2012年10月26日 (金)インプラント治療、事前検査徹底を


あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を取り付けるインプラント治療を安全に行うための対策を考えるシンポジウムが10月13日、横浜市で開かれ、多くの患者が治療の障害になる持病を抱えている実態などが報告され、事前の検査の必要性が確認されました。

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インプラント治療は「入れ歯などよりも強くかめて自分の歯に近い感覚を持てる」として普及が進んでいますが、一部の歯科医師の技術が不十分なことなどから治療後、しびれや痛みが残ったり、炎症が起きたりするトラブルがあとを絶ちません。今回のシンポジウムはインプラント治療の安全対策を進めようと開かれ、歯科医師らおよそ150人が参加しました。

20121026ha_5.jpgまず、国立保健医療科学院の玉置洋主任研究官が厚生労働省の研究班として行った、全国の歯科がある大学病院への調査結果を発表しました。この中では、回答があった43の病院でおととしまでの5年間に、歯科医院などでインプラント治療を受けたあと「金属があごの骨を貫通してマヒや炎症が残った」などのトラブルを訴えて患者が訪れたケースが307件あったことが報告されました。最も多い病院では70件のトラブルを扱ったということです。

20121026ha_2.jpg続いて、東京歯科大学の矢島安朝教授が自分の病院でインプラントの治療に訪れた769人の患者に対して行った事前検査の結果について紹介しました。それによると、血液検査や尿検査の結果、52%の患者に糖尿病や貧血などの数値で異常が確認されましたが、このうち87%の人が異常を自覚していませんでした。特に70人の患者については内科での治療が必要なレベルだったということです。糖尿病や貧血などの持病がある人は炎症を起こしやすいなど、治療後のトラブルにつながるおそれがあるため、矢島教授は「事前検査を徹底することがトラブルの防止につながる」と訴えました。

20121026ha_3.jpgシンポジウムを開いた鶴見大学先制医療研究センターの佐藤慶太准教授は「インプラント治療の安全を確保するには技術の向上だけでなく、患者の状況を見極めた上で、インプラント治療をしないという判断力も必要になってくる。患者側も持病や飲んでいる薬についての情報を歯科医師にしっかりと伝えてほしい」と話していました。

20121026ha_4.jpgインプラントは適切に行われれば患者の生活の質を大いに高めてくれる治療法で、「歯科における20世紀最大の発明」とも言われています。しかし、モラルの欠如を背景にした知識や技術を伴わない治療によるトラブルで、その信頼は大きく揺らいでいます。今回の取材を通じて感じたのは歯科業界の強い危機感でした。

ある出席者は「信頼を取り戻さないと、インプラントは高い実力を持ちながら国民の健康に寄与できないという大きな矛盾を抱えた治療法になってしまう」と話していました。業界を挙げて始まったインプラントの安全対策の取り組み。今後もその挑戦をしっかり追っていきたいと思います。

投稿者:辻英志朗 | 投稿時間:06時00分

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