2018年04月26日 (木)1人の観光客が感染広げたか ワクチン接種を


※2018年4月9日にNHK News Up に掲載されました。

その外国人観光客は発熱して3日後、多くの人でごった返す繁華街を歩いていました。この観光客と接触したとみられる、少なくとも7人が、その後「はしか」を発症。沖縄県内では8日時点で、「はしか」の感染者が34人、感染拡大が止まりません。沖縄では平成10年から13年まで流行した際に、9人の子どもが犠牲になっていて、関係者が「はしかゼロ」に向けた取り組みを続ける中で起きた、今回の感染拡大。感染はどのように広がり、私たちは何に気をつければいいのでしょうか。

沖縄放送局記者 小島萌衣
福岡放送局記者 米山奈々美
ネットワーク報道部記者 後藤岳彦 玉木香代子

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<3日間にわたり沖縄本島内を移動>
沖縄県内で、なぜ、はしかの感染が拡大したのか。

沖縄県によりますと、先月20日、台湾から沖縄を観光で訪れた30代の男性がはしかに感染していることが確認されました。
沖縄県による男性の行動歴です。

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<同じ商業施設にいた人が7人も>
その後、那覇市や糸満市、名護市などに住む、0歳から50代までの幅広い年齢層で、はしかの感染が確認され、感染者は8日時点で34人に上っています。

このうち7人は、男性と同じホテルの宿泊客や男性が利用した飲食店の店員などで、男性と接触した可能性が高いということです。

またはっきりと接触が確認できていないものの、男性が訪れた同じ日に、那覇市の新都心にある大型商業施設を訪れた人も7人います。

県は、流行の兆しが見られるとして、はしかの発生状況が県独自の基準で最高レベルの「レベル3」に該当すると発表し、注意を呼びかけています。


<「はしか」とは>
「はしか」はウイルスによって引き起こされる感染症で「麻疹(ましん)」とも呼ばれます。感染するとおよそ10日後に発熱やせき、鼻水などかぜのような症状が見られたあと、39度以上の高熱が出て、顔や体に発疹が現れます。

hit180409.3.jpgはしかにかかった赤ちゃん
患者の3割が肺炎や中耳炎など、合併症を引き起こすとされています。また、1000人に1人が脳炎を起こすとされ、後遺症が残り、死に至ることもあります。

「はしか」の最大の特徴は感染力が非常に強いことです。空気感染するので、免疫がなければ、職場や電車の中などの同じ空間にいるだけで、感染することがあるのです。


<現在は2回の予防接種>
感染拡大を防ぐ手立てはないのか。厚生労働省によりますと、はしかの予防としては、ワクチン接種が最も有効な方法で、定期予防の接種対象者が決まっています。

hit180409.4.jpg第1期が生後12か月以上24か月未満、つまり1歳の子どもで、第2期が小学校就学前の1年間にある子ども、つまり、保育園などの年長にあたる子どもです。1歳のころの接種の効果がなくなりはじめる6歳に再び受けさせて、免疫をつけるという仕組みです。


<予防接種受けていない世代も>
現在は2回となっている「はしか」の定期予防接種ですが、予防接種を受けていなかったり、1回だけの接種で免疫が十分でない世代がいます。平成2年4月より前に生まれた世代です。

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<感染広がる背景は>
はしかの感染が広がっている背景には何があるのか。沖縄県豊見城市にある「ぐしこどもクリニック」の小児科医、具志一男さんは、予防接種の時期が背景にあるのではないかと指摘しています。

具志さんによりますと、感染者34人のうち、2回のワクチン接種をしていた人は2人にとどまり、それ以外の人は、一度も接種していないか、1回の接種のみ、あるいは接種したかどうか分からない人だということです。

hit180409.6.jpg今回「はしか」にかかった人は40代以下の人が多く、予防接種を1回しか受けていない世代が「はしか」への免疫が落ち、感染している可能性があると指摘しています。2回受けたにもかかわらず、感染した人がいることについて、具志さんは、免疫が落ちて感染することもあるが、重症化を防ぐことができるとしています。


<沖縄では子ども9人犠牲になったことも>
実は、沖縄県内では平成10年から13年にかけて「はしか」が流行し、乳幼児合わせて9人が死亡したことがありました。

このため、沖縄県や医療関係者などが「はしか」撲滅を目指して「はしか“0”プロジェクト」という予防活動の普及を進めています。

このプロジェクトの委員長を務める具志さんは「1回目の定期予防接種を受ける前の0歳児の感染が特に注意が必要だ。国内で感染者が出るケースのほとんどが、海外で感染した人が国内に持ち込んだケースで、今後も多くの旅行者が海外から訪れることを考えると早急な対策が必要だ」と話しています。


<旅行前に確認を、2回のワクチン接種>
これから夏にかけてますます増える外国人旅行者。一方、海外旅行をする人も増えます。大型連休も近づいています。今後の対策について、感染予防に詳しい、国立国際医療研究センターの国際感染症対策室の医長、忽那賢志さんに話を聞きました。

対策室では、外国人にわかるように疑わしい症状が出た場合、人混みに出て、多くの人と接触するのを避け、直ちに保健所に電話で連絡するよう、英語や中国語だけでなく、ベトナム語など多言語で呼びかけています。

hit180409.7.jpgまた、日本人に向けても、今の沖縄も含めて、はしかが流行している地域に足を運ぶ場合には、子どもだけでなく大人も含めて、2回のワクチン接種を受けているかどうか母子手帳などで確認するよう呼びかけています。

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<命に関わる事態避けるためワクチン接種を>
厚生労働省は去年から、海外に出張や旅行で出かける人向けに、かつての人気アニメとコラボレーションして「麻しんがゼロ」を合い言葉に、ワクチン接種などを呼びかけています。

hit180409.9.jpg国際感染症対策室の医長の忽那賢志さんは、「はしかはワクチン接種が有効な病気でもあるので、これ以上の流行を食い止め、命にかかわる事態を避けるためにも、ワクチン接種がまだの人は、大型連休の前に受けてほしい」と話しています。はしかの感染力はインフルエンザ以上です。感染した旅行客が日本を訪れるリスクがある一方、海外旅行で感染するリスクもある中、自分が予防接種を受けたことがあるのかないのかよく調べて、きちんと対策を取りたいものです。

投稿者:後藤岳彦 | 投稿時間:16時08分

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