2018年09月21日 (金)雨不足の地域も 生活への影響広がる


※2018年8月13日にNHK News Up に掲載されました。

西日本を中心にした豪雨や相次ぐ台風の接近。ことしの夏は各地で記録的な雨を観測し深刻な被害が出ています。しかし、その一方で例年よりも極端に雨の少ない地域もあり、生活への影響が出始めています。

ネットワーク報道部記者 後藤岳彦・大窪奈緒子・鮎合真介

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<水不足打開へ神頼み>
山形県寒河江市で今月2日雨乞いが行われました。地元の農家など80人が参加して恵みの雨が降ってほしいと必死の思いで祈願しました。

ame180813.2.jpg雨乞いは水不足を訴える農家から切実な声を受けてJAさがえ西村山が6年ぶりに実施しました。山形地方気象台によると、寒河江市を含む西村山地方では5月下旬から雨が非常に少なく、7月の降水量は平年のおよそ3割しかありませんでした。

このため農家の人たちは水を確保するために最上川や寒河江川からポンプで水をくみ上げるなどの対策をとっていましたがそれでも田んぼが干上がるなどの影響が出ていました。

ame180813.3.jpgJAさがえ西村山 営農企画課の清野睦彦課長は「神にもすがる思いだ」と話していました。

山形県内では今月5日から6日にかけて広い範囲で断続的に猛烈な雨が降り住宅が浸水するなどの被害が相次ぎました。この雨で寒河江市では水不足はおおむね解消され農家からは安どの声が聞かれますが、急激な天候の変化へのとまどいもあるということです。


<豪雨後 降水量少ない状態>
こちらは西日本豪雨のあとの7月14日から8月12日までの30日間の降水量を平年と比較した図です。

ame180813.4.jpg東北地方や関東の周辺では平年より降水量が多い水色の地域が広がっていることがわかります。

一方、濃い茶色は平年の降水量の2割以下の地域を示しています。西日本や北陸などの広い範囲で雨が少なくなっています。

観測地点ごとにみますと、新潟県村上市が8.5ミリで平年の6%、福島県の西会津町が4.5ミリで平年の3%などと降水量が平年の10%に満たない地点も。このほかにも、金沢市が5ミリで平年の3%、福井市が9.5ミリで平年の6%富山市が20ミリで平年の11%などと降水量が少なくなっています。

また、西日本でも松江市が4ミリで平年の3%、広島県の三次市が7.5ミリで平年の4%、山口市が24ミリで平年の12%長崎市が30.5ミリで平年の14%などとなっています。

さらにこちらの図は西日本豪雨が発生した時期を含む6月14日から8月12日までの60日間の降水量をあらわしています。

ame180813.5.jpg広い範囲で平年よりも降水量が多い水色の地域が広がっていて、豪雨のあと、いかに雨が降っていないのかがデータからもわかります。


<取水制限する地域も>
雨が少ない状態が続いてダムの貯水率が低下し、取水制限が行われている地域もあります。

鬼怒川の上流にある栃木県の川俣ダムや五十里ダムなど国が管理する4つのダムでは6月から雨の少ない状態が続いていて、先月10日から茨城県で農業用水、栃木県で水道用水と農業用水、工業用水でいずれも10%の取水制限を行っています。

ame180813.6.jpg川俣ダム 7月8日撮影

国土交通省によりますと、4つのダムを合わせた貯水率は先月27日の時点で50%未満となり、台風12号で降った雨でも貯水量が十分回復せず、13日の時点で貯水率は78%にとどまっています。

国土交通省関東地方整備局では「鬼怒川だけでなく、ほかの利根川水系の8つのダムの貯水量もことしの夏は平年にくらべ少ない状態が続いているので、家庭でも節水を心がけてほしい」と呼びかけています。

また、香川県や徳島県の主な水源である早明浦ダムでも貯水率が低下し、12日から香川県で20%、徳島県で15.3%の取水制限が行われています。

ame180813.7.jpg早明浦ダム 8月13日撮影
香川県庁では、庁内にある洗面所およそ300か所の蛇口の水圧を下げたり、県が管理している公園などの噴水の運転を停止したりして節水の工夫をしているということです。

ame180813.8.jpg香川県水資源対策課の亀井正知主幹は「このほかにも立て看板を設置したり公用車にプレートを掲示したりして市民に節水を呼びかけています。これからますます水の需要が高まる時期なので、できるかぎり節水に取り組んでいきたい」と話しています。


<雨不足の影響広がる>
雨不足による影響は広がっています。

山形県米沢市では深刻な水不足でこの夏の市営プールの営業を今月10日、急きょ打ち切りました。営業中止を知らずに市営プールに来た子どもは「水泳が好きなので泳げないので残念です」と話していました。米沢市では13日からはすべての小学校のプールの夏休み中の児童への開放を中止しました。

ame180813.9.jpg新潟県長岡市ではニシキゴイの養殖にも影響が出ています。国内有数のニシキゴイの産地として知られる長岡市山古志地区。ここでニシキゴイの養殖を営む星野和弘さんはおよそ10種類のニシキゴイを50の池で育てています。

ame180813.10.jpgふだんは雨と井戸水によって水位を保っていますが、雨が少ないため一部の池では水位が半分以下になっています。

ame180813.11.jpg井戸水だけでは水の供給に限りがあるためこのまま水位が下がって水質が悪化するとコイが病気にかかるおそれがあります。このため星野さんは水深が50センチ前後まで減った7つの池のコイを別の池に移しかえました。多くのコイをまとめて飼育するとストレスによって成長に影響が出ることもあり、対応に苦慮しています。

星野さんは「これほどの渇水は経験したことがない。自然が相手なのでどうしようもないが、秋には出荷を控えているのでコイの成長が心配です」と話していました。

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<今後の見通しは>
今後の見通しはどうなのか。

気象庁が発表した8月11日~9月10日までの1か月予報。降水量は北日本と沖縄・奄美では平年並みか多い見込み、東日本と西日本はほぼ平年並の見込みと予想されています。

また期間の前半は東日本の日本海側と西日本では降水量の少ない状態が続くところもある見込みだとしています。

8月は高気圧に覆われて晴れる日が多く降水量が少ない時期にあたるため、気象庁では「西日本を中心に厳しい暑さが続く見込みだ。今後、降水量が平年並みか平年より多くなったとしても、これまでの雨の少ない状態が解消したり、ダムの水がめを潤したりするような降水量にはならない可能性もある」と話しています。

投稿者:後藤岳彦 | 投稿時間:16時30分

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