実践リポート

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「歴史にドキリ」 異なる資料を使って、情報を集めよう

太田 友和 教諭

藤木 謙壮 岡山県備前市立日生西小学校教諭

教科書、資料集、動画クリップの3種類の資料で安土桃山時代から江戸時代にかけて活躍した3人の武将(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康)について調べ学習を行いました。「歴史にドキリ」では、第18回~第20回の放送回の内容にあたります。これら3つの資料は、文章や写真の数等、書かれていることがそれぞれ異なります。動画クリップは、教科書や資料集に書かれていることをイメージする際に効果的に活用することができます。今回は、調べ学習で使用する資料を限定することで、他者のもつ情報を聞く必然性が生まれ、児童は主体的かつ対話的な学習を行うことができました。

歴史にドキリ【対象】小学校6年/社会

歴史にドキリ

平成24年度から始まった「歴史にドキリ」。歌舞伎俳優の中村獅童さんが、毎回さまざまな歴史上の人物にふんし、歌って!踊って!楽しいお芝居で歴史学習へいざないます。

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活用のねらい

これまで動画クリップを見る際には、一斉視聴で、教師が見せたいものが選ばれることが多かったと思います。しかし、児童の中でその動画と課題の関連性を見出せなかった場合には、効果的な資料とはなりません。この資料としての動画クリップを、児童が課題との関連性を考えながら選ぶことができるようにすることで、効果的に活用することができるのではないかと考えました。

そこで本実践では、教科書、資料集、動画クリップの3種類の資料毎にグループをつくり、それぞれ情報を集めたうえで通常の学習グループに戻り情報整理を行うという活動を行いました。この活動を通して、教科書や資料集だけではイメージしにくかったことに、動画クリップの映像を合わせることで、より理解を深めることをねらいました。

授業の様子

動画クリップを使用したグループでは、はじめは、検索に「織田信長」などと武将の名前を入れると出てくる動画を手当たり次第に見ていました。そのうちに、たくさんある動画クリップの中から見たいものを限定する方が効率的であることに気づき、「どのキーワードで検索すれば、知りたい情報を見ることができるのか」について話し合う児童の姿が見られるようになりました。「歴史にドキリ」などの動画クリップは1つの動画が2~3分程度の短い時間で作られているため、短い時間でも複数の動画クリップを見ることができます。しかし、課題を意識した上で必要な動画を限定して見た児童は、より課題と資料の関連性を意識できていたように感じました。

通常の学習グループに戻った際には、イメージをより深めるために動画クリップを使ったり、動画クリップに出てきた言葉をより詳しく知るために教科書や資料集を使ったりし、それぞれの資料の特徴を児童の必要感に応じて活用しながら話し合いを進めていました。

子どもの変容

今回の実践を通して、大きく2つの効果を感じました。1つ目は、学習意欲が高まったことです。教科書や資料集は、たくさんの情報が視界の中に入るため、どこから見ていいか分からなくなる児童もいました。一方、動画クリップでは、一度に一つのものしか見ることができないことが情報を焦点化することにつながり、情報が多いと困ってしまう児童にとっては学習しやすくなっていたようです。また、動画クリップは、ネット環境があれば自宅でも見ることができるため、今回の授業後でも、予習や復習として動画クリップや番組を見る児童が増え、家庭学習の充実にもつながりました。

2つ目は、情報を集める力がついたことです。今回のように資料ごとにグループをつくり、それぞれが持ち寄った情報を伝え合うような活動では、たくさんある動画クリップの中から、限られた時間内に効率よく適切なものを見ることが求められます。このような考える必然性を生み出す活動を何度も繰り返していく中で、情報を取捨選択しながら収集する力が身についてきたように感じました。

実践を振り返って

NHK for Schoolの動画クリップは、社会科だけでも1,500本以上あり、どの単元でも使用することができることが教材準備の際にとても役に立ちました。その中で大切だと感じたのは、全ての中から見たいものを見つけさせるのか、それとも教師がある程度まで限定しておくのかといったことを授業準備の段階で考えておく必要があるということです。

今回は、情報を「戦い方」「政治」「建造物」「外国との関わり」という4つの視点で集めることを導入時に確認していたため、それらに関する「歴史にドキリ」などの動画クリップを選択することができていました。また、「「歴史にドキリ」などの動画クリップは、映像と同時にナレーションの言葉を表示できるのでわかりやすい」、「動画クリップを途中で止めて静止画資料として活用する方が説明しやすい」といった児童の感想から、情報収集の資料としてだけでなく、情報発信する資料としても使いやすいものとして児童が感じていたことが分かりました。

このように、情報収集や情報発信のツールとしても効果を発揮する動画クリップの様々な活用形態に応じた指導の在り方について考えていきたいと思います。

授業プラン(本時案)

時間のめやす 学習の内容・展開・発問 指導上の留意点、準備
導入
  • 本時で学習する武将を確認する。
  • 本時で使用する資料(教科書、資料集、「動画クリップ」)毎にグループをつくる。
  • 単元を通して、教科書、資料集、「動画クリップ」のすべての資料を使用できるように、武将ごとに使用する資料が変わるローテーションを組む。
展開

【資料別グループ】

  • 資料別グループ毎に、本時で学習する武将について、資料を使って情報を集める。

【通常のグループ】

  • 通常のグループに戻り、それぞれが集めた情報を共有し合う。
  • 自分が使った資料ではよく分からなかったことをメモしておくことで、後で聞くことができるようにする。

まとめ

【学級全体】

  • 調べたことを全体の場でレーダーチャートにまとめていく。
    (その際、4項目毎に点数の平均値を出し、クラスのレーダーチャートを作成する。)
  • 資料の写真やイラスト、動画クリップ等を使って説明すると分かりやすい説明ができることも確認する。

稲垣 忠

「歴史にドキリ」を活用した藤木さんの実践は… 調べ学習の材料に教科書、資料集に加えて動画クリップを取り入れた提案です。子どもたちは「刀狩り」「大阪城」「鉄砲」など、気になったことをどんどん調べますが、教科書や資料集の文字と写真だけでは断片的でイメージがわかないことがあります。一方、動画クリップはイメージをとらえることは得意ですが、何が重要な情報か自分なりに要約したり、映像による気づきを言葉に表していく必要があります。「戦い方」「政治」「建造物」「外国との関わり」といった視点を持たせ、資料を分担して調べさせた上で情報をつなぎ合わせる場を設けることにより、情報を組み合わせて自分の考えを組み立てる学びを実現することができました。 (稲垣 忠)

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