みんなで参加しよう!

Why!?大喜利
入賞作品紹介
これまでのお題

みんなのプログラム

プログラミングを学ぼう

  • スクラッチをはじめよう
  • 動画でわかるスクラッチコマンド
  • インタビュー

プログラミングで夢を描け!

生みの親が教える「世界の歌姫」たん生のひみつ

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 初音ミク/歌声合成関連プロジェクト 企画責任者 佐々木 渉(ささき・わたる)さん

コンピューターに歌を歌わせる「バーチャル・シンガー」というソフトがある。「初音(はつね)ミク」は、その中で最も有名なソフトのひとつだ。およそ10年前にこのソフトが発売されると、インターネットに初音ミクが歌う作品がたくさん投稿(とうこう)され、一気に大ヒットした。青緑色で長い髪(かみ)の女の子のキャラクターイメージも有名だ。
初音ミクが歌う曲は、テレビ番組のテーマソングやCMにも使われてきたので、みんなもその歌声を一度は聞いたことがあるんじゃないかな?
今回は、「初音ミク」の生みの親、佐々木さんに「初音ミク」誕生(たんじょう)のお話を聞くよ。

バーチャル・シンガー「初音ミク」に初挑戦

今日はまずバーチャル・シンガーソフトがどういうものか知るために、実際に私が「初音ミク」を歌わせることに挑戦したいと思います!
曲は『Why!?プログラミング』でも登場した「キラキラ星」にします。うまく歌ってくれるかな?本当に初めてですので、佐々木さん、やさしく教えて下さい。

佐々木 渉(ささき・わたる)さん

これまでインタビューをたくさん受けてきましたが、こんな始まり方は初めてですね(笑)。
でも、いいですよ、やりましょう。
まず、歌のメロディーの「音の高さ」と「音の長さ」をパソコンのエディター画面で書いていきます。歌詞(かし)は、その後で入れていきましょう。

キラキラ星のメロディーは「ドドソソ|ララソー|ファファミミ|レレドー」だから、「ソー」と「ドー」だけ少し長いです。音の高さに合わせて上下の位置を決めて、音の長さに合わせて横線をのばして書けばいいんですね。だいたいこんなものでしょうか…。(10分経過)はい、メロディーが書けました!

piapro studio開発画面

▲「きらきら星」作成中の画面。
はじめに音の高さを入力。左の鍵盤(けんばん)にあわせて入力するよ。歌詞を何も入れていない状態だと歌詞は「ら」が入力されるんだ。音の高さ・音の長さの入力をまちがえている編集部・T。

では、そのひとつひとつの音を表す横線に、歌詞を一つずつ入れていきましょう。

最初のドには「き」、次のドには「ら」を入れて…、後は「き」「ら」「ひ」「か」「る」っと。これでいいのかな。できました!再生してみます。上手に歌ってね、ミクさん!

piapro studio開発画面

▲ 音の一つ一つに歌詞を入力するよ。
高さを入力した所をクリックすると歌詞を入力することができるぞ。
まだ、音の高さ・音の長さを修正できていない編集部・T。

~♪再生中~

あれ……なんか変ですか? ずれてますか?

ええ、ずれてます! もしかして、完璧(かんぺき)だと思ってました?

結構いけるかなと思ってました。

(笑)残念ですが合っているのは、歌詞だけですね。「音の高さ」と「音の長さ」を、なんとなくではなく、正確(せいかく)に書いて下さい。特に「音の長さ」が適当過ぎです!「ソー」と「ドー」は長いから2分音符(おんぷ)、他は4分音符の長さですよ。

すみません。感覚的に目分量で、長さを決めてました…

~♪細かく直してから 再生~

すごい!ちゃんと歌いましたー!「音の高さ」「音の長さ」「歌詞」をキチンと直したら、きれいに歌ってくれましたー!細かく直しているときは、スクラッチでプログラミングしてるような気分に少しなりました。

piapro studio開発画面

▲ 音の高さ・音の長さを修正したよ。きれいに歌ってくれたよ。

そうですね。たしかに音楽の仕事の世界では、このようにコンピューターで音楽を打ちこむことをプログラミングと呼んでいます。音楽を作っているんだけど、感覚的というよりも算数っぽい感じがしたかも知れません。
今日は最初のフレーズだけでしたが、一曲作るとすると、1番と2番はくり返しだったり、2番は最後だけ少し変えて終わったり等、もっとプログラミング的になってくると思いますよ。さらに、ビブラートやこぶしのような声をふるわせる歌い方など、人間ならどう歌っているのかを観察して、細かい調整をしていけば、より人間に近い歌い方にすることもできるんですよ。

「やりたければ、やれば?」

「初音ミク」の前にも、バーチャル・シンガーは作ってこられたんですか?

僕は関わっていなかったんですけど、会社では「初音ミク」とは違う声のソフトを5種類ほど出していました。でも、まだ世の中は「歌は人間が歌うものだ」という考えがすごく強かったので、作曲するプロの人などに向けて、仮歌(歌手の代わりにイメージが分かるように録音する歌)を作るためのソフトってことで売り出してたんですけど、あんまり売れなくて…

そこで立て直しのために佐々木さんが選ばれたんですね!

