実践リポート

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対話で育むメディア・リテラシー ~「メディアタイムズ」を活用して~

流田 賢一

流田 賢一 大阪府大阪市立本田小学校

家庭科の調理実習後の「盛り付けコンテスト」に向けて、写真撮影をしているときに「写真を加工したい」という希望があがりました。そこで、「メディアタイムズ」第2回「写真は‘ありのまま’を伝えている?」を視聴しました。番組のメリットを活用し、写真の「加工なし」と「加工あり」に分かれて議論し、場合によっては「加工あり」が許容されたり、されなかったりと判断が変わるという話し合いとなりました。メディアの多様なとらえ方を学ぶ姿がみられました。

メディアタイムズ【対象】小学校4・5・6年生 / 中学生 / 総合

メディアタイムズ

仲間との話し合いを通して「メディア・リテラシー」を身につける番組!さまざまなメディアの裏側をドキュメント! プロのねらいや工夫を紹介し、メディアを使いこなすマインドを育みます!メディアの特性を学ぶとともに、番組内での投げかけを通して教室での活動につなげられる構成になっています。

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活用のねらい

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私たちは、メディアの受け手であると同時に送り手でもあります。情報化社会の到来により、より身近になったメディアの存在。メディアとの付き合い方を学ぶことはますます必要になるでしょう。

発信されている情報は発信者の意図が込められていることを理解し、情報を受け取ることを学ばせたい。そして、私たちはその情報の受信者であるだけでなく、発信者でもあることを認識することで、メディアに対する見方・考え方を育てていくことができるでしょう。

このような日常の課題からメディアについて、学ぶ場を提供してくれるのが「メディアタイムズ」です。

授業の様子

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私が「メディアタイムズ」を活用したのは、6年生の家庭科の、調理実習後の「盛り付けコンテスト」でのことです。子どもたちは、綺麗に写真が撮れるように、距離や角度を工夫しながら撮影をしていました。「インスタ映え」という流行り言葉も飛び交い、撮影への熱はどんどん高まっていきました。そしてついに、「写真を加工したい」という希望があがりました。そこで、「写真の加工は、ありか、なしか」という課題をクラス全体に共有し、「メディアタイムズ」第2回「写真は‘ありのまま’を伝えている?」を視聴しました。

「メディアタイムズ」は、メディアの特性を知識としてわかりやすく子どもたちに伝えてくれる「ドキュメントパート」と、ドキュメントパートで学んだ知識をもとに、自分の考えを形成することを促す「ドラマパート」の2つのパートから構成されています。さらに、その後の学習活動で考えを伝え合ったりする体験を通して、表現・発信する力が育まれるだけでなく、情報の解釈・分析・評価をし番組視聴で得た知識の質を高めたり、自分の考えに広がりを持たせたりすることができます。

加えて、今回番組を利用することで、さらに3つのメリットがあったと感じています。1つ目は、番組で取り上げられているメディアが子どもたちにとって身近であるため、必要感をもって学習しやすいからです。2つ目は、登場人物の考えの如何を話し合うという形になるため、クラスの誰かが批判の的になることなく、スムーズな話し合いの場を設けることができるからです。3つ目は、番組が最後に2択を投げかける形で終わることで、その後に議論する活動につなげやすいからです。

授業では、番組を視聴したあとに、「加工なし」と「加工あり」に分かれて議論しました。「コンテストのような優劣がつくものなら加工するのはおかしいのではないか」、「綺麗に見せるためにできる限りの努力をすることは許されるべきではないか」と、活発に議論する姿を見ることができました。番組の視聴やその後の学習活動等を通じて、子どもたちには「写真というメディアの特性を知る」「知ったことから、自分の考えを形成する」「それらを表現・発信する」「情報は発信者の意図であることを理解する」「お互いの考えを受け止めて、合意を形成しようとする」等の学びがあったと思います。

