実践リポート

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「Why!?プログラミング」で音楽づくり

大田 麻衣佳 教諭

大田 麻衣佳 広島県広島市立川内小学校

音楽の授業内容である「音の仕組みを生かしながら音楽をつくる活動」は、プログラミングだ!と思い「Why!?プログラミング」の音楽素材を使って挑戦してみました。子どもが音楽をつくる過程は、アクティブで創造的な活動ばかりです。しかし、自分の作品を客観的に振り返ったり、友達と比べたりすることはできにくい面もあります。そこでプログラミングソフト「スクラッチ」を使っての音を出したり、録音したりする操作を繰り返しながら表現を学ばせました。自分や友達の作品を比較・評価したり、新たな気付きがあったり、さらに学びが深まり、広がっていくことができました。

Why!?プログラミング【対象】小学校5・6年生・中学生・高校生/技術

Why!?プログラミング

今、プログラミングは新しい創造を促す教育の手段として、世界で注目を集めています。米国マサチューセッツ工科大学が公開している初心者向けプログラミング言語「スクラッチ」を使って、「順次」「反復」「分岐」などのプログラミングの仕組みを分かりやすく伝えます。舞台は、隣の「スクラッチ・ワールド」。そこから届くSOSに、レスキュー隊員の厚切りジェイソンさんが救助に向かい、「Why!?」を連発しながら大活躍(?)します。

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活用のねらい

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子どもは、前年度からNHK for schoolの「音楽ブラボー」の継続視聴により、ブラボー先生から「音楽のワザ」や「音楽が楽しくなるヒント」を学びリコーダーによる旋律づくりにも挑戦してきました。しかし、技能には差があり、考えた旋律を正しく演奏することや、繰り返し聞いて修正することには課題がありました。

そこで、「Why!?プログラミング」のスクラッチを音楽づくりのツールとして活用することにより、「音楽づくり」という課題に向かいコンピュータを介して、自分がイメージする形にすることにしました。その活動を通して子どもたちが、どのような音やリズムの組み合わせをすればよいのかを考え、友達と対話しながら、創造的に思考していく力を身に付けることをねらいとしました。

授業の様子

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子どもたちは、まず、「Why!?プログラミング」を視聴して、音の高さを変える方法を知り、「きらきら星」をプログラミングしてつくりました。「プログラミング的思考①・・・ ド→60、レ→62、ミ→64 というように音の高さを表す数字は音が高くなるほど半音も含め1ずつ数字が大きくなっていく」ことを知りました。

次に、音の長さをプログラミングする方法を知り、「きらきら星」のリズムを変化させて楽しむ学習をしました。「プログラミング的思考②… 2分音符→2 4分音符→18分音符→0.5 というように音の長さを表す数字は、音の長さに比例して変わる。」ことを学びました。

最後に、リズムや旋律の動きを工夫して、何度も聴きあいながら試行錯誤し、音楽をつくるための思いや意図をもって4小節の旋律をグループでプログラミングしてつくりました。その後、つくった旋律を聴き合い、他のグループのよさを感じ取ることができました。
学習が深まってくると、子どもは、音楽づくりに夢中になり、お互いの思いを伝えたり、それを生かして新しい音楽を探したりするなど主体的に授業に参加することができていました。

また、プログラムを正しく伝えないと正しく動かないことや簡単にできるアレンジの楽しさを感じることができたようです。学習過程で1小節の中はどの小節も4拍あるということを再確認したり、3連符でつくってみたいなど、次への意欲が感じられる学びになりました。
自分でつくっていくことに夢中になり、きらきらと目を輝かせている子どもの姿は、主体的に学んでいるからこそ見られる姿だと感じました。

子どもの変容

番組を視聴する前は、プログラミングの経験のある子どもはクラスの中に数人でしたが、この番組を視聴することで「プログラミングってなに?!難しそう。」と思っていた子どもたちも、短時間で慣れ、抵抗なく授業の中で活用することができました。子どもの感想にも「プログラミングを班のみんなと協力してすることは、とても楽しかったです。協力してやると間違えてもやり直せるのでよかったです。」「リズムを変えると自分で歌ったり、ひいたりするのは難しそうだけどプログラミングするとクリックするだけで簡単にできました。面白いリズムができたり、不思議なリズムができたりしたのでとても楽しかったです。」とあり、次はこんな風にやってみたいという意欲につなげることができました。

実践を振り返って

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スクラッチを使って「音楽づくり」に挑戦しました。子どもの技能を心配しましたが、すぐに使いこなすことができました。まずは、スクラッチの操作方法だけを番組で知るという方法もありますが、「プログラミング」を学ぶ意義をぜひ子どもに伝え、授業を進めていきたいという思いを実現するために、「Why!?プログラミング」の番組は効果的でした。