佐々木 渉(ささき・わたる)さん

いやいや。その頃、会社では次のバーチャル・シンガーの計画なんてなかったんです。そこで自分から「次のバーチャル・シンガーを作りたい!」と言ったんです。僕は会社からまかされていた仕事は別にあったので、昼間はその仕事をちゃんとやって、夜になってから放課後の自習みたいな感じで取り組みました。倉庫のはじっこに作業場所をもらって、僕ともうひとりのスタッフのたった2人だけで。会社からは「やりたければ、やれば?」くらいの期待でしたし。

これが、その後、大ヒットして有名になるとは…

ええ、社内でだれも思ってなかったです。僕も思ってなかったです(笑)。僕も好きでやっていたわけですから。

前のバーチャル・シンガーはあまり売れていなかったわけですよね。何か、前とは違うものにするぞ、と考えましたか?

それまでのバーチャル・シンガーは「歌うソフト」ということにこだわっていたんですね。でも、僕は「声がちょっと暗めだな」と感じていました。
AKB48とかのかわいいアイドルがはやり出してきたころだったし、新しく作るものは、もっと明るくて、あっけらかんとした、とにかく、可愛らしくてキラキラした感じのものにすればいいのかなーって考えました。

バーチャル・シンガーの声を、暗くしたり明るくしたり、というのはプログラミングをして決めているんですか?

実は、バーチャル・シンガーの声は、人間の声を録音して使ってるんですよ。だから、その元となる人間の声の「暗い・明るい」のちがいで、バーチャル・シンガーの声の性質も決まるんです。それで、「初音ミク」の元の声は、声のかわいい声優(せいゆう)さんにお願いすることに決めました。

「この子、何考えて歌ってるんだろう?」

元の声の録音って、やっぱり歌をたくさん歌ってもらうんですか?

佐々木 渉(ささき・わたる)さん

そうじゃないんです。声優さんも歌手ではないので、「『歌うソフト』の声が、私でいいんですか?」って言ってましたけど、歌を録音するわけじゃないんですよ。
同じ音の高さで50音の「あいうえお、かきくけこ…」っていうのを全部発音してもらって、次に「あ」から「か」につながる音や、「い」から「え」につながる音だとか、いろんな組み合わせを全部録音していくんです。
なんだかお経を唱えてるような感じで、全部で5時間くらいかかるすごく大変なお仕事です。でも、声優さんは、すごくがんばって最後まで楽しそうな声を出してくれました。

声優さんも大変ですね。

その後は僕らも大変です。スタッフと2人で、すごくいっぱい録音した声を細かく切って声のかけらにして、雑音などを取りのぞいて音をきれいにしながら声のデータを作っていくんです。倉庫のはじっこで。
こういうコツコツした作業をしていると、本当にこれでちゃんと出来上がるのかなあとか心配にもなってくるんですけど。

「明るい声でいく」って決めてしまってたわけですものね。

でも、「初音ミク」に最初に歌わせたときのこと、忘れられないです。
声を聞いて、作っていた2人ですごい大笑いしてね(笑)

「失敗したー!」って思ったんですか?

いいえ。反対の意味で笑っちゃったんです。
お経を唱えるみたいな声を録音して、それを細かく切って声のデータを作り、それをプログラムを使って、歌わせるわけです。だから、やっぱり機械っぽい声になっちゃうだろうなって思ったんです。
でも、出てきた声は「機械なのになんでこんなに楽しそうに歌ってるんだろう?この子、何考えて歌ってるんだろう?」と思わせるような声だったんです。
これはすごい面白いものができたぞ、って笑ってしまったんですね。
「人の歌の代わり」ではなく「歌うアンドロイド」ができたぞとか、個性を持って生まれてきてくれたんだな、って思いました。

佐々木さんの想像以上の物が生まれたんですね!
他のだれでもない「初音ミク」という個性を持って生まれたからこそ、多くの人たちに受け入れられて、その後、ソロコンサートや大物ミュージシャンとコラボをするなど世界が広がっていったんでしょうね。

ワイワイのみんなへのメッセージ「自分が好きだと思うものを大事にしよう。僕は、好奇心や想像力をずっと持ち続けて、それを恥ずかしがらないでやってきました。周りを気にし過ぎて、自分の想像力を大事にしなくなると、「自分が自分でなくなっちゃう」と思うからです。「自分はこれが好きだ!」と思ったものを大事にしてほしい。そうして、その先は、自分の好きなものが周りの人からどういうふうに見えているのかな?周りの人にも「それいいよね」と思ってもらうにはどういう風に見せてあげればいいのかな?とかを考えていってもらいたいですね。僕たちよりも、もっともっとおもしろいものを想像してくれる子どもたちが絶対出てくると思っています。僕もそれを楽しみにしています!」

インタビューを終えて ワイワイプログラミング編集部・T

実は私、「初音ミク」さんの大ファンです!気にしてなかったけど、私はいつも「さん」付けで呼んでました。ひとりのシンガーとして見ていたしょうこですね。佐々木さんは小さい頃、大きくなったらなりたいものに「ロボット」と書いたそうです。さすがに佐々木さんはロボットにはなれませんでしたが、歌うアンドロイドを生み出しました。倉庫のはじっこで生まれ、日本を代表するシンガーにまで成長した「初音ミク」。2017年はNHKの音楽イベントにも出演してくれます。どんなステージになるのか、楽しみです。(イベント案内は下にあります)

これまでのお題

第3回
人の感情がわかるロボットを作る
柴原 伸泰(しばはら・のぶやす)さん

インタビューを読む

第2回
「初音ミク」の生みの親、佐々木 渉
(ささき・わたる)さん

インタビューを読む

第1回
JAXA(宇宙航空研究開発機構)で働く
研究者、能美 亜衣(のうみ・あい)さん

インタビューを読む

スペシャルファイブ 初音ミク×KODO