2011年11月22日 (火)子どもの歯並び 生活習慣に注意を


きょうのテーマは、「子どもの歯並び」についてです。

子どもの虫歯が減少傾向にあるなか、今、多くの親にとって関心があるのが「歯並び」です。実際、東京・品川区で行われた歯科検診の会場で聞いてみると、「歯並びがよくない可能性があると指摘されたので、気になっている」とか、「お姉ちゃんが歯並び悪いので、息子にはできればよい歯並びでいてほしい」などという声が聞かれました。
歯科検診に当たった歯科医師は「質問の比率では虫歯より歯並びのほうが多い」と述べ、親は子どもの歯並びに関心が高いようです。

ことし5月に歯科器具メーカーが母親300人を対象に行った意識調査では、62%、3人に2人が、子どもの歯並びが「よくない」と答え、悩みの一つになっていることがうかがえます。
歯並びが悪いのは、遺伝と考えられがちですが、実は、小さいときの生活習慣も大きく関わっていることが分かってきました。何が原因で、どうすればいいのか取材してきました。

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横浜市に住む小学4年生、9歳の男児の母親は、男児が小学校に入学したころ、歯並びが悪くてうまく食べられないことに不安を感じていました。

1122W.jpg当時の写真を見ると、上の前歯が出ているうえ、かみ合わせが悪く、大きな隙間があります。おにぎりだと、のりがかみ切れず、ぼろぼろになってしまったといいます。心配した母親が歯科医師に相談したところ、意外なことを告げられました。

男児は小さいときから、舌を出す癖があって、その癖で前歯が舌で押され、力を加え続けることで、歯が前に出てきたというのです。

1122Q.jpg診断した矯正の歯科医師からは、舌が邪魔になって歯が下りて来られないとか、歯が出て押し出してしまっているなどの理由で、舌を出す癖が続くとよくないと言われたということです。

男児が通っている矯正歯科の歯科医師、大野粛英先生は、40年以上にわたって歯の矯正を行っていて、歯並びが悪くなっている人の半数以上は、遺伝ではなく、生活習慣が原因だと指摘します

大野先生に歯並びを悪くする原因を挙げてもらいました。

1122E.jpg舌の癖
先ほど紹介した男児のように、舌を出す癖が原因で前歯が前に出てくるケース。舌で歯が押され続けていると、上の前歯が出て来るし、上下にも隙間が空くとしています。

指しゃぶり
指しゃぶりが原因で前歯が出て、上下の前歯に隙間が開いて、ものを飲み込むときに舌が前に出てくると説明しています。かみ合わせが横にずれてしまうケー スもあると指摘します。小さいうちはあまり神経質になる必要はないものの、4歳ぐらいまでにやめることができればと話していました。

ほかの癖
ほおづえをつく癖が、歯並びに影響したケースもあります。ずっと片方が押される力が加わり続けることで、あごの形にも影響し、歯が斜めになっています。

1122L.jpg乳歯の虫歯
これは癖ではありませんが、乳歯の虫歯にも注意が必要です。乳歯が虫歯となって早い時期に抜いてしまうと、歯並びを悪くする原因になるからです。

大野先生は、こうした生活習慣の癖を早く直すことで予防できるケースが多いと、次のように述べています。

「親は、歯並びが悪いというのは遺伝だというふうにとらえますから、後天的な原因で歯並びが悪くなることはなかなか気づかない。悪い癖は早めに見つけて、早めに治療すれば矯正しないで済むこともあります」

1122K.jpg子どもの歯並びについて、親の意識を高めてもらおうと、自治体も取り組みを始めました。

1122J.jpg山梨県南アルプス市では、この夏から、県内の矯正歯科医に協力してもらい、保育園などで講座を始めました。講座では、歯並びに悪い影響がある指しゃぶりや口呼吸、それに舌を出す癖を直すコツをアドバイスしています。

その一つが舌を鳴らす訓練舌が出ないよう、上あごにくっついた状態を身につけてもらうのがねらいです。

また、口元の筋肉を鍛えて口を閉じる癖をつける訓練も行います。口が開いたままだと歯が前に出るなど歯並びに影響するため、それを防ぐのです。さらに、こうした訓練を取り入れたダンスも紹介されました。
講座に参加した母親たちは「小さいときの予防が将来大きく関わってくるということが分かりました」とか、「遊びながらトレーニングする方法も教えてもらったので、帰ったら上の子も含めてできたらいいかなと思います」と話していました。

【かみ方の違いで歯並びも】
さらに、最近の研究では、食べるときの「かみ方」も歯並びに関係していることが分かってきました。
あごが小さいと歯がうまく並ばず、でこぼこになりがちです。
日本大学松戸歯学部で子どもの歯並びについて研究している葛西一貴教授は、あごの成長は、「かむ回数」だけでなく、「かみ方」で変わると指摘しています。

固いものを食べる機会が少ない子どもは、かみ方が単純な上下運動になります。
一方、固いものを食べるときには、奥歯をすりつぶすように、横に動かしてかむ方法になります。この横に動く力が加わることで、あごの成長が促されます。かみ方の違いが歯並びにどう影響したか調べました。

1122G.jpg葛西教授は
「永久歯が同じようにがたがたしていますが、すりつぶしのかみ方ができる子どもと、縦方向のかみ方しかできない子どもを比べると、6年生になったときに前歯のガタガタが改善されるのと増悪するのに分かれます」と述べています。
葛西教授は、あごが成長することで歯並びがよくなっている点を挙げ、さらに「おかずだと野菜サラダで構わないが、根菜類、子どもだと、スティックサラダのような固いものを食べるときにすりつぶしの運動を意識するのが第一です」と話しています。

1122F.jpg歯並びの改善はほかにも方法があります。
最初に紹介した男児は、舌の癖を直すため、歯科医師の指導を受けてボタンを口に入れて糸で引っ張り、口元の筋肉を鍛える訓練などを2年かけて進めていて、歯並びはかなり改善されたといいます。
「正しいかみ方」については、子ども向けのトレーニング用のガムを歯科医などで購入できます。これは、毎日10分ほどガムをかむことで、あごの成長を促します。

1122D.jpg食事のときに注意すべき点もあります。
いすに座った際に、足が宙ぶらりんにならないように踏み台などを置いて、足の裏がぴったりと着いた状態で座ることが大切です。正しい姿勢で座ることで、あごにきちんと力が伝わり、成長につながるのです。
こうしたトレーニングは、永久歯が生えそろうまで、できれば、小学校の低学年までに習慣づけることがポイントだということです。

1122C.jpg遺伝的な要因で、治すには矯正治療を受ける以外に方法がないケースもありますが、親子にとって負担を感じすぎない範囲で、家庭の中で予防に取り組んでいくことにも目を向けてはいかがでしょうか。

投稿者:森田拓志 | 投稿時間:06時00分

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