実践リポート

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『いじめをノックアウト』で自分と向き合い、友達を大切にする学級づくり

金子 実 教諭

金子 実 神奈川県横浜市立杉田小学校教諭

誰もがいけないと思っていること。でも知らないうちに自分がその中にいたら……。そんなことがないように日常の自分たちの生活を定期的に見直すことをMCの高橋さんたちの話から学ぶことができます。そして我が学級目標「みんなスマイル3年1組」の達成を目指して、日々、過ごしています。
※この実践および所属は、2013年度のものです

いじめをノックアウト【対象】小学校3~6年生 中/学級活動

いじめをノックアウト

「“いじり”が暴走するとき」

「“いじめ”とは何か。“いじめ”をなくすためにはどうすればよいか」を考え、“いじめが起きてもみんなで解決できる教室づくり”を目指します。今回は、実際にあったケース。クラスのみんなは、ある子を“いじっている”つもりでした。いじられて、その子もうれしいと思っていました。ところが…。

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活用のねらい

「いじめ」という言葉は知っていても、何がいじめで、どうなってしまうのか、どうなることがいけないのか、具体的に捉えるには難しいものがあります。それはこの問題が日常生活のさまざまな人間関係の中から生まれてくると考えられるからです。この番組は実際に起きた事象や経験者の話から「いじめとは何か」「いじめをなくすためにはどうすればよいか」を子どもたちと一緒に考えることができるように構成されています。そこで日常生活の場面と関連をさせながら一年間の継続視聴を計画して子どもたちの生活に番組を寄り添わせ,いじめについて考えながら心の成長を目指していくことにしました。

授業の様子

第1回と第2回は視聴した後に一人ひとりが感想を述べ、それを内容に応じて分類しながら板書をしました。その後、板書を見て思ったことを問いかけ、まとめていきました。この時間はどのようなことを考えたらよいのかを全体で確かめながら学習を進め、まとめていけるからです。

第3回『“いじり”が暴走するとき』の番組サイトから入手したワークシートを用いて学習を進めました。一人ひとりが自分の考えをまとめ、残せるからです。

まず視聴前に、自分たちの生活の中で「いじりが暴走する」とはどのような事かを考えました。すると「理由を付けてものを持たせる」「まわりと違うことをさせる」「弱いところを指摘する」「ものをいじったり隠したりする」などを挙げました。そこで番組を視聴し、それがやられている側にとってどうかを考え、ワークシートに記述していきました。以下、その記述を分類した結果です。

質問1:「“いじられる”ことはどんなことがツライかと高橋さんは話していたか」では、「いじられることは笑われることだ」(38%)、「本当はいやだったんだ、そしてつらかった」(43%)、「でも孤独になったり仕返しされるのがこわいからそのままだった」(8%)ということに気付きました。

質問2:「話をしながら高橋さんが泣いていたわけを考えよう」では、「紹介された子が亡くなったこと」(19%)、「いじりが続いたこと」(17%)、「それらが自分の経験と重なったこと」(31%)、「いじりが不条理なこと」(22%)など、高橋さんの言葉から改めて“いじり”について考えることができました。

質問3:「なぜ“いじり”はエスカレートしていったか」では、「みんなが笑ってくれるから、弱みを見せたくなかったから」(8%)といった主人公の立場からだけでなく、いじる側の立場として「嫌がらなかったから、ことわらないから、楽しんでいると勘違いしたから」(72%)ということに気付くことができました。そして毎日繰り返されることがエスカレートにつながったこと、そこに気付くことができない怖さがあることを見つけることができ、全体で確認して授業を終えました。

子どもの変容

毎日の生活の中で、自分の言動を確かめたり友達への声のかけ方が優しくなったりしてきました。そして「いじり」につながるような言葉についてお互いに気をつけるようになりました。

またワークシートにはこれまで言えなかったことや関連して自分が聞いて欲しかったことなども書かれるようになり、日常の生活との結びつきが出てきました。

第4回の「いじめたい気持ち……どうする?」では、気分によって友達に当たることが自分にもあることに気付き、それを防ぐための手だてを考えました。

結論は友達のいいとこさがしや、お楽しみ会を開いて友達を大切にする気持ちを持って過ごせる学級にしようとまとまりました。

第5回の「“けんか”と“いじめ”のちがいって何?」では、「いじめかも」って思う場面をみたらどうする?という質問に対して、「やさしくだめだよと声をかける」「やられている方から見て考えて声をかける」など自分の意思を具体的に書き、さまざまな場面で声をかけあう姿が見られるようになりました。

実践を振り返って

番組のよさは、出演者が教室で語っている環境があることです。その中で子どもたちは出演者の声に真剣に耳を傾けます。そして自分の考えを発表したり書いたりすることで自分を見つめています。時には「誰かに聞いてほしい」ことがワークシートに書かれていて、児童指導として大切なポイントになることもあります。この番組の活用は子どもたちと共に「いじめをノックアウト」できる心を育むだけでなく、子どもたちが抱えている心の言葉を知ることができる大切な機会にもなっていました。 これからも番組を学級経営のパートナーとして活用しながら子どもと共に歩んでいきたいと思います。

本時案(授業プラン)

学習活動 指導上の留意点
1 を視聴する。
  • タイトルを板書して視聴を開始する。
2 番組を振り返り、ワークシートの設問1を記入する。
  • 感想を数人に聞いてから記入させる。
3 ワークシートをもとに、一人ひと言ずつ発言をする。
  • 発言をカテゴリーに分けて板書し、整理する。
4 ワークシートの設問2を記入し、MCの高橋さんが泣いた理由を考えて発表する。
  • 数人の発表の後に記入し、書いたことを発表する。
5 ワークシートの設問3を記入し、自分の考えをまとめる。
  • 数人の発表の後に記入させる。
6 数人の発表の後に記入させる。板書やこれまでに自分が書いたことをもとに、いじりがエスカレートした理由についてまとめる。
  • 友達の考えも合わせて、発表する。その際にキーワードを捉えながら板書をまとめ、“いじり”について共通理解ができるようにする。

(このプランは,年間を通して同じ進め方をしています。番組によっては【5】の後で番組のサイト上にある「みなみの考え」を視聴してから6に進むこともあります。)

中橋 雄

「いじめをノックアウト」を活用した金子さんの実践は…子どもたちが、いじめという問題に向き合い、自身が抱えているメッセージを伝え合うための機会になっています。いじめはセンシティブな問題ですから、そのことに対して心に抱えているメッセージを他者に伝えるのは難しいことです。番組に登場する子どもたちの語りを共有することで、いじめの本質に気付いたり、それについて語る方法について学んだりすることができます。番組の継続視聴とさまざまな授業の工夫によって、こうした難しい問題に対して考えを伝え合う力が育まれるといえるでしょう。(中橋 雄)

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