実践リポート

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「メディアのめ メディアのめ 」で、 メディアを使いこなす能力高める。

長谷川 壮太 教諭

長谷川 壮太 宮城県仙台市立愛子小学校

私たちは、普段からたくさんのメディアに囲まれて生活しています。生活の中でそれらを上手に使いこなすことができれば、よりくらしを豊かにすることができます。この番組は、そんな私たちの生活に密接に関わっている、メディアとの向き合い方や関わり方について、安保君の疑問と池上さんの解説から分かりやすく学ぶことができる番組です。 今回取り上げたのは、第15回「情報をゲット!ネット検索のワザ」です。普段何気なく検索サイトを使っている子どもたちも、教科における調べ学習となると、なかなか思うように使いこなせていないのも実情です。そこで、この番組を活用することで、必要な情報を効率よく収集する方法について学び、社会的事象の見方や考え方を養い、物事を多角的に見る力を育てたいと考えました。

メディアのめ【対象】小学校4~6年/総合

メディアのめ

小・中学生がメディアリテラシーを身につけることを目的とした番組です。子どもたちには、あらゆるメディアから流れてくる情報を取捨選択して受け止める力、また、それらを上手に活用していく力が必要になってきています。番組では、身近なメディアへの疑問を入り口に、様々なメディアの世界をジャーナリストの池上彰さんとひもといていきます。

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活用のねらい

「これってどういう意味かな。もっと詳しく知りたいな。」魅力的な課題に出会った子どもたちは課題を解決する方法を自然と探し出します。そうした時に重要になるのが「情報収集」の力です。「情報収集」の力を高めるためにはメディア・リテラシーが必要不可欠です。膨大な情報と向き合い、自分が求める情報を適切に選択し、活用する力が求められます。「デジタルネイティブ世代」の子どもたちは日常的に検索サイトを使っていますが、改めてその効率的な活用法をきちんと学習することはとても重要です。より効率的で深い学びが得られるように、社会科における調べ学習と並行してこの番組を活用しようと考えました。

授業の様子

(3/7)~書籍検索編~

普段から本を読むことが好きな子どもたちでしたが、番組を視聴し、「インターネット検索に活かせる本の調べ方」を新たに知ったことで、課題に対する意欲がさらに高まり、たくさんの種類の本から見つけ出したキーワードを、次々と付箋に書き出していく姿が見られました。また、特別な資料だけではなく、普段使っている教科書、資料集にも改めて目を向けて活用する児童や、国語辞典を活用する児童も見られました。

書き出した付箋はとても量が多く、画用紙がすぐにいっぱいになってしまうので、もう一度見直しをさせて、島分けをする時間を確保したことで、そのキーワードはどんな特徴にカテゴライズされるのかが明確になりました。その結果、どのキーワードを組み合わせてインターネット検索をすれば良いか考えることができ、次時への活動に繋げることができました。

(4/7)~インターネット検索編~

子どもたちは、検索窓への入力の仕方を工夫したことで、ぶれずに自分が知りたい情報だけに焦点を絞って調べることができていました。前時のうちに付箋にあらかじめたくさん書き出していたことで、検索できるキーワードが増え、さらに、複数組み合わせて検索することで、自分が欲している情報により迫っていくことができていたと感じます。

番組は異なりますが、「しまった!~情報活用スキルアップ~第3回インターネット検索」も事前に視聴させていたことで、「見出しと説明文で絞り込む方法」や「信頼度が高い情報を探す方法」も合わせて活用する児童の姿が見られました。 ネット検索を使って調べる20分間、子どもたちは次々とキーワード検索を行い、たくさんの情報を集めることができました。

子どもの変容

実践を行う前は、テーマが決まっていても、何を調べたら良いか分からず、手が止まってしまう児童がいましたが、「テーマから調べたいことを考え、キーワードにして書き出す」という方法を知ったことで、自信を持って調べる姿が見られました。

