実践リポート

  • 特別活動
  • 幼・小1

「で~きた」で主体的によりよく生活する力を育む

田澤 裕子 教諭

田澤 裕子 札幌市立栄東小学校教諭

小学校低学年の子どもたちは、自分のことを客観的に見つめることが、まだ難しい年令です。「で~きた」を活用することで、自分たちの学校生活の中にあるつまずきポイントに子どもたちが自ら気付き、理解し、対話を重ねることでよりよい行動を選択することができるように促してくれる番組です。

で~きた【対象】幼稚園・保育所 / 小学校1年生 / 特別活動

で~きた

よりよい人間関係を築くために必要なマナーや集団行動などの社会的スキルを、子ども自身が自発的に学べる番組です。「何ができていないのか」を子どもが自分で気付き、「なぜできないと困るのか」その理由を理解することで、「できるようになる」を目指します。番組ホームページには、動画クリップや授業指導案、印刷して活用できるイラストやペープサートなどがあります。

この番組を見る

活用のねらい

amata_01

生活科の学習で、これまでの自分を振り返り、できるようになったことや成長したことの発表を通して、家族に感謝の気持ちを伝える会を行います。その中で、家族に「ありがとう」の気持ちを伝える手紙を書いて渡すことになりました。子どもたちが普段、当たり前のことと思っているためになかなか伝えられないでいる家族への感謝を、子どもたちの中から自然に引き出すには何か工夫ができないか…そこで見つけたのが「で~きた」です。教師の方から「家族に感謝しましょう!」と促さなくても、番組を通して子どもたちの中に「家族に感謝したい」という思いが湧き出ました。

授業の様子

amata_02

【授業の流れ】
(1)導入では、生活科の発表会のねらいについて確認をしました。「おうちの人に、自分の成長した姿を見せること」と「おうちの人に育ててもらった感謝の気持ちを伝えることです。」そして、「今日は、感謝の気持ちを伝えるって、どういうことか考えよう。」と言って番組を視聴しました。

(2)視聴中は、「できるメーター」が下がるたびに、「ああー!」「だめー!」「なくなっちゃうー!」と反応したり、「ありがとうを言われなかった子、かなしそうだね。」「おこってるんじゃないかな。」と相手の気持ちも察しようとするつぶやきが聞かれたりしました。

(3)視聴後に、感想を聞きました。「『ありがとう』は、まほうのことばだと思う。」という発言から始まり、その理由を「ありがとうを言うと、ありがとうが返ってくるね。」「ありがとうを言わないと、いやなことが返ってくる。」と、つなげていきました。いいことにはいいことが、よくないことにはよくないことが返ってくると、子どもたち自身で気付くことができました。さらに、「おうすけくんみたいに、すぐに言えなくてもあとからちゃんと言えればいいよね。」との発言があり、本時のメインである「感謝の手紙」につながりました。

(4)「じゃあ、今まで言えなかったおうちの人への感謝も、みんなも伝えたいね。」と話すと、「お手紙書いてわたしたいなあ。」という声がありました。それで、残りの時間はお手紙の下書きを書きました。子どもたちのワークシートには、「ごはんを作ってくれてありがとう。」「習い事に行かせてくれてありがとう。」「生んでくれてありがとう。」など、たくさんの感謝の気持ちが綴られていました。

子どもの変容

amata_03

もともと明るく素直な子どもたちですが、番組の中にもあったように、物を拾ってもらったときや貸してもらったときなど、些細なときのさりげない「ありがとう」を言い忘れることが多く、気になっていました。番組を活用することによって、「『ありがとう』と言いなさい。」と教師から直接指導をするより、子どもたちが自発的に感謝を伝えることのよさを実感できたと思います。

