実践リポート

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「さんすう刑事ゼロ」を活用して 対話を通して考えを深め、問題を解く喜びを実感

太田 友和 教諭

片岡 義順 神奈川県川崎市立新城小学校教諭

「さんすう刑事ゼロ」を活用することで、クラスの子どもは算数的活動の楽しさを実感しながら授業に取り組むことができます。本実践では、番組の問題に対して、子どもは早く解いてみたいという意欲や答えはどうなるのだろうというワクワク感が高まる中で展開していきました。問題への意欲の高まりは、自力思考、集団思考という学習の流れを充実したものにし、対話を通して考えを深めていくこと授業づくりにつながりました。

さんすう刑事ゼロ【対象】小学校4~6年/算数

さんすう刑事ゼロ

この番組は、ベテラン刑事ゼロと新米刑事イチが、「算数」を使って難事件に立ち向かうミステリードラマです。2人が所属する「さんすう課」は、数字や図形に関する事件を 捜査する部署。若いイチは熱血でまっすぐだが、難題にぶち当たると諦めがち。ゼロは そんなイチを励ましながら推理を進め、事件を解決していきます。

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活用のねらい

「さんすう刑事ゼロ」は、番組内で起こる事件のなぞを、算数の考え方を用いて解決していきます。前半は、ヒントを手がかりにしつつも主人公がつまずいてしまいます。視聴を通して児童はなんとか答えを求めることができないかという「考える意欲」が喚起されていきます。番組内では、算数の思考を働かせて算数の言語で説明する場面が多くあります。解に至る過程を算数の言葉を用いて説明している場面も児童が思考するうえでよきモデルとなっています。
児童が学習の中で日常の中にある算数に目を向けるきっかけづくりとなるだけでなく、算数の問題を楽しく考えていくことができる教材となっています。すべての児童が学習活動への見通しを共有でき、算数的活動に楽しく取り組むことができることを期待して本番組を活用しています。

授業の様子

授業の導入で、既習の確認を行いました。平行四辺形や三角形の面積の求め方、面積を変えずに四角形を三角形に変形できることを全員で確認しました。

その後『さんすう刑事ゼロ』「土地を等しく分割せよ ~図形の面積~」を始めから5分50秒まで視聴しました。「同じ面積に分けるためにはどこに線をひけばよいのだろう」という問題場面について、最初に自力で思考する時間を作りました。既習を活かして面積を変えずに四角形を三角形に変形する子や、土地の面積を求めてみる子など試行錯誤しながら取り組んでいました。自力思考の時間では、正解を見つけられた子は一人もいませんでした。

その後、グループで思考する時間を取りました。ホワイトボードを使って、各自が考えたところまで出し合っていきました。友達と考えをつなげたり、違う視点から図形を見たりしながら、どこに線を引けば等しい面積で分けられるかについて考えていきました。結局6グループあるうちの4グループが正解を見つけることができました。

グループの考えをクラスで共有した後で、番組の後半(5分50秒~10分)を視聴しました。感覚的に分かっていた子、自力でも自分たちのグループでも解決できなかった子も番組を見ることで、同じ面積に分けるためにはどこに線を引けばよいのか納得することができました。

子どもの変容

学習問題については、全員が把握できたものの、「どうやって求めたらよいのか、思い浮かばない」と教室内がざわつきました。それでも、グループでの話し合いで、考えをつなぎ合わせていく中で、面積を変えずに四角形を三角形に変形すること、出来上がった三角形の面積を半分にするには底辺の真ん中で分ければよいことに、既習を生かしながら気が付いていきました。

正解にたどり着いたグループからは歓声が沸きあがりました。そうではないグループは、四角形をいろいろな形に変形しながら、なんとか答えを求めたいと必死に思考している姿が見られました。この問題を解くことに全ての子どもが夢中になりました。あっという間に授業時間の45分が過ぎてしまいました。番組の中で起こっている事件を解決するために、問題の正解を求めたいという意欲がとても強く伝わってきました。

実践を振り返って

番組を活用することで、子どもが問題を解いてみたいという意欲が高まりました。同時に全ての子が問題場面を理解するということもできました。問題を与えられている感で取り組む子どもと、自ら問題を解いてみたいと主体的に取り組む子どもの目の輝きは明らかに違います。

本実践では、既習を生かし、何人もの考えを合わせて解を求めていきました。既習と自分の考えを基に対話を通してさらに考えを深めていくことができました。今回は、正解は分かったけれども、説明ができないという子もいました。番組では、算数の用語を使って分かりやすく、視覚的に説明してくれます。番組の解説を見ることで、自分たちが求めた正解までの過程を再確認することができていました。

本時案(授業プラン)

1.単元計画

単元名:四角形や三角形の面積

単元計画
1 平行四辺形の面積や高さが図形の外にある場合の平行四辺形の面積の求め方を理解する。
2 三角形の面積や高さが図形の外にある場合の三角形の面積の求め方を理解する。
3 底辺の長さと高さが等しい三角形は面積も等しいことを使って,四角形を同じ面積の三角形に変形する方法を考える。(本時)
4 台形・ひし形・一般四角形の面積の求め方を理解する。
5 方眼を使った不定形の面積の求め方を理解する。
6 まとめ

2.本時案

目標:既習の求積可能な図形の面積の求め方をもとにして、面積の求め方を考えている

主な学習活動 指導上の留意点
  1. 既習の確認

「平行四辺形の面積」、「三角形の面積」、「四角形を三角形へ変形する」の確認


  • 板書して視覚的にも確認できるようにする。

0~5分50秒まで視聴
  • 児童には番組が見やすい位置に自由に移動させる。

 

自力思考
同じ面積に分けるためにはどこに線をひけばよいのだろう

ワークシートに考えを記入

  • 実際に作図したり、補助線を引いたりしながら考えていくよう促す。
  • 前の時間の図形を再度確認するように声をかける。
集団思考(生活班)
・各自の考えをもとに話しあう

<クラスで共有>


  • ホワイトボードを使って説明していく。

  • クラス共有では、黒板にホワイトボードを貼る。

番組視聴(5分50秒~最後まで)

 

振り返り

 

堀田 博史

「さんすう刑事ゼロ」を活用した片岡先生の実践は・・・視聴する児童は、番組内で起こる事件を解決するために、様々な方法を思考します。ひとりで解決できないときは、ペアやグループで協働して解決に向かいます。算数の(専門)用語を駆使して、友達に伝えようとします。このような活動や学びの姿が、クラスの中で見られるようになれば、片岡先生の書かれている”解く喜び”を児童は実感していることでしょう。生活の中にある「算数の不思議」に出会い、解決してみようと意欲的になる姿、そのような学びの過程が実現することを願っています。(堀田 博史)

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