCMにも挑戦>
まずは、ぬらしたタオルがどのくらいで凍るのか、試してみました。結果はわずか30分足らずでこのように。
40年ほど前の伝説のCMにも挑戦。釘が打てるほどバナナが固く凍る寒さの中でもなめらかに流れることをPRしたエンジンオイルのCMにまさにくぎづけになった人も多いでしょう。
ピョンチャンで試したところ「かちこち」。棚の角をたたいてみましたが…。
くぎも打てそうな固さでした。
<私の防寒対策>
今度は、凍える寒さにどれだけ耐えられるのか。日本から持ってきた温度計と共に歩いてみました。
上半身には暖かさが売りの某メーカーのインナーシャツを2枚、重ね着。その上にセーターとダウンジャケット、さらに、防寒性のジャケットを着ました。下半身は、タイツにズボン、その上に防寒性のズボン。靴は「マイナス40度まで使える」とされるスノーブーツを履きました。スキー用の手袋と帽子、ネックウォーマーをした上で外気に触れるのは、目の周りだけ。
5日の午前8時の気温は氷点下17度でした。
寒風吹きすさぶ中、体はまだ耐えられたのですが、外気に触れている目のあたりが痛い…。
写真を撮るためには手袋を外す必要があるのですが、数分も耐えられません。
歩道の水たまりも凍りつき。
用水路(?)もこのとおり。
北海道に5年、山形に4年勤務し、4年前のソチオリンピックの時には山岳エリアでスキーを取材していた私。ソチでは日中はダウンジャケットを着ずにセーターだけで過ごせた日もあったほどでしたので、これまでとは「桁違い」の寒さを感じました。
<史上最「寒」?>
実はピョンチャンは緯度で比べると新潟県長岡市と同じくらい。ではなぜこんなに寒さが厳しいのか気象予報士に聞いたところ、ピョンチャンにはシベリアからの寒気がそのまま吹き付ける一方、日本の場合は比較的暖かい日本海の上を通過するので同じ緯度でも違いが生じるのではないかということです。
過去の大会に比べるとどうなのか。平成に入ってから開かれた7回の冬のオリンピックと今回開催されるピョンチャンの合わせて8大会のうち、1994年のリレハンメルを除いてすべての取材を経験している、NHKのスタッフ神田美智子さんに聞きました。
「一番、寒いわね」
即答でした。寒さの理由は「なんと言っても風の強さ」という神田さん。一般的に風速が1メートル増すと体感温度が1度下がると言われています。ヨーロッパでの取材も頻繁に行っていますが、「寒さの質が違う」と言います。
「油断すると凍傷になるのでしっかりした手袋は欠かせません」と話す神田さんに「体を温めるための秘訣は」と聞くと食べ物で身体の中から温めることだということでした。
という神田さんのアドバイスもあり、冷えた体を温めるため昼食に。鍋料理の「スンドゥブ・チゲ」です。たっぷり入った豆腐がぐつぐつ、ほどよい辛みで芯から温まりました。
<とにかく寒さ対策を万全に>
3日に行われた開会式のリハーサルも極寒の中で行われました。地元メディアの伝え方も「寒さ」一色。
「歴代最も寒いオリンピックになりそうだ」(中央日報)
「ピョンチャンリハーサル 寒さに震えた記憶だけ」(朝鮮日報)
報道によると、リハーサル会場に入るセキュリティーゲートが凍って長蛇の列ができたとか、クレジットカードを読み取る機械が凍って、使えなかったこともあったとか。
ピョンチャンオリンピック開幕まであとわずか。これから日本から、応援に来るみなさん。万全の防寒対策をお願いします!
投稿者:佐藤滋 | 投稿時間:17時15分