実践リポート

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「10min.ボックス 理科2分野」で学びをつなげよう

楠本 誠教諭

楠本 誠 松阪市立三雲中学校教諭

理科の授業は、できるだけ実験、観察を行い、直接的な体験、経験を大切しています。一方で年間を通して「10min.ボックス理科」の動画も活用してきました。では、どのような場面で動画を活用したのか、それは大きく次の2つの場面です。
1.行うことが難しい実験や観察を扱う場面です。例えば、金星の観測など時間や空間的に理科室で行うには難しい観察です。動画を視聴することで実験、観察の補完が可能となります。
2.生徒が実際に実験、観察を行った後の場面です。行った実験、観察に関する動画を視聴することで、生徒は自分の考えと比較したり、自分の考えを別の視点で捉え直したりすることで、考えの再検討、再構成を行うことができます。 そこで、中学校1年生理科「堆積岩」で、2の場面を取り入れた授業実践を紹介します。

10min.ボックス理科【対象】中学・高校/理科

10min.ボックス理科

理科の学習のうち、生物・地学を扱う第2分野では、生命、地球、自然災害など科学の基本概念を学ぶとともに、総合的な見方を育てる学習へと発展する構成になっています。番組では、生徒に科学を学ぶ意義や有用性を実感させ、科学への関心を高めます

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活用のねらい

次期指導要領で掲げられた主体的・対話的で深い学びを目指すには、生徒自身が前時の学びを本時に、本時の学びを次時になど、「学びをつなげていこうとする姿」が不可欠だと思います。

「10min.ボックス理科」は各単元のポイントを10分間でまとめた番組です。迫力ある映像やわかりやすいイラストなどが満載です。また、番組だけでなく数分のクリップも豊富にあり、キーワード検索をすると関連する番組やクリップを一覧表示し、選択して視聴することができます。

そこで本実践では動画を活用し、生徒自身が学びをつなげる授業を考え実践しました。
授業に取り入れたポイントは次の2つです。

  • 実験、観察した後に番組を視聴する。自分の考えと動画の内容を比較することで、学びをつなげ深める。
  • 生徒が興味あることをさらに追究するために、自分で番組やクリップを検索、選択し動画を視聴することで、興味関心をつなぎ学びを継続する。

授業の様子

実践は単元「堆積岩」で行いました。前時に、様々な堆積岩を観察し、削り取って堆積物を確かめたり、触って感触を確かめたりしながら、堆積岩の気づきをまとめました。これを生徒は一人1台のタブレットで「堆積岩図鑑」を作成しました。

本時では、まず、「10minボックス理科」(地層)を視聴し、番組から得られる新しい気づきを「学びカード」に記入しました。「学びカード」には「心を揺さぶられた場面とその内容」を記録しました。番組は個々のタブレットにイヤホンを接続し視聴しました。

次に、生徒が動画の内容から興味をもった事や関連するキーワードから、自由に番組やクリップを検索し、動画を選択して、視聴しました。また、これらも視聴した後「学びカード」に記録しました。

最後にグループの形になり、堆積岩を配布しました。この堆積岩を各自が作成した「堆積岩図鑑」と「学びカード」を使って、グループ話し合い、同定していきました。

子どもの変容

生徒に行ったアンケートでは、番組視聴の学習効果について「自分の考えに自信を持つことができた」「気づいていないことに気づくことができてよかった」などの意見が見られました。

「学びのカード」の学習効果については「意見を交流するとき、その画面を相手に見せたり、カードを読んだりできたので説明がしやすかった」「Aさんの心の揺さぶれたポイントが参考になりました」などの意見が見られました。

番組を視聴したことで、自分の考えに自信を持ったり、番組からの学びを記録した「学びカード」を意見交流の場で指さして、相手にわかりやすく説明したりできるようになったと思います。

実践を振り返って

本年度、番組やクリップなどの動画を授業で活用してきました。動画は視聴して終わるのではなく、視聴した内容を記録し、それを活用する場面を設定しました。さらに生徒が興味を持った内容の番組やクリップを選択して視聴したりする時間を設定しました。これらを繰り返すことで、生徒の学びはつながり、主体的な活動になっています。

豊富にある番組とクリップは細かく分類されています。「何の目的のために」、「何の動画を」、「どのように活用するか」を考えることで、授業デザインの幅が広がると思います。

本時案(授業プラン)

時間のめやす 学習活動 指導上の留意点
3分

1 前時を振り返る

  • 前時に各自が制作した「堆積岩図鑑」を見る
15分

2  10min.ボックス 理科・地層を視聴

  • 各自のタブレットで番組を視聴する
  • スクリーンショットをとり、番組を記録する
  • 番組の記録は「心を揺さぶられた場面」を記録し「学びのカード」に記録する

5分

3 各自でさらに「動画クリップ」を検索し、選択して視聴する

  • さらに興味のあるキーワードで検索をして、関連動画を探す
  • 動画を選択して視聴する
  • 番組の記録は「心を揺さぶられた場面」を記録し「学びのカード」に記録する

2分

4 課題を知る

《課題》 配布された堆積岩は何岩だろう。根拠を示して同定しよう。

20分

5 堆積岩を同定する

  • グループになる
  • 堆積岩を観察する
  • 各自の「堆積岩図鑑」、「学びカード」を活用して、堆積岩を同定する

5分

6 振り返り

  • 本時の振り返りをする

稲垣 忠

「10min.ボックス理科」を活用した楠本さんの実践は・・・ 理科の実験・観察など実体験を通じた学習の質を高めるために番組やクリップを活用しているところに特徴があります。体験的な学習は有効ですが、体験させただけでは学習として成立しないこともあります。目的意識をもち、見るべき観点をもって実験・観察をすることや実験後に多様な見方や考え方と自分の考えを比較検討することが重要です。探索的な映像視聴や図鑑にまとめて伝え合う学習活動は、一人1台タブレットが有効活用されており、主体的・対話的で深い学びを実現させる優れた事例であったといえるでしょう。(稲垣 忠)

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