2018年11月07日 (水)そうだったのか!?計画運休


※2018年10月2日にNHK News Up に掲載されました。

台風24号で首都圏の人たちが初めて経験した鉄道の計画運休。でも「午後8時以降運転取りやめってどういうこと」「地元への終電は何時になるの」ネットでは疑問が相次ぎました。さらに、翌日の混乱についてはこんな指摘も。「計画運休した段階で翌日も混乱すること予想つくよね」。嵐が過ぎ去って考える、次への教訓です。

ネットワーク報道部記者 吉永なつみ 大窪奈緒子 鮎合真介

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<初めての計画運休>
そのニュースが伝わったのは30日正午すぎ。JR東日本が午後8時以降、首都圏の在来線のすべての路線について運転を取りやめると発表したのです。

sou181002.2.jpg台風24号が、宮崎市の海上を進んでいる時のことでした。台風の影響でJR東日本が鉄道の運休をあらかじめ決める計画運休を実施するのは確認できるかぎり今回が初めてだということで、多くの人たちがネット上に驚きの言葉をつぶやきました。

「計画運休って言葉初めて知った」
「いやーこれおおごとだよ、さっきまで乗ってた山手線も8時で止まるなんて」
「出た!計画運休。JR東日本がここまで言うの初めてじゃないかな」


<午後8時以降の意味は?>
初めての経験ゆえにネット上では戸惑いの声も相次ぎました。

sou181002.3.jpg記事を書いている記者もちょっと自信がありません。

改めてJR東日本に聞いてみました。
「8時以降運転とりやめという場合はその時間までは通常運行で以降は順次、運休するという意味です。8時をもってすべての電車が運転を停止するという意味ではありません。自分が行きたい駅まで行くのに何時が終電なのかはそれぞれが各駅で調べてもらうほかありません」


<一部で前倒しも>

sou181002.4.jpg30日のJR舞浜駅
ちなみに、9月30日の日中、多くの人で賑わっていた東京ディズニーランドの最寄り駅「舞浜駅」を通るJR京葉線については、2時間ほど前倒しして午後6時以降運転を取りやめると発表されていました。
他の路線より台風の影響を受けやすい地域性を考慮してのことだそうで、こういうケースがあることも注意しなければなりません。


<“先輩”JR西日本は?>
sou181002.5.jpgJR大阪駅
計画運休の取り組みは、JR西日本など関西の鉄道会社が先行しています。
JR西日本は4年前の台風19号接近の際に、初めて「計画運休」を発表。ことしも台風21号と今回の台風24号で、JR西日本や私鉄が台風が接近する前日までに発表しました。
では、どのように情報提供を行っているのでしょうか?
JR西日本が台風24号の対応で動き出したのは運休した30日の2日前のこと。「9月30日昼ごろから10月1日にかけて列車の運転を取りやめる可能性があります」と呼びかけを行いました。

続いては翌日29日午後2時すぎ、「9月30日の午前8時から順次列車の運転を取りやめて、おおむね正午までには列車の運転を取りやめます」と発表したのです。

sou181002.6.jpgJR東日本と違って前々日からアナウンスを始めたほか、運転取りやめが始まってから本当に止まるまでの時間のめどを説明しています。
「お客様の生活や企業運営にも関わる重要なお知らせですので、運転を取りやめる期間を明確にわかりやすく前日までにお伝えするよう工夫しています」(JR西日本)。

sou181002.7.jpgこうして見ると計画運休は情報提供の在り方が大切になりそうで、国土交通省も今回の首都圏での情報提供の在り方について、検証する会議を開くことを明らかにしています。


<計画運休が行動基準に?>
sou181002.8.jpg鉄道ライター 枝久保達也さん
では、私たちは計画運休が発表されたらどう対応すればよいのでしょうか。鉄道ライターの枝久保達也さんは「逆算して行動せよ」と指摘します。

「鉄道会社が発表する計画運休は『電車が止まるほどひどい災害が起きるおそれがある』と受け止めるべき。計画運休が発表されたら、私用なら帰宅する。仕事でやむをえない場合なら宿泊先を早めに確保して災害をやり過ごす方法を探す。企業であれば社員を早めに帰宅させる、商業施設なら休業にするなど、運休から逆算して行動することが大切です。これからは『計画運休』が災害時の個人や企業の新しい行動基準になると思います」と話しています。


<翌日の大混雑>

sou181002.9.jpg1日朝のJR三鷹駅
一方、計画運休を実施した翌日、首都圏各地では大混雑が起きました。

午前8時半ごろのJR中央線 三鷹駅は、駅に入れず外まで長蛇の列ができていました。
利用客の1人は、「三鷹駅でこれだけ混んでいるのは初めて。夜中に台風が過ぎたのでけさはもう大丈夫だと思ってきたら、このとおりなのでがっかりしている」と話していました。
原因は四ツ谷駅で中央線の快速電車の線路内に木が倒れたことでした。快速電車が昼前まで運転できなくなった中、乗客が駅に押し寄せたため、大混雑が各地で起きたのです。

sou181002.10.jpg実は、JR東日本は、30日の夜の時点で「1日は始発からおおむね平常どおり、運転する見通し」としていて、すべての在来線で運転を見合わせるとアナウンスしたのは、当日午前4時のことでした。ネット上では、見通しの甘さを指摘する声が相次ぎました。

「計画運休はよかったが、今朝も思い切って動かせないって昨日のうちから言ったほうがよかったかもね」
「計画運休した段階で、翌朝も混乱すること予想つくよね?会社側も午前休にするとか少しは考えたら?」

JR東日本は、「台風の影響が想定より大きかった。多くのお客様にご迷惑をおかけしたことは反省している」としていて今後の対応に課題を残す形になりました。


<嵐が過ぎ去って考える教訓>
このところ、大きな災害が相次ぐ日本。温暖化もあって台風の被害も避けられなくなっているのが現実です。こうした中で行われた計画運休について、専門家はもちろん、一般の利用者からも評価する声が相次いでいます。

sou181002.11.jpg鉄道ジャーナリスト 土屋武之さん
「利用客の多い首都圏で被害が出てから運休していたら多くの人が列車内に閉じ込められてしまい、被害を大きくしてしまうので今回の判断は適切だった」(鉄道ジャーナリスト 土屋武之さん)

今回の対応が、「計画運休が広まり減災対策の転換点となった」とされるよう、鉄道会社や私たちがその意味をきちんと理解し行動することが大切だと感じました。

投稿者:吉永なつみ | 投稿時間:16時15分

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