また、メディアを使いこなすには、複数のメディアを組み合わせて活用することも大切です。そこで本だけでなく、辞書や図鑑も併用して調べ学習を進める児童も出てきました。中には、アメリカのトウモロコシの生産量について調べた際に、本で得た情報とネット検索で得た情報がずれていることに気づき、「先生、このデータはどちらが正しいのですか?」と質問する児童まで出てきました。どちらが新しい情報なのか?どちらが信頼できる情報なのか?そのことを取り上げてクラス全体で共有したことで、情報を批判的に読み解く力の必要性についても実感させることができたと感じます。

実践を振り返って

授業後の学習感想の中で「本で調べたキーワードからネット検索をしたけど、やっぱり本の方が私は調べやすいと思いました。」と述べた児童がいました。この言葉からは、様々なメディアから自分に必要なものを選択し、自分の得意なアプローチで活用するスキルが育っていることを感じました。

メディアにはたくさんの種類があり、特徴があります。それぞれの良さを十分に理解しなければ上手に活用することはできません。なぜ本の方が良いと思うのか児童に理由を聞くと、「インターネットは情報量が多いけど、本はポイントがまとめられている。ネットで調べても結局は本で確かめなきゃいけなくなることもあるから。本は校閲されてるから。」とその児童は答えました。より正確な情報を得るためには、一つの情報を鵜呑みにすることなく、複数の資料を比較しなければならないということを理解できていることを感じます。今後も、インターネットにおける情報収集の利点(検索速度や多種多様性など)も十分理解させた上で、より効率的なメディアの活用の仕方を選択できる力を育てていきたいと思います。さらに、情報活用能力を育てると同時に、自分がメディアとどう関わっていくべきかということについても、番組を効果的に活用することで、子どもたちに具体的に考えさせていきたいと思います。

授業プラン「単元指導計画案」

第6学年社会科 単元名「日本とつながりの深い国々」(全7時間)

段階 時数 学習内容
つかむ 1 「日本とつながりの深い国を探そう」
  • 外国から入ってきた身のまわりのものや文化を出し合い、日本とつながりの深い国を四つあげて、話し合う。
2 「調べる国を決めて学習計画を立てよう」
  • 学習問題をつくり、日本とつながりの深い国から1か国を選び、人々の生活について調べる学習計画を立てる。
調べる 3 「調べる国と日本との関係について調べよう」
  • ~書籍検索編~
4 「調べる国と日本との関係について調べよう」
  • ~ネット検索編~
5 「調べる国と日本との関係について調べよう」
  • 調べたことを整理する。
まとめる 6 「調べた内容を他グループにわかりやすく伝えよう」
  • 教科書や資料集、様々な書籍資料とネット検索で得た深い知識をわかりやすく簡単に伝える方法を考えながら発表準備を行う。
7 「4カ国とのつながりを知って、日本の未来について考えよう」
  • 国別グループごとに、互いに調べた内容を伝え合い、今後の日本と外国との関係のあり方について考える。

※調べる国は、教科書に事例として挙げられている、「アメリカ合衆国、サウジアラビア、韓国、中国」とした。児童の希望通りに調べさせる方法もあるが、今回はあえてくじ引きで決め、調べる担当を学級で均等に割り振った。ランダムに割り当てられたことで、最後のグループ発表までの意欲と期待感を継続させるための工夫である。

授業プラン「本時案」3/6

○本時の目的

[書籍資料や辞書を用いて調べることを絞り、ネット検索を用いて、日本と関わりの深い国について効率的かつより深く調べる方法を学ぶ。]

