実践リポート

  • 幼児保育

ラジオ「お話でてこい」の継続聴取で聴く楽しさ、想像する楽しさを育む

小林 祥子 教諭

小林 祥子 大阪府富田林市立富田林幼稚園 教諭

『お話でてこい』のラジオ聴取を通して、思ったことや感じたことを交流する楽しさを味わってほしいと思い取り組んできました。継続聴取してきたことで聴く姿勢に変化が見られ、ラジオ聴取を楽しみにしたり、イメージを広げて表現する楽しさを味わったりすることができました。また、ラジオ聴取後の話し合いでは、友達の話していることに関心をもって聴き、自分とは違う感じ方があることを知る機会になっています。

お話でてこい【対象】幼稚園・保育所

ノージーのひらめき工房

幼児の想像力を育てるのに、ラジオはもってこいのメディアです。ラジオに神経を集中させて聞くことは、子どもたちにとっては難しいところがあると思います。一方で、その集中力は「人の話を聞く」力にもつながります。イメージを膨らませる音楽と効果音、そして一流の語りが、子どもたちを物語の世界へいざないます。

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活用のねらい

視覚的なものがない、ラジオ『お話でてこい』の継続聴取を通して、話を聴く力を育てたいと考えました。また、想像力を膨らませ空想する楽しさを味わったり、自分の思ったことや感じたことを話したりして、表現する楽しさを味わってほしいと願って取り組みを進めてきました。その中では自分とは違う考えやイメージに触れることで、教師も子どもも心の揺れや動きを大事にしながらの聴取を心がけてきました。

保育の様子

4歳児クラスの頃から、毎月1回程度、録音した物を使って聴取を行ってきました。子どもたちの興味関心に合わせてお話を選ぶなどその時々に応じた聴取方法をとっています。また、子どもの実態から、聴きやすい年少・年中児向けの番組を選ぶことが多いです。椅子に座り、教師や友達の表情が見えやすいよう半円になり聴いています。聴取後は、お話の内容を振り返ったり、登場人物の気持ちを考えたりする場をもってきました。

4歳児の初めに聴取し始めた頃は、「いつ終わるの?」と、集中して聴くことが難しかったです。イメージができないと聴こうとすることも難しいのではないかと考え『赤ずきんちゃん』の聴取の数日前に、あえて絵本を読みました。すると、有名なお話であることや、前に絵本で見たことを思い出し興味をもって聴こうとする姿が見られました。しかし、イメージを膨らませ想像して楽しむというところでは、面白さはなかったのではないかという反省が残りました。

また、静かに聴いてほしいという教師の思いが強く、声かけが多いためか、「動いたらあかんで」「しー」と、子どもたち同士が注意し合う姿が多く見受けられた時もありました。そこで教師も子どもたちと一緒に表現を楽しみ、顔を見合わせて笑ったり、驚いたりすることで「楽しんでいいんだ」という雰囲気づくりを心掛けてきました。このように、楽しみながら継続することで聴こうとする子どもたちの姿が増えてきました。また、聴取前に「お話が終わったら、誰が出てきたか聞くね」と、簡単なめあてを伝えることでお話に集中しようとする姿も見受けられました。5歳児の5月に『おたまじゃくしの101ちゃん』を聴取しました。

お話の聴取後は、絵画活動を行いました。思い思いに表現する姿が見受けられ、タガメなどイメージしにくい生き物は図鑑で探して描いていました。

子どもの変容

ラジオ聴取を始めた当初は、聴取後の話し合いの中で「おばあさんが出てきた」などお話の中の登場人物を伝えることで満足感を味わっているようでした。また、教師からの「どうだった?」という問いに関して、「面白かった!」という答えや感想が多かったです。

しかし、回を重ねるごとにラジオのお話には出てこない場面を想像して話すことに楽しさを感じられるようになってきました。5歳児の7月に『かにかにこそこそ』というお話を聴取したときには、「そもそも、おじいさんがカニを拾ってきたからこんなことになったんやで」「きっと、おうちに食べるものが無かったからおばあさんが食べてしまったんとちがう?」と、お話を想像したり登場人物の気持ちを考えたりする姿が見受けられました。

5歳児の12月『ふらいぱんじいさん』の聴取後は、みんなでお話に登場する『ふらいぱんじいさん』や『小鳥』になって表現遊びをしました。普段、物静かな子が登場人物になりきって台詞を言うなど言語での表現を楽しみ、力を発揮する場面がありました。お話が終わると、「今日は、このお話の絵を描きたいなぁ」と、子どもたちから声があがりました。少しずつラジオ聴取を楽しみにする姿が見られ始めました。

