2011年11月08日 (火)入れ歯が"合わなくなる"


歯についての問題を抱えている人を取材していて、私が最も多く聞く声は、「入れ歯が合わない」というものです。

入れ歯を使っている人の割合、厚生労働省によりますと、65歳以上の実に9割に上ります。今回は、高齢化に伴って、入れ歯に悩むお年寄りが増えているという問題についてお伝えします。

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【入れ歯が“合わなくなる”お年寄り】
私が取材した浜松市の老人保健施設「白梅ケアホーム」では、入所してくる高齢者のおよそ7割が総入れ歯で、そのほとんどの人が入れ歯が合わないという問題を抱えています。

20111108021.jpgことし9月に入所した99歳の男性もその1人。長年、入れ歯が合わない状態で無理に食べていたため、うまくかめず、食べ物が誤って気管に入り、発熱することがたびたびあったといいます。

施設の歯科衛生士の柳林愛さんは
「上の入れ歯が口を開ければすぐ落ちてくる状態で、ずっと食事をしてきたようです。新しく入所され る方のうち、入れ歯をしているたいていの方は不具合が生じている状態で、それで食べられない、かめない、飲み込みづらいという悩みを抱えています」と話していました。

20111108018.jpg【入れ歯が合わない原因】
歯が無くなっても、しばらくは歯を支えていた歯ぐきが土手のように残り、一般的な入れ歯は、この土手に乗せて、唾液の吸着力などで固定します。(下の2つの画像)

20111108017.jpg20111108011.jpgところが、歯ぐきは歯が抜けると、支えていた骨がやせ細っていき、20年ほどたつと平らになってしまいます。
こうなると、入れ歯が接着する面積が小さくなって固定が難しく、ぐらつきます。(下の2画像)

20111108016.jpg20111108015.jpg90歳以上の人がこの10年で倍増して130万人を突破した今、歯ぐきが細って、入れ歯が歯ぐきと合わない高齢者の増加が、歯科医療の現場で問題となっています。

歯科医師の糟谷政治さんは
「土手がある人を見つけるのが難しいくらい、今はほとんど平らに近い人が本当にいっぱいです」と話しています。

20111108012.jpg【今までとは違う入れ歯の登場】
こうした状況に対応するため、今、歯科医師を対象にした入れ歯のセミナーが各地で開かれています。
先月30日に東京都内で開かれたセミナーには、全国から120人が集まり、従来とは固定の仕方が違う入れ歯について説明を受けていました。

20111108023.jpgこの入れ歯、なくなった歯ぐきの部分を補うため、入れ歯全体を大きくしてあります。そして、歯ぐきではなく、ほおや舌、口の周りの筋肉の圧力で立体的に包み込んで固定します。(下の2画像)

20111108014.jpg20111108013.jpg参加者の1人は「今まで学校で教えてもらっていた方法では、ちょっと、限界が来ていると自分も感じているので、これからの目指す方向を示してもらいました」と話していました。

【新しい入れ歯で悩みが解決する高齢者も】
冒頭で紹介した99歳の男性は、セミナーで紹介されたタイプの新しい入れ歯を作成しました。
下の画像、左側にある新しい入れ歯は、右の古い入れ歯と比べて、歯ぐきの部分が厚く、ひとまわり大きくなっています。入れ歯が動く隙間がないため、以前のようにぐらつかなくなりました。

20111108024.jpg食事を済ませた男性に感想を聞くと、「食事がうんとうまくなった。入れ歯を入れてあーよかったなあと思ったよ」と話していました。

このタイプの入れ歯、使われている素材は保険が適用されるもので、価格は変わらないということです。
ただ、現状では、どこの歯科医院でも対応できるというわけではありません。取材を進めていくと、歯科大学によっても入れ歯の作成手法の教育内容は異なっていて、入れ歯を得意とする歯科医もいれば、不得意な歯科医もいるようです。
今の入れ歯が合わないという人は、まずは、かかりつけの歯科医師に相談してみてください。

投稿者:米原達生 | 投稿時間:06時00分

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コメント

入れ歯の良し悪しは、歯科医だけでなく入れ歯を作る歯科技工士もおおいに関係しています。入れ歯が合わない人は歯科医だけでなく歯科技工士に相談してみるのもいいことだと思います。もしかしたら、入れ歯を得意としている歯科医を教えてくれるかもしれませんし。

投稿日時:2011年11月08日 14時20分 | 須藤哲生

 私は足立区で、主治医の指示により患者の在宅訪問栄養指導を行っている管理栄養士です。高齢の患者宅で栄養指導を行いますが、その際に口腔内に問題のある患者も多く、ケアマネジャーに提案して歯科医にかかってもらい、口腔内の問題を解決してもらいます。口腔内の問題が解決すると、食べられる物が多くなるし、食形態もアップするため栄養の問題も解決する場合が多く見られます。低栄養の問題が在宅高齢者の中でクローズアップされる中、口腔内の改善は、栄養改善の大きな鍵となるのです。また栄養改善するとADLが改善し、QOLの向上につながります。

福岡クリニック在宅部栄養課 中村育子

投稿日時:2011年11月08日 18時30分 | 中村育子

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