実践を振り返って

amata_04

番組の視聴が終わると、子どもたちが次々に感想を言い始めました。その内容が、この授業でねらっているところをピンポイントにとらえていたことに驚きました。いろいろと発問を考えてはいたのですが、必要なことはすべて番組の中で子どもたちに伝わっていたようでした。子どもたちも、1学期から「で~きた」を継続して視聴していたので、「あ、これはメーターへっちゃうよ。」とつぶやくなど、番組の中で何がポイントなのかをつかむことにも慣れていたようです。この番組は、対象が1年生までとなっていますが、もちろん2年生の子どもたちにも活用することができます。番組から学んだことを対話でつないで、よりよい行動や生活をするために必要なことを話し合うことができました。

授業プラン「本時案」

○ 本時の目的
 [これまでの生活や成長を支えてくれた家族の大切さに気付き、感謝の気持ちを手紙などで伝えようとすることができる。]

時間の
めやす
学習の内容・展開・発問例 指導上の留意点、準備するもの等
5′ 【導入】
参観日での発表会の目的を確認
「おうちの人にどんなお手紙を書いたらよいか、考えましょう。」
家族にどんな思いを伝えたいか問うことで、発表会の意義や目的を確認し、本時の学習の見通しをもたせる。

10′/15′ 【活動例①】
の視聴

 

5′/20′ 【活動例②】
番組を視聴した感想の交流

子どもたちの感想を黒板に書き出しながら、「ありがとう」を言えるとどんなよいことがあるか、また、言わないとどんな困ったことになるかをまとめていく。

20′/40′ 【活動例③】
おうちの人への手紙の下書き

ワークシートに、手紙に書きたいことを書きだす。

5′/45′ 【振り返り】
「次回は、清書をしましょう。」
様々な感謝の思いがあったことを振り返り、次時の手紙を書く活動への意欲を高める。

寺嶋 浩介

「で~きた」を活用した田澤先生の実践は・・・「ありがとう」などの感謝の気持ちは、先生が直接児童に強制すればうまくいく、というものでは決してありません。一方、日々の体験を重ねればそういう気持ちも芽生える可能性が高くなりますが、その場面はいつ訪れるか、みんなに訪れるかどうかもわかりません。こうしたコミュニケーションをどう教えるのかというのは悩みどころです。「で〜きた」は、様々な社会的スキルを実際の場面を通して間接体験し、学習することを促してくれます。ある失敗例をもとに考え、モデルとなるよい行動を見せるというのは、NHK学校放送番組の得意とするところで、これを利用しない手はありません。田澤先生の実践では、手紙を書くという活動にこの番組を位置づけることで、ただ番組を見せるだけに終わらず、意味のある形で直接体験につなげている点が特徴的です。また、「必要なことは番組の中で子どもたちに伝わっていた」という点も面白いと思いました。番組利用は、強制しがちになってしまうスキルの定着をよりマイルドにしてくれる可能性を持っているように感じます。 (寺嶋 浩介)

寺嶋 浩介

「で~きた」を活用した田澤先生の実践は・・・「ありがとう」などの感謝の気持ちは、先生が直接児童に強制すればうまくいく、というものでは決してありません。一方、日々の体験を重ねればそういう気持ちも芽生える可能性が高くなりますが、その場面はいつ訪れるか、みんなに訪れるかどうかもわかりません。こうしたコミュニケーションをどう教えるのかというのは悩みどころです。「で〜きた」は、様々な社会的スキルを実際の場面を通して間接体験し、学習することを促してくれます。ある失敗例をもとに考え、モデルとなるよい行動を見せるというのは、NHK学校放送番組の得意とするところで、これを利用しない手はありません。田澤先生の実践では、手紙を書くという活動にこの番組を位置づけることで、ただ番組を見せるだけに終わらず、意味のある形で直接体験につなげている点が特徴的です。また、「必要なことは番組の中で子どもたちに伝わっていた」という点も面白いと思いました。番組利用は、強制しがちになってしまうスキルの定着をよりマイルドにしてくれる可能性を持っているように感じます。 (寺嶋 浩介)

ページの先頭へ