実践を振り返って

最初は15分間のお話を集中して聴くことは難しく、聴取中の座り方や聴取前後の教師の声かけや発問の仕方など、反省・評価・改善を繰り返し取り組んできました。継続聴取してきたことで、ラジオ聴取を楽しみにするようになり、自分の考えを話したり、友達の話を聞いて自分なりに考えたことを話そうとしたりするようになってきており2年間継続して『お話でてこい』の番組を活用して良かったなと感じました。また、教師も共にラジオ聴取を楽しむことの大切さを感じています。

聴取後の話し合いでは、教師からの発問の仕方や、子どもたちの話に共感しながら、他児と共有できるようにしていくことなどの難しさを感じることもあります。今後も教材観や指導観をしっかりともちながら、子どもたちの思いを柔軟に受け止めることを大切にしていきたいです。そして、子どもたちが感じたことを自由に表現し、何でも話せる、思いを聞いてもらえる楽しさを味わったり、友達の感じ方を知り、共に楽しんだりできるようにしていきたいです。また、聴取後の活動内容の工夫にも挑戦していきたいと思います。

保育プラン

番組名 『かにかに こそこそ』 実施日時 平成29年7月20日(木)
対象児 5歳児 すみれぐみ 12名 傾聴方法 録音
ねらい ・お話の内容を理解して、展開を楽しむ

放送内容(・) 教師の言葉など(○)

幼児のつぶやきと反応

傾聴後 ・オープニング
・曲に合わせて振りを付けて踊る
・お話が終わる
○「どんなお話でしたか?」


○「そうだね」
○「いろんなことを考えたね」
・言いたいことを口々に言いだす。
・「おばあさんが『カニカニコソコソ』と言ってカニを食べた」
・「おばあさんがカニになっちゃった」
・「おじいさんがカニを育てていた」
・「カニの殻の灰をどうして蒔いたのかなと思った」
・「咲いた花はスミレの花かな?と思った」
・「おばあさんがカニになったのは、神様がおばあさんもカニになって食べられたら嫌でしょう?と思って変えたんちがう?」
・「おじいさんが泣いてた。そこが気になった」
○「なんで泣いたのかな?」
○「みんな、いろいろ聴いていたね。でも、おじいさんはどうしてカニを連れて帰ったの?」
○「そうだね。子どもがいないからカニさんを連れて帰って…」
・「カニがおばあさんに食べられたから」
・「おじいさんとおばあさんには子どもがいないから」
・「カニを子どもにして、大人にして人間みたいに育てた」
・「おばあちゃんが何でカニ食べたか分かった!」
○「何で?」

○「そうか。おじいさんは大事に育てたい。でもおばあさんは食べたい…どうしたらよかったのかな?」
○「えー!何で飼わなかったら良かった?」
○「ほんとだね。ケンカになるね」

・「あの家には食べ物がない家だったから」
・「おじいちゃんがカニを採って飼わなかったら良かったやん」
・「だってケンカになるやん」
・「それか、おじいちゃんが二匹飼ってたら良かった。」
・「一匹は育てて、もう一匹は食べるねん」
・「ナイスアイデア!!」
・「でも、食べられるカニがかわいそうやん」
○「そうだね。でも、おじいさんとおばあさんがケンカしないようにするにはどうしたら良かったかなって考えたんだね。すごいこと考えたね!」

○「みんな、どうしておばあさんがカニになったのかとか、ケンカしないようにどうしたらいいかとか、ラジオのお話にはないことをたくさん想像できたね」






※一部省略

堀田 博史

「お話でてこい」を活用した小林先生の実践は・・・ 富田林幼稚園では、思ったことや感じたことを交流する楽しさを味わってほしいと願い、ラジオ聴取に取り組んでいます。ラジオからの音だけでは、イメージを共有するのが難しいために、聴取後の活動も盛り上がりに欠けたりします。でも逆に、イメージの共有が難しい点を利用してみませんか。子どもたちにじっくりとお話を聞く力を付けることで、自分とは異なる考え方を知る機会を提供して、友達と自分の考え方の比較をさせたりします。『お話でてこい』の番組のチカラは、子どもたちのお話を聞くことの楽しさを分からせることです。そのためにも継続してラジオを聞き、子どもの成長を感じ取られることに期待しています。(堀田 博史)

堀田 博史

「お話でてこい」を活用した小林先生の実践は・・・ 富田林幼稚園では、思ったことや感じたことを交流する楽しさを味わってほしいと願い、ラジオ聴取に取り組んでいます。ラジオからの音だけでは、イメージを共有するのが難しいために、聴取後の活動も盛り上がりに欠けたりします。でも逆に、イメージの共有が難しい点を利用してみませんか。子どもたちにじっくりとお話を聞く力を付けることで、自分とは異なる考え方を知る機会を提供して、友達と自分の考え方の比較をさせたりします。『お話でてこい』の番組のチカラは、子どもたちのお話を聞くことの楽しさを分からせることです。そのためにも継続してラジオを聞き、子どもの成長を感じ取られることに期待しています。(堀田 博史)

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