実践リポート

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『銀河銭湯パンタくん』で、主人公の葛藤に共感し考えることで、豊かな心を育む

小島 貴之 教諭

小島 貴之 東京都杉並区立久我山小学校教諭

子どもたちはパンタくんの映像を「今日はどんなお話かな?」と楽しみながら見ています。やってはいけないとわかっているけど、ついやってしまうパンタくんの行動を見る中で、視聴後自分自身について深く考え、意見を出し合うようになりました。
※この実践および所属は、2013年度のものです

銀河銭湯パンタくん【対象】小学校1・2年/道徳

銀河銭湯パンタくん

「もったいない!ゴミほどお宝!?」

小学校1・2年生向けの人形劇による道徳番組。宇宙人と地球人が共存する300年後の地球を舞台に、小学生パンタと宇宙人パンキチが騒動を繰り広げます。今回は、掃除をしていたパンタたちが、壊れたおもちゃをどんどん捨てていきますが…。

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活用のねらい

楽しく学校生活を送っていくなかで、ついつい落とし物や忘れ物をしてしまったり、画用紙や折り紙を使って遊んだ後、再利用するのではなく捨ててしまえばいいと考えたりということがありました。

『銀河銭湯パンタくん』は、好奇心旺盛なパンタくんの行動を、子どもたちが興味を持ちながら視聴するため、印象に残りやすくその後の振り返りもスムーズに進みます。さらに、文字に抵抗のある児童にとっては、映像を見ることで内容を理解しやすくなります。また、子どもたちにとって、実際によくある葛藤をクローズアップすることで、どの子も共感しやすく考えやすくなっています。一人ひとりが、共感し考えをもち、豊かな心を育めることを思い、この教材を活用しました。

授業の様子

子どもたちは、授業が始まると早速、「パンタくんでしょ?」「どんなお話を見るの?」と、目を輝かせながら聞きました。

私は「もったいない!ゴミほどお宝」と板書し、「物は大切に使わないといけないよね。でも、お話の中で、パンタくんが物を大切にしていない場面があるんだ。そのときのパンタくんの気持ちやどうして大切にしなかったのかを考えてみてね」と、映像を見る視点を示してから視聴を始めました。番組が始まると、集中して画面を見つめ、オープニングテーマを口ずさむ子もいました。私は、子どもたちの反応やつぶやきを見取るために、子どもと画面の両方が見える場所で視聴をします。

視聴が終わると、「もう、おしまいかー」「続きがみたい」と次の話を期待する子どもがいました。本時では、どんな場面が心に残ったのかを自由に発言していきました。視聴の視点を与えていたため、「ものを粗末にしてはいけないという大切さに気付いたところ」や「ポイポイと捨ててしまったのがいけないと気付いたところ」という場面が心に残ったという児童が多数いました。また「片づけるのは、面倒くさいけれど、物を大切にしなければいけない」「なんでもかんでも捨てるのではなく、また直せば使えるものがあるから捨てないほうがいい」といったねらいに沿った感想が多かったのが印象的でした。

次に、場面の振り返りをしていきました。番組のサイトからダウンロードした重要シーンを活用しながら、番組の内容を板書で整理していきました。そのイラストを見た児童は、これはあのシーンだ!と答えることができていました。私は、どの発問も、ねらいである「物を大切にしなければいけない」ということに戻ることができるように意識して授業を進めました。

パンタくんの気持ちに共感しながら番組の感想を話し合った後は、自分の経験を想起してワークシートに「自分にとって、大切なものとその理由」について記入します。学習コンテンツを使った後に、この振り返りを行うことが、とても難しいと私は感じていました。視聴を通して、子どもたちは仮想世界へと入っているため、そこからなかなか抜け出せず、視聴したようなスケールの大きいことは経験がないなと考えてしまうことが多いからです。

しかし本時では、テーマが身近だったこともあり、思い入れのあるものや、なくなってしまったら困るもの等を、自分の言葉で書くことができていました。ワークシートに記入した後に、ペアで対話の時間をとりました。

この対話が大変盛り上がりました。お互いの大切にしているものを発表する子どももいれば、反対に大切なものを大切にできずに後悔した経験を発表している児童もいました。質問をしたり、相づちを打ったりとすすんで友だちと物の大切さについて話し合う姿が見られました。互いの発表を通じて、友だちの大切なものやその理由を知ったことで、これまでよりさらにものを大切にしなければいけないと思った児童が増えたようです。

最後に、教師の説話として、私自身も片づけるときには捨ててしまうことのほうが多いけれど、やっぱり捨てずに再利用することも大切だという気持ちを伝えて、授業を終わりました。

子どもの変容

クラスで落とし物があったときには誰のものかを見つけ、「大切にしなきゃだめだよ」という言葉かけがあったり、まだ使える紙があったときには、「私が使うから、捨てないで」と声をかけたりする様子が見られるようになりました。「パンタくんも言ってたでしょ」という言葉を耳にしたときには、大変驚き、番組を使ってよかったなと感じました。

実践を振り返って

これまで道徳の授業は、副読本と場面絵を使って行ってきました。副読本では、読み取れる力や内容を覚えている力に偏りが出てしまい、発言も一部の児童に偏ってしまっていました。しかし、本実践では、番組を利用することによって、発言が活発になり、子どもたちの意見で授業を作り上げていくことができました。番組を手本としながら、日常生活を振り返ることで、よりよい学級集団を作っていくことができます。

本時案(授業プラン)

学習活動 学習活動指導上の留意点
1 銀河銭湯パンタくん・もったいない!ゴミほどお宝を視聴する。
  • 視聴する前に視点を与える。
2 番組内容の振り返りを行う。
  • 番組内容の共感を通して、ものを大切にすることの良さを感じ、高められるようにする。
3 自分自身を振り返る。
ペアで対話をする。
  • これまでの経験を想起させ、具体的に話すようにする。
  • 対話を通して交流していく中で、自分たちの生活を振り返る。
4 教師の説話を聞く。  

稲垣 忠

「銀河銭湯パンタくん」を活用した小島さんの実践は…300年後の銭湯を舞台にした『銀河銭湯パンタくん』は、ぶっ飛んだキャラクターと子どもたちを飽きさせないテンポの良さが特徴。道徳の授業でそのまま見るだけでは「あー面白かった」で終わってしまうかもしれません。小島さんは授業で活用するためにパンタくんのどんな行動に着目して視聴するとよいか視聴前に投げかけます。さらに番組のサイトから場面を印刷し、黒板に掲示することでストーリーを確かめます。番組の世界を楽しんだ子どもたちの素直な声を引き出すことで、道徳的価値に気付かせていきました。(稲垣 忠)

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