実践リポート

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「カテイカ」で目的や相手意識のある楽しい学びをつくる

横山 みどり 教諭

横山 みどり 筑波大学附属小学校

えんどぅの失敗から始まるストーリで、テーマの内容について展開していく『カテイカ』は、インパクトのある導入としてその題材への意欲を高めます。また、内容については説明し過ぎず、子どもたちが調べたり試したりして学んでいく学習過程にも取り入れることができます。さらに、実験映像などから分かったことを意識させて活動させることで、限られた時間の中で効率よく子どもたちの実感を伴う学びをつくることが可能になります。

カテイカ【対象】小学校5・6年生/家庭

カテイカ

子どもたちの“生きる力を高める”ことを応援する小学校5・6年向けの家庭科番組です。ダンサーのえんどうさんふんする主人公が、身の回りのさまざまな課題に挑戦するも失敗ばかり。何が間違っている?どうしたらうまくいく?子どもたち自身が考えながら、家庭科のツボを学びます。

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活用のねらい

家庭科は、小学生段階での家庭生活に必要な知識や技能を確実に身に付けさせることを目標としています。また、分かったことがどう活用できるかを考えさせ、家庭実践の意欲を高めることも大切な指導内容です。実験映像などを授業に取り入れたり、登場する人の言葉や表情を捉えて発問したりすることを通して、子どもたちが学習活動の目的や相手意識を感じながら活動することを期待しています。

授業の様子

第5学年題材「みそ汁 わが家のコツ」

本時では、番組カテイカ「みそしる」※を3回に分けて視聴させました。

①題材の導入<~おみそ汁の作り方が分からずえんどぅが愕然とするところ>

えんどぅがみそ汁を外国から来る友だちにごちそうしてあげたいと考えたことから、みそ汁が我が国の伝統的な日常食であることについて、ソウ ルフードについて、話し合いました。

②調理計画<~ダンス「神のみぞしる おみそしる」まで>

視聴してから自分が立てた調理計画を見直し、特に気を付けたいことや付け足すことを考え、ひとりひとりが実習のめあてを具体的にもちました。

③授業のまとめ<カテイカさまが行く>

家で家族におみそ汁を作る子どもの様子や、出来上がるのを見守る家族の様子からどんな気持ちでいるかを話し合いました。また、実践した子ど もの「(家庭実践をして)少しは自信がついたと思う」という言葉から家庭実践のよさを話し合いました。 ※「みそしる」は配信リスト内、その他の放送にあります。

子どもの変容

○初めて「カテイカ」を視聴した際には、子どもたちは何に注目すればいいのかが分からず、発問を分けて具体的にする必要がありました。結果、話し合う内容は広がらず、学習活動や家庭実践に活かすことをイメージできない子も多くいました。

そこで、「話し合ったことを確かめるために、もう1度みてみよう!」と教師から提案しました。2度目は子どもたちの集中が全く違い、視聴している表情も豊かになりました。

相手の言葉や表情から気持ちを感じ取ろうとするからこそ、子どもたちの気持ちも動き、表情に現れるということなのでしょう。「カテイカ」をいくつかの題材で活用するうちに「ここまでで考えたことはありますか?」という発問で、様々な意見が出るようになりました。

番組を視聴する観点は、初めから教師が与えるのではなく、子どもたちが気付くように工夫する必要があります。これは、身に付けた知識や技能を自分の必要に応じて活用する力を育むことにもつながるからです。ここで大切なことは、教師が子どもたちに気付かせたい観点を明確にしておくことです。それがあることで、効果的に発問や子どもたちへの支援ができるからです。

みその香りの正体はいかに?

なぜ沸騰すると香りがなくなる? 

○「カテイカ」には、なるほどと感じる実験映像が多く取り入れられています。例えば、みそ汁の調理には「みそを入れたら直ぐに火を止める」というみその香りを大切にして美味しく調理するためのコツがあります。しかし、みその香りが損なわれる様子は実感を伴って確かめることが難しく、手順などを確認しながら作るのが精一杯の子どもたちにとっては意識し続けられないものです。そこで、計画を立てている途中でみその香りについての実験映像から原理などを理解することで、計画の中で特に大切な箇所を強調したり、不十分だったことを付け足したりすることができました。

○家庭実践紹介コーナーでは、家族とのかかわりにも注目させています。それは子どもたちに、学習したことを家庭生活で活かすことで自分の成長を実感して自信がもてるだけでなく、実践を見守る家族にとっても大きな喜びになることに気付かせたいと考えているからです。「カテイカ」をいくつかの題材で視聴するうちに、学習したことを活かした家庭実践だけでなく、実習前に家庭で練習をする子どもも増えました。
※「みそしる」では「カテイカさまが行く」、「2016年度放送分」では「みんなのカテイカ」

実践を振り返って

「カテイカ」はえんどぅがイカにされてしまうという斬新な設定のもと、各テーマを問題解決型の学習形態で展開しています。一見、びっくりしてしまうような設定や動きもありますが、教師も子どもたちと一緒に楽しみながら学習を進めることができるので、授業以外での話題も広がったと感じています。

「カテイカ」を授業に取り入れるためには、教師が十分な授業準備をする必要があることも分かりました。子どもたちが疑問に思うことを想定して、話し合いで解決しない場合には付け足すなど、これからも効果的な活用ができるように指導を工夫していきたいと思います。

本時案(授業プラン)

「本時案」1コマ45分授業を2コマ続けて実施

学習活動 指導上の留意点
1導入 カテイカ・みそしるを視聴する
はじめから、おみそ汁の作り方が分からずえんどぅが愕然とするところまで。
  • えんどぅはなぜ外国から来る友だちにみそ汁をごちそうしたいと考えたのでしょう。
  • えんどぅが言っていた「日本人のソウルフード」とはどんな意味でしょう。
  • 日本のの伝統的な日常食について、他国の例も含めたソウルフードについての資料を準備しておく。
  • 子どもたちの話し合いで不十分なことは教師が付け足す。
  • 「わが家の味」にも触れ、みそ汁について調べてきたことの交流につなげる。
2展開 □みそ汁について調べてきたことを交流する。
□実習計画を立てる。
カテイカ・みそしるを視聴する
ダンス「神のみぞしる おみそしる」まで。
□実習計画を修正する。
  • 実習計画に活かし易いように、「材料」「作り方」「みそ」「その他」に分けてまとめる。
  • 思考する場面を設定するために、大根・長ネギの切り方、調理の手順については班で相談して工夫させる。(切り方を変えれば、手順が変わることなどを理解させる)
  • 実習を具体的にイメージできるように、実習計画で特に大切なことには赤で下線を引いたり、不十分なことは付け足しをしたりさせる。
3まとめ カテイカ・みそしるを視聴する。
カテイカさまが行く
□自分の調理実習のめあてを考える。
  • 家庭実践への意欲が高まるように、実践している子や実践を見守る家族の様子に注目させる。
  • 実習で意識し易く、どうだったかを振り返り易いように具体的なめあてを考えさせる。

堀田 博史

「カテイカ」を活用した横山先生の実践は・・・家庭科の実習での失敗は、怪我や事故にもつながります。番組では、えんどぅの失敗から始まり、その失敗を科学的根拠のもと解説することで、技能だけではなく知識も身に付けることができます。横山先生が活用のねらいで書かれているように、家庭科では授業での学びを単なる知識・理解だけにとどめるのではなく、家庭において、習得した知識・技能を応用することで、児童にもより達成感を得ることができます。それは、次も頑張ってみよう!と粘り強さにつながります。(堀田 博史)

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