実践リポート

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「why!?プログラミング」で筋道を立てて考える力を高める

豊田 多希子 教諭

豊田 多希子 三重県松阪市立三雲中学校

国語の授業でプログラミングというとまさしく「Why!?」かもしれません。しかし、文章の組み立てを考えたり、話の論理的な構成や展開をとらえたりすることは「プログラミング的思考」に相通ずるものがあります。本番組を視聴することで、技術科のプログラミングの内容とも関連づけ、教科を横断した応用的な学習ができます。課題を解決するために論理的に思考し、物事を順序立てて考えるとはどういうことか、を楽しく学べます。

Why!?プログラミング【対象】小学校5・6年生・中学生・高校生/技術

Why!?プログラミング

今、プログラミングは新しい創造を促す教育の手段として、世界で注目を集めています。米国マサチューセッツ工科大学が公開している初心者向けプログラミング言語「スクラッチ」を使って、「順次」「反復」「分岐」などのプログラミングの仕組みを分かりやすく伝えます。舞台は、隣の「スクラッチ・ワールド」。そこから届くSOSに、レスキュー隊員の厚切りジェイソンさんが救助に向かい、「Why!?」を連発しながら大活躍(?)します。

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活用のねらい

国語第2学年学習指導要領の一つに、「文の中の文の成分の順序や照応、文の構成などについて考えること」があげられています。文の構成を理解することは、書く力や読む力の育成にもつながります。この力を育成するための手立てとしてこの番組を活用しました。

「Why!?プログラミング」はスクラッチというプログラム言語を使ったプログラミングの仕組みが学べる番組です。「動画クリップ」も合わせて活用することで、厚切りジェイソンさんと一緒に課題を解決しながら学びを深めることができます。

今回はその初回放送を国語の文法授業の中に取り入れて実践を行いました。「プログラミング的思考」を応用して、文の成分の順序や文の構成の学びにつなげ、理解を深めることを目指しました。

授業の様子

文法に関する学習のまとめとして、少し見方を変え、プログラミングの視点から、言葉の組み立てを考えさせることにしました。番組の初回放送を見て、順序や筋道を立てて言葉を考えることの意義をプログラミングの仕組みと結びつけて理解させました。

それをもとに、「ジェイソンをなおせ」の動画クリップを使い、協働的な学習で「どのような言葉で、どのように直せばいいか」を考えました。ホワイトボード上だけで段階的に判断するだけではなく、擬音語をつけてロールプレイをするなど、思考を可視化しながら学べました。

授業の最後に、段落構成を考える問題に取り組みました。言葉を順序立てて考え、伝わる文章の組み立て方を積極的に考える姿が見られました。

子どもの変容

プログラミングという言葉しか知らない生徒達でしたが、この番組を視聴することで、興味を持って考え、身近なところでも役立っていることが理解できた様子でした。

さらに、「プログラミングと国語の文法が意外と似ている」という気づきや、「プログラミングのように考えれば、文章を考えるのもわかりやすくなると思った。」という振り返りも見られました。他にもこのような振り返りがありました。

○「動作を考えて並べること」と「言葉」、「物を動かすこと」と「文を作ること」など「筋道を立てて考えること」はいろいろなことに通じてくると思いました。

○今までは適当に言葉を選んでいたけど、言葉の順序を考えることによって意味が正確に伝わるようになることがわかりました。これからはプログラミングのように正確に物事を順序よく伝えていこうと思いました。

知識と知識を結びつけ、活用する力につなげている生徒の姿がみられました。

実践を振り返って

恥ずかしながら、初めて「Why!?プログラミング」を視聴した時、「これは技術科で使う番組だ」と思い込んでしまいました。しかし、「プログラミング的思考」という視点で見直してみると、プログラミングと国語科の学習内容との間で相乗効果が期待できると考えました。「正しい順序で筋道を立てる」という共通のキーワードで、で技術科と国語科の学習がつながり、課題解決策を共に考える中で、対話のある深い学びとなりました。

本番組を「プログラミング的思考」という視点で活用することで、技術だけでなく様々な教科でも汎用性があると感じました。ぜひみなさんも番組の活用にチャレンジしてみてください。

本時案(授業プラン)

時間 学習活動 指導上の留意点
課題共有
  • 本時の「めあて」を確認する
    「筋道を立てて考えてみよう!」
  • 文の組み立ての復習・確認をする。
  • 彼はアキレス腱を切った。彼は病院で手術をした。私はお見舞いに行った。
  • 私は/彼に/プレゼントした/手作りの/ケーキを/の文と文節を使って、「文章の構成を考えること」=「きちんと筋道を立てて考えること」であることを確認させる。
個人思考
  • コンピュータの世界でのプログラミングも、正しい順序の指示を出すことで動くことを伝える。
  • プログラミング学習の導入であるため、番組の初回放送を視聴させる。
  • 動作の組み立て方に気づかせる。
グループ思考
  • 動画クリップ「ジェイソンをなおせ(問題編)」を視聴して、正しい動きができるようにプログラミングを考える。
  • どこに、どんな指示カードを加えると良いか、他に方法はないかなどより良い修正方法を考える。
  • 班で最終決定をした修正方法をホワイトボードで表示する。プログラムに従って動作し、タブレットで撮影する。
  • ホワイトボードとカードを使い、言葉を並べ替えることで、プログラミングを体験させる。
  • 白紙のカードに、自分達が考えた指示を書いて、どこに付け加えると正しい動作になるのか、考えさせる。
    一つの方法だけではないことを伝え、よりわかりやすい方法を考えさせる。
  • 動作確認をするように指示する。その動作をタブレットで動画撮影し、発表の準備をさせる。
全体交流
  • 撮影した動画を電子黒板で紹介する。
  • 動画クリップ「ジェイソンをなおせ(解答の一つ)」を視聴し、自分達の考えと比較する。
  • 各班の動画を電子黒板に映して発表させ複数の方法を比較検討させる。
  • 言葉の順序を考えることと、物事を順序立てて考えることの共通点を押さえる。
振り返り
  • 本時の学習で筋道を立てて考えることについてわかったことを振り返る。
  • 学習のまとめとして段落を並べ替えて文章を完成させる国語の問題に取り組み、学習の定着を図る。
  • 論理的思考力の必要性に気づかせたい。

寺嶋 浩介

「Why!?プログラミング」を活用した豊田さんの実践は…豊田先生が当初の感想としてもっておられたように、「Why!?プログラミング」をそのまま視聴させるだけでは、色んな教科への展開はあまり期待できそうにありません。しかし、この番組を「プログラミング的思考を育む番組」として位置づけたときに、この番組の価値が2倍にも3倍にも膨れ上がります。この番組を手段として、「きちんと筋道を立てて考えること」として「言葉の順序を考えることと」「物事を順序立てて考えること」を取り入れたところがこの授業のポイントと言えます。また、ただ考えさせるだけではなく、その活動をとらえ、きちんと振り返っていることも当たり前かもしれませんが重要です。生徒が活動に没頭するところを引き戻し、確かな「プログラミング的思考」の指導をされているように感じました。(寺嶋 浩介)

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