スクラッチは音の指令だけでも「速さ」や「音色」、「強弱」など様々にあり、子どもの興味をひくものがたくさんありますが、今回は「音の高さ」と「音の長さ」にしぼり、あらかじめリズムパターンをプログラミングしておいて、つくりたい旋律に変えていけるようにしました。子どもは教師の提示したリズムパターンの音の高さや長さを考えながら、何度もできた旋律を聴き合い試行錯誤しながらして音楽をつくっていくことができました。

このようにスクラッチをツールとして使うことで、今まで学んだものを再発見したり、再確認したりという主体的な学習を生み出す可能性を感じました。課題はたくさんありますが、引き続き、子どもたちが対話したくなるような、学びたくなるような、音楽のねらいにせまった楽しいプログラミング学習の研究を進めていきたいと思います。

授業プラン「第1時 本時案」

時間 主な学習活動・T(教師)C(子ども) 指導上の留意点
5分 Why!?プログラミング・スクラッチをはじめよう
動画クリップ「scene1 プログラミング教育はなぜ必要?」「scene4 プログラミングのしかた」 を視聴し、プログラミングとは何かをつかむ。
T:(番組を見て)どうだった?
C:世の中のたくさんのものがプログラミングされて動いていることを初めて知りました。
C:プログラミングして指令を出すと自分の思うように動かすことができることを知りました。
C:プログラミングって面白そう。簡単にできそう。やってみたい!

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○プログラミングで旋律づくりをしていくことを伝え、「プログラミングとはなにかな?」と視点を与え、視聴する。
○視聴後、「どうだった?」と聞き、板書する。
10分
動画クリップ「scene1 自分だけの楽器をつくれ」「scene2 鍵盤を作って音を鳴らす」を視聴し、音の高さを変える方法を知る。
T:このブロックの数字を変えると音の高さを変えることができることが分かりましたね。

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T:60はドだから、ソになると何の数字を入れたらいいですか?

C:(けんばんを数えて)64です。

C:半音ずつ1ずつ増えるから、67です。

T:67を入れてみると…。

スクラッチの音で「ソ」が流れる。

C:鳴った!「ソ」かどうかリコーダーで確かめよう。

T:では高いソを鳴らしたいときはどうしたらいいのでしょうか?

C:(けんばんを数えて)69です。

T:なぜですか?

C:音が高くなるほど、数字が大きくなると言っていたので数えました。

T:同じソでも高さが違うんですね。

○最初から情報を与えるのではなく、既存の学習と重ね合わせ論理的に考え、理由を発言させ共有する。
25分 ○「きらきら星」をプログラミングする。

T:1つずつブロックを組み立てていき、音楽をつくっていきましょう。

C:簡単だね!音が鳴ったよ!

C:できた!

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C:きらきら星ができたから今までならった教科書の曲をプログラミングしてみよう!

○プロジェクターで実際のスクラッチの画面を提示し、説明する。

○1人1小節で次の人へ交代して、みんなでつくっていくことを伝える。

5分 ○次時の予告をする。

次時はきらきら星のリズムをかえて楽しみましょう。

稲垣 忠

「Why!?プログラミング」を活用した大田さんの実践は…「Why!?プログラミング」では、画面上で命令のブロックを配置し、数値を入力していくだけでプログラムを作成できる「Scratch(スクラッチ)」が番組内で登場します。試行錯誤を繰り返しながら課題を解決したり、思いもよらない表現ができたりする様子を視聴することで、「自分もやってみたい!」気持ちを引き出すことができます。大田先生の実践では、音楽づくりを取り上げました。子どもたちは命令を並べ、数値を少し変更するだけで再生される音が変化することを繰り返し体感します。「プログラミング的思考」を難しく考える前に、操作に慣れ、意図したことだけでなく、思いもよらない表現をも存分に楽しむ体験は、プログラミングの導入に最適です。(稲垣 忠)

稲垣 忠

「Why!?プログラミング」を活用した大田さんの実践は…「Why!?プログラミング」では、画面上で命令のブロックを配置し、数値を入力していくだけでプログラムを作成できる「Scratch(スクラッチ)」が番組内で登場します。試行錯誤を繰り返しながら課題を解決したり、思いもよらない表現ができたりする様子を視聴することで、「自分もやってみたい!」気持ちを引き出すことができます。大田先生の実践では、音楽づくりを取り上げました。子どもたちは命令を並べ、数値を少し変更するだけで再生される音が変化することを繰り返し体感します。「プログラミング的思考」を難しく考える前に、操作に慣れ、意図したことだけでなく、思いもよらない表現をも存分に楽しむ体験は、プログラミングの導入に最適です。(稲垣 忠)

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