2017年06月26日 (月)SOGIハラって?


※2017年5月15日にNHK News Up に掲載されました。

「あの人、こっち(ゲイ)なんだって」。「ホモみたいで気持ち悪い」
こうした会話を聞いたり、自分でも言ったりしたことがある方、少なくないのではないでしょうか。
「そんなこと、一度も言ったことはない!」と言い切れる自信が少なくとも、私にはありません。たぶん子どもの時、いや学生時代にも言ったことがあると思います。差別につながるという意識が薄いまま使っていたと思います。
そうした言葉に「SOGI(そじ)ハラ」という名前がつきました。
学生時代の私のような発言がないようにという願いを込めて。

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<SOGIハラって何?>

sojihara170515.3.jpgSOGIハラは、好きになる人の性別、Sexual・Orientationと、自分の性別についての認識Gender・Identityの頭文字S・O・G・Iをハラスメントと組み合わせた造語です。性的マイノリティーの人たちへの差別的な発言や嫌がらせを示しています。
ことし3月、LGBT・性的マイノリティーの当事者や支援者で作る団体がこの言葉を広めて、実態を知ってもらうと作りました。


<どんな言葉が、行為がSOGIハラ?>

sojihara170515.1.jpgSOGIハラについての具体例を、
団体ではチラシを作って、示しています。

▽「ホモやレズは気持ち悪い」など差別的な発言をしたりからかったりすること。当事者に向けてでなくても発言自体に差別的な意味があることを知ってほしいと言います。
また▽性的マイノリティーだという理由で、職場で不当な異動を強要されたり、することをあげています。さらに・・・。


<“つらいアウティング”“就職活動でも”>
今月、都内ではSOGIハラの実態を広く知ってもらおうというイベントが開かれました。LGBTの当事者たちが集まりSOGIハラの実態を語ったのです。

参加者が経験したという一つが
“アウティング”と呼ばれるSOGIハラです。

「心が女性であることを隠して男性として入社した。
同じ部署の人にだけカミングアウトしたら、関係のない人にまで話が広まり嫌な思いをした」
性的マイノリティーであることを、「あなたに知ってほしい」と「みんなに知ってほしい」は違います。まだ偏見が多い中、本人の意思に反して多くの人に知られてしまうことへのつらさを訴えたのです。

また社会に出ていこうとする時のSOGIハラを語ったのは、女性として生まれ、いまは心の性に従って男性として生活している、藥師実芳さんです。それは就職活動の時でした。
「面接で性同一性障害だと言うと、『帰ってください』と言われた。
『体はどうなっているのか』、『子どもは産める体なのか』と聞かれたこともある」仕事に関わる話ではない興味本位とも、とれるような言い方をされたのです。

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<謎の仮面の男性>
パネリストの中に顔を知られたくないと黒い仮面をつけて登場したゲイの男性がいました。

sojihara170515.5.jpg先月、会社に入ったばかりのAさんと匿名で紹介され、大学時代までは性的マイノリティーに関わるサークル活動をしていて、嫌な思いをしたことはあまりなかったそうです。ところが会社の懇親会で、デザートを選んでいたら、別の同期から「オネェなのか?」と言われ、「○○配属のオネェ」というあだ名で呼ばれるSOGIハラを受けたといいます。

そして私がいちばん驚いたのは、取材をお願いし、仮面を外したAさんを見た時です。


<正体は?仮面の男性の告白>
Aさんは私がかつて取材をした人でした。
それも性的マイノリティーが身近にいることを知ってほしいという前向きな気持ちで顔も名前もオープンにして、取材に応じてくれた人だったのです。

「会社に入ると大変だと聞いてはいたが、それを実感している。また営業の仕事に就き取引先が同性愛に嫌悪感を持っていると仕事に影響があるかもしれないと思った」
ショックでした。Aさんは実際に取り引き先からSOGIハラを受けたわけではありません。ただ同期から投げかけられた言葉もあり、まだまだ社会の偏見が強いと感じたのだと思います。

今回のイベントの実行委員会の松中権さんは「最近は、性的マイノリティーについて認知度も高まり、自分らしく生活できたという学生も増えた。ところが会社に入ると、これまでの環境と落差が大きく、会社を辞めたり、うつ病になったりする人もいる」と話していました。

sojihara170515.2.jpg企業の中でも、性的指向によって差別をしないことを企業理念に明記したり、研修を行ったりして、SOGIハラをなくしていこうという動きが出てきていますが、大手企業を中心に、まだごく一部です。

LGBTという言葉は広まりましたが、Aさんがつけていた仮面が、社会の現実を象徴しているように感じました。

当事者や支援者で作る団体では国や企業に対応策を求めていこうと、ウェブサイト(http://sogihara.com/)を開設して、
SOGIハラの体験を集めはじめています。

すでに
▽職場で「結婚しないのか」と聞かれ、同性のパートナーがいることを伝えたら、「アウティング」で社内に広められ退職した。
▽心の性が男性なので女性の洋服は苦痛なのに、仕事上のパーティーに「もっと女性らしい服で出席するように」と求められた。といった体験などが寄せられています。

学生時代の私の発言も、無意識に誰かを傷つけ、苦しめていたかもしれません。

「SOGIハラは、加害者が無意識にやっていることも多い。『セクハラ』のように、してはいけないこととして、広く知られるようになってほしい」
当事者の声を多く聞いてきた松中さんの言葉です。

投稿者:宮脇 麻樹 | 投稿時間:10時52分

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