時間の
めやす

学習内容・展開・発問例 ・指導上の留意点 ※準備するもの等
3’ 1.今までの調べ学習を振り返る。
「今まで疑問や学習問題を解決する為に、何を使って調べてきましたか?」
  • 今までの学習の成果物(紙芝居や新聞、プレゼン)などを見せながら、どうやって調べてきたかを振り返らせる。
7/10’ 2. メディアのめ・情報をゲット!ネット検索のワザを視聴する。 最初からシーン6まで(6分54秒)
5/15’ 3.番組視聴の振り返りをする。
「初めて知ったことやわかったことはなんでしたか?」
  • 辞典などで下調べをしてから検索していくと効率的であること、調べたキーワードを仲間分けしていくことで調べた情報を整理しやすいということを確認する。
15/25’ 4.日本と関わりの深い国4カ国(アメリカ、中国、韓国、サウジアラビア)から1カ国担当し、その国についてのキーワードを探し、付箋にメモする。 ※付せん
  • 4カ国についての本(図書室の本をあらかじめリストアップしておくとよい。)
  • グルーピングを前時に済ませておく。

40人学級の例
4名×2G=アメリカ合衆国
4名×3G=韓国
4名×2G=中国
4名×3G=サウジアラビア

15/40’ 探し出したキーワードを「衣食住」「文化」「産業」等の観点で整理する。 ※「まなボード」(なければ画用紙)
  • メモした付せんをいくつかの観点に分類し、島分けさせることで、調べているよう内容に偏りがないか意識させる。
5/45’ 6.整理した表を、同じ国を調べたグループ同士で見せ合い、次時でどれをネット検索に活用するか考える。
  • グループ分けした「衣食住」「文化」「産業」それぞれのキーワードを組み合わせて検索できるように準備する。

授業プラン「本時案」4/6

○本時の目的

[書籍資料や辞書を用いて調べることを絞り、ネット検索を用いて、日本と関わりの深い国について効率的かつより深く調べる方法を学ぶ。]

時間の

めやす

学習内容・展開・発問例 ・指導上の留意点 ※準備するもの等
3’ 1.前時の学習を振り返る。
「ネット検索をする前に、どんな準備をしましたか?」
「各グループで得たキーワードにはどのようなものがありましたか?」
※前時でグループごとに整理したキーワードボード(「まなボード」)
4/7’ 2.メディアのめ・情報をゲット!ネット検索のワザを視聴する。 ※シーン6から最後まで(3分4秒)
5/12’ 3.番組視聴の振り返りをする。
「ネット検索で気をつけることはどんなことでしたか?」
  • 公のホームページで検索することが大切。見出しと説明文をチェックする。鵜呑みにせず、先ずは批判的に情報を読むことも大切であることを確認する。
23/35’ 4.整理した表を元に、日本と関わりの深い国4カ国(アメリカ、中国、韓国、サウジアラビア)から1カ国担当し、その国についてのネット検索をする。
ネット検索で得た新しい情報を学習ノートにメモする。
※1人1台のPC(プリントアウトできる、パソコン室が望ましい。)で、グループごと集まって座る。
※書籍資料で調べた知識をもとに、絞られたキーワードでネットを使った検索をするように声がけする。

 

5/40’ 5. 個人で調べ、ノートにまとめた内容を同グループで共有する。  
5/45’ 6. ネット検索の効率的な活用の仕方についてまとめる。
発表のための資料準備を行う。
  • 様々なメディアを組み合わせることで、より深い知識を得たり、新しい発見をしたりできることを確認する。

中橋 雄

「メディアのめ」を活用した長谷川さんの実践は・・・ 学習者が主体的に学ぶ学習活動を行う上で不可欠となる情報検索のスキルを共通に身につけさせるために番組を活用しています。必要な情報を得るためにキーワードをよく検討すること、情報を絞り込むことや信憑性を判断することは、学習の質を高めることにつながります。調べたいという学習意欲と番組視聴を受けて、充実した学習活動が行われています。特に、本には本、ネットにはネットのよさがあることを確認するなど、メディアの特性を理解した上で使い分ける力を育む指導の工夫がなされており、参考になります。(中橋 雄)

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