実践リポート

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「はりきり体育ノ介」でばた足の技能向上につなげる

岡田 江奈実 教諭

岡田 江奈実 東京都北区立豊川小学校教諭

浮く・泳ぐ運動の特にバタ足の習得において、タブレット端末を用いて「はりきり体育ノ介」の動画クリップを活用しました。まず、事前に教師が児童の泳ぎを撮影します。その水中映像と番組内の手本(できるポイント)とを比較させ、ベン図にまとめます。その際、自身の泳ぎを振り返えらせると同時に、次時の練習のめあてを設定させました。そして、そのめあてをもとに泳ぎの練習をした結果、自分の泳ぎの改善点に気づいたことで、バタ足の動きに変化が見られ、ばた足の技能向上につなげることができました。
※この実践および所属は、2015年度のものです。

はりきり体育ノ介【対象】小学校3・4・5・6年生/体育

はりきり体育ノ介

ICT活用授業の普及に伴い、タブレットを体育授業に取り入れる学校が増えています。『はりきり体育ノ介』は、そうした現場のニーズに合わせて、分割視聴・部分利用しやすいように工夫した新しい体育番組です。

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活用のねらい

本実践の番組活用のねらいは、泳ぎの手本としての活用することです。

泳ぎの技能習得のためには、自分の泳ぎを振り返る必要があると考えます。そこで、児童の泳ぎを教師が水中で撮影し、その映像を児童自身が振り返ることを学習活動に組み込みました。しかし、児童が自分の泳ぎを見ただけでは、自分の泳ぎのどの点が良くて、どの点が改善すべき点なのか判断することは難しいと言えます。泳ぎの改善点を挙げるためには、手本と自分の泳ぎの比較が有効と考え、この点から、手本として『はりきり体育ノ介』の「できるポイント」を活用しました。

授業の様子

(1)児童自身の泳ぎと「できるポイント」の比較

児童自身の泳ぎと「できるポイント」を比較するふりかえりは、教室においてグループで行いました。また、比較にはベン図を活用しました。

【授業のながれ】

○『はりきり体育ノ介』視聴(手本・視点の確認)
○映像から得た視点をもとに、自分の泳ぎと手本の映像を比較する。(個人)
○他の児童から、自分の泳ぎについての意見をもらう。(グループ)
○自分のふりかえり、もらった意見をもとに、次の練習では何に気をつければよいかを考える。

まずはじめに、振り返りの視点を出せることをしました。具体的には番組内で提示される「できるポイント」を一つ一つ読み取り付箋に書き出させ、ベン図の左側に置かせました。その中で、体育ノ介の泳ぎで良いと思ったところを読み取る児童もいました。

次に、視点をもとに自分の泳ぎと手本と比較し、共通した動きがあれば、「できるポイント」を書き出した付箋をベン図の真ん中に移動させました。それ以外の自分の泳ぎに関する気づき(手本との相違点)は、ベン図の右側に書き出させ、そこに書かれたことをもとに改善点を考えさせました。

「ひざが曲がっているから、次のめあてはひざをのばすことにしよう!」や「足の甲でけることを意識しよう!」など、次のめあてをたてるとともに、手でばた足の動きを再現して友達同士で確認し合う様子も見られました。

(2)ふりかえりをもとにした泳ぎの練習

プールでの泳ぎの練習は、前時のグループで集まり互いのめあてを初めに確認してから始めました。練習が始まると、泳いでいる児童に「ひざが曲がっているよ!気をつけて!」と同じグループの児童が声をかけたり、プールサイドでタブレット端末を使って「できるポイント」を確認するなど、どの児童も体育ノ介の手本に近付けるよう試行錯誤していました。

子どもの変容

泳ぎのイメージの獲得とばた足の技能向上

自分の泳ぎと「できるポイント」とを比較をしたベン図の内容において、自分の泳ぎと「できるポイント」の共通点が増えた児童が増加しました。その要因として、二点挙げられます。一点目は、自分の泳ぎと「できるポイント」との比較により泳ぎの改善点に気づき、次の練習のめあてが明確になった点。二点目は練習をする際にプールサイドで何度も手本の泳ぎの動画を確認したこと、それにより自分が気をつけるべきポイントを再確認できた点が考えられます。

ベン図において、自分の泳ぎと「できるポイント」との共通部分が増えたということは、より手本に動きが近づいたと言えます。この結果からばた足の技能向上につながったと考えられます。

実践を振り返って

これまで水泳指導といえば、学年など大人数での一斉指導が主流でした。そして一人一人に合った指導が十分にできないことが多々ありました。そのような中で、児童一人一人が泳ぎに関する具体的な課題意識をもつことはプールでの一斉指導だけでは、とても難しいことでした。

しかし、『はりきり体育の介』を活用したことで、具体的な改善点、めあてを明確にさせること、さらには「こんな風に泳げばいいんだ!」というイメージの獲得と実際の泳ぎの技能向上をさせることができました。

今後も『はりきり体育の介』を他の単元でも活用し、児童それぞれの力を伸ばせるよう取り組んでいきます。

本時案(授業プラン)

○学習活動 □指導上の留意点 ▲学習資料
1 1

2
○ 水慣れ
○ 基本的な泳ぎの練習
○ 泳ぎの撮影
□タブレット端末で教師が撮影
2 3 「動画クリップ・ばた足 できるポイント」視聴(手本・観点の確認。)
○映像から得た観点をもとに、自分の泳ぎと手本の映像を比較する。(個人)
○他の児童から、自分の泳ぎについての意見をもらう。(グループ)
○自分のふりかえり、もらった意見をもとに、次の練習では何に気をつければよいかを考える。
▲『はりきり体育ノ介』動画
▲ 自分の泳ぎの動画
▲ベン図(ワークシート)
□ベン図に手本と自分との比較をまとめさせる。
□比較をする際に、手本の観点を確認させる。
□次の練習で気をつけることをワークシートに書かせる。
3

○ 水慣れ
○ 基本的な泳ぎの練習
○ ふりかえりをもとにした練習
○ 泳ぎの撮影
□練習の前に、気をつける観点を確認させる。
□手本をいつでも再生できる状態にしておく。
(タブレット端末)
□ビート板を使ってもよい。
4 8 ○ 手本と自分の比較(個人)
○ 他の児童から、自分の泳ぎについての意見をもらう。(グループ)
○ 自分のふりかえり、もらった意見をもとに、次の練習では何に気をつければよいかを考える。
▲『はりきり体育ノ介』動画
▲ 自分の泳ぎの動画
▲ベン図(ワークシート)
□ベン図に手本と自分との比較をまとめさせる。

稲垣 忠

『はりきり体育ノ介』を活用した岡田先生の実践は・・・頭の中で思い描く「かっこよく泳げる自分」と実際の「上手く泳げない自分」。このギャップを埋めるには、自分の姿を撮影してみることが第一歩です。岡田先生はタブレットを使いました。防水仕様であればデジカメでもできますが、タブレットの良さは、プールサイドで即座に再生し、確認できるところ。ただし、再生するだけで改善点に気づくとは限りません。番組「はりきり体育ノ介」で紹介する「できるポイント」「できないポイント」と、自分の映像との比較により、課題点に気づくきっかけが生まれます。さらに、気づきを書き足しながらベン図に整理しました。たくさんの気づきのどこから取り組むか、具体的なめあてをもって練習しようとする主体的な子どもたちの姿を引き出すことに成功しました。(稲垣 忠)

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