子どもの変容

今回は、写真を取り上げて学習しました。そのため、身の回りで活用されている写真の中で、レストランのメニューや広告、ポスターの写真も「加工されている写真」ではと意見があがりました。

加工すること自体が悪いことではなく、どのような目的で加工しているのかを考えること。正しい情報との違いがどの程度あるのかを受け取る人が考えること。が大切だと認識するようになりました。

実践を振り返って

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今回は、「盛り付けコンテスト」という情報発信者の立場で発信の仕方を考えることと情報受信者の立場での受け取りかたを考えることにより、実感をもってメディアの特性を学ぶ姿が見られました。

番組が最後に投げかけた2択から議論をスタートすることにより、論点を焦点化することができました。他の回でも、同じように最後に2択を示し、子どもたちが考えられるように番組構成が工夫されています。子どもたちにとって身近なメディアについて、様々な観点で話し合うことができる番組だと感じました。
子どもたちにとって身近な問題から、メディア・リテラシーを育成したい。そんなときには、ぜひ「メディアタイムズ」を活用してみてください!

授業プラン「本時案」

○ 本時の目的
写真というメディアの特性を知り、情報の受信者・発信者としてメディアとの関わり方を考える。

時間の
めやす
学習内容・展開・発問例 指導上の留意点、準備するもの等
5’ 調理実習の写真を見せながら「盛り付けコンテスト」について確認する。 スクリーンに調理実習している様子を映し出す。
5/10’ 角度を変えて撮影した写真を見せる。写真をコンテストに出すなら、どちらを出すのか考える。 2枚の写真を比較して考えられるように隣り合わせて提示する。(タブレット)
5/15’ 加工した写真と加工していない写真を提示して、写真を加工してコンテストに出してもいいか考える。 明るさと色合いを加工した写真をスクリーンに提示する。
10/25’ 同じようなことで悩んでいる映像があるので、みんなで視聴して考える。
の視聴
 
5/30’ 論点を整理して、グループごとに話し合う。 スクリーン上では、比較して考えているシーンで一時停止したものを提示する。
各グループで「加工なし」と「加工あり」の写真を比較提示したタブレットをもとに話し合う。
10/40’ 全体で交流し、「加工あり」が許される場面や許されない理由を整理して考える。 許される場合と許されない場合があることを確認する。多様なとらえ方があることを知れるように話し合いの進め方を工夫する。
5/45’ コンテストに向けて写真の準備をする。 加工の程度を確認して、コンテストに向けた写真の準備をする。

中橋 雄

「メディアタイムズ」を活用した流田さんの実践は・・・多様な立場・考え方を例示し、問を投げかけ、対話を通じて考えるという番組の特性が活かされています。メディアタイムズは、知識理解や技能向上のみならず、答えが1つに決まらないような複雑な課題に対し、対話を通じて、メディア・リテラシーを育む構成の番組です。写真の加工がどこまで許されるかということは、人々にとって以前よりも身近になった課題であると同時に、これからも議論して社会的な合意を形成していく必要がある内容です。こうした「社会的な議論」と「自分たちがコンテストに出す写真について考えるといった身近な課題」を関連づけて指導されている点も秀逸だと言えるでしょう。(中橋 雄)

中橋 雄

「メディアタイムズ」を活用した流田さんの実践は・・・多様な立場・考え方を例示し、問を投げかけ、対話を通じて考えるという番組の特性が活かされています。メディアタイムズは、知識理解や技能向上のみならず、答えが1つに決まらないような複雑な課題に対し、対話を通じて、メディア・リテラシーを育む構成の番組です。写真の加工がどこまで許されるかということは、人々にとって以前よりも身近になった課題であると同時に、これからも議論して社会的な合意を形成していく必要がある内容です。こうした「社会的な議論」と「自分たちがコンテストに出す写真について考えるといった身近な課題」を関連づけて指導されている点も秀逸だと言えるでしょう。(中橋 雄)

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