2019年08月27日 (火)わが子をどう守れば...


※2019年5月30日にNHK News Up に掲載されました。

もはや子どもの安全な場所は、ないのでしょうか?川崎市で小学生らが包丁で刺され19人が死傷した事件。防犯の観点から安全とされるスクールバスの停留所で起こりました。「いったい、わが子をどのように守ればよいのか?」保護者や学校現場では不安や動揺が広がっています。

ネットワーク報道部記者  田辺幹夫・ 松井晋太郎・ 吉永なつみ

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<武装しろってコト?>
川崎市の事件を受けて、保護者などから登下校中の子どもの安全をどのように守るのか、ネット上では…

wagako190530.2.jpg一方、教育関係者と見られる人は…

wagako190530.3.jpg<見守り強化の動きも>
学校現場では、児童の安全対策を強化したところも出ています。

東京 文京区にある筑波大学附属小学校は、750人余りの児童のほとんどが電車やバスを利用して登校しています。学校は最寄りの駅から5分ほど。

川崎市の事件のあと、駅から学校までの道のりで、子どもたちを見守る教師の人数を増やしたほか、近くの交番の警察官にも注意して警戒するようお願いしました。また、近くのほかの学校の保護者にも協力してもらって、子どもの見守りを行う大人を増やしました。

副校長は「できるかぎりのことをして子どもたちの安全の確保に努めたい」と話していました。

埼玉県狭山市にある私立小学校は、多くの児童が利用する3つの駅からスクールバスを運行しています。

大阪 池田市の大阪教育大学附属池田小学校で、8人の児童が男に殺害される事件が起きたことから、学校の中はもちろん、警備が手薄になりがちな登下校時の見守りは地元の警備会社に依頼しています。

集合場所のバス停には警備会社の担当者を配置し、児童を10人前後の班にわけて人数と名前を確認してからバスに乗せています。川崎市で起きた事件を受けて、集合場所のバス停には警備会社の担当者に加えて、教員も1人ずつ配置して見守りを強化したほか、児童と保護者向けに文書を配布し、バスを待つ間も周囲に気を配り安全確保に務めるよう注意を呼びかけたと言うことです。

校長は、「登下校時の安全対策を最大限にとっていた小学校であのような痛ましい事件が起きたことは大変なショックで、戸惑っています。安全対策には費用がかかりますが子どもたちの安全には代えがたいという認識を改めて強く持ちました。今以上に何ができるのか考え続けたいです」と話していました。

<不審者対応の訓練も>
鹿児島県鹿屋市の花岡小学校はスクールバスの停留所で登下校にバスを使っている小学生が不審者に遭遇した場合の訓練を行いました。

wagako190530.4.jpgバスを待っていた小学生に不審者役の学校の先生が「お菓子をあげるよ」と言いながら児童のランドセルをつかもうとしました。児童は背負っていたランドセルを脱ぎ捨てて走り去り、素早く逃げられるよう、対応を確認していました。

校長は「自分が危ないと思ったらすぐに逃げることができるようになってほしい。私たちもできることをやっていきたい」と話していました。

徳島市の保育所でも警察と協力して刃物を持つ不審者への対応を確認する訓練が行われ、不審者役の警察職員が両手に刃物のようなものを持って子どもたちに近づいてくるのに気付くと、保育所の職員は急いでスクールバスの中に全員を避難させました。

wagako190530.5.jpgそして別の職員がモップなどを持って不審者を遠ざけている間に、バスの中にいる職員が携帯電話で通報し、駆けつけた警察官が警棒などを使って取り押さえました。

訓練を行った保育所の園長は、「送迎の時、少ない職員で子どもたちを守るのはとても難しいことだと改めて感じました。こうした訓練を十分に行っていざという時に適切な対応ができるようにしたい」と話していました。

<警察や警察OBの活用を>
どうすれば登下校時の子どもの安全を確保できるのか。子どもの防犯対策に詳しい「日本こどもの安全教育総合研究所」の宮田美恵子理事長は次のように話しています。

wagako190530.6.jpg日本こどもの安全教育総合研究所 宮田美恵子理事長

「今回の川崎市で起きた事件のような犯行への対策は地域の見守り活動の役割を超えたもので、切り分けた対策が必要だ。弱い人をねらうテロ的な犯行は警戒の手薄なところが狙われるので例えば、朝の通学の時間だけでも制服の警察官が巡回するなど、『目に見える防犯活動』ができれば、弱いものをねらう犯行は狙えなくなる。また、防犯に関して専門的な知識のある警察OBの力も活用し、手薄になる場所をなくすことが子どもたちをターゲットにした犯罪をなくすことにつながる」

投稿者:田辺幹夫 | 投稿時間:10時54分

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