実践リポート

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「さんすう犬ワン」で楽しく算数を学び、問題解決の意欲を高める。

増本 敦子 教諭

増本 敦子 東京都杉並区立西田小学校主任教諭

さんすう交番では、キュウベイがズルや意地悪をしてテンコちゃんを困らせ、街では、怪人カズラーが算数を悪用してモメごとを引き起こします。算数が得意なワンは、テンコにヒントを与え、解決へ導きます。子どもたちも、テンコと一緒に夢中になって問題解決に取り組み、楽しく算数を学ぶことができます。
※この実践および所属は、2014年度のものです
※授業の様子が動画で見られます

さんすう犬ワン【対象】小学校1・2・3年生/算数

さんすう犬ワン

「どちらが長い?~長さくらべ~」

大掃除の教室。大きな机を廊下に出そうとするが、入口を通るかわからない。その時、カズラーが机を動かなくしてしまった。机を動かさずに入口を通ることを証明してみろ、とカズラーは挑発するが…

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活用のねらい

「さんすう犬ワン」のストーリーは、テンコが子ども役で、ワンが先生役というスタイルで、テンコが算数の問題でつまずき、ワンがヒントを出し解決へ導くという、算数の学習の流れに沿っています。子どもたちは、交番や街で起こるお困り事を、ワンのヒントを基にして、具体物を使ったり、図に表したりしながら、解決していきます。子どもたちが、お話を楽しみながら、テンコやワンと一緒に夢中になって、問題解決に取り組むことができるのが魅力です。

本番組の活用を通して、身の回りに算数があることに気付き、自ら問題を解決しようとする姿勢や既習事項を基にして問題を解決する力を育てていきたいと考えました。ここでは、「どちらが長い?~長さくらべ~」の授業実践について報告します。

授業の様子

 前半は、第1時で学習した直接比較の復習とし、後半を本時の学習として扱いました。

交番の事件授業プラン参照

さんすう犬ワン・どちらが長い?~長さくらべ~を見ながらお勉強したいと思います」と、すぐに視聴に入りました。

1分6秒「キュウベイ先輩が、『長いほうあげるよ~』って言ってるけど、本当かな~?」と問いました。

子どもたちは、「ここにタオルがあって、隠しているから分かりません」「端がそろっていないかもしれません」ワンのヒントを視聴する前に、子どもたちに考えさせました。

キュウベイ先輩の悪だくみがバレたところ(1分56秒)で、「キュウベイ先輩、ごまかしてました!さて、本当はどっちが長いんですか?」と確かめるよう、子どもたちを促しました。

「端をそろえれば、分かります」と、一人の子が黒板の前に出てきて、写真と同じ大きさで作っておいたアイスキャンディーを動かして、説明しました。

ただ、「ぶどうの方が長い」と答えを出すだけでなく、実際に、具体物を使って友達に説明をすることで、なぜ長いと言えるのか、比べ方(直接比較)を明らかにすることを大切にしました。

ワンからのもんだい!(2分57秒~3分23秒まで)授業プラン参照

「むらさきの方が長い!」と確かめた上で、長さを比べるときに大切だったことを問いました。「端をそろえて、ちゃんと伸ばすことです。」

カズラーの事件授業プラン参照

「では、今日の問題だよ」5分33秒で止め、場面の様子が分かるよう、場面や図表を掲示し、「テンコちゃんたちは何に困っているのかなあ」と問いました。

「机が動かせない」「並べて比べられない」アイスキャンディーのように、直接比較をすることができない場面であることを明らかにし、離れているときの長さの比べ方を考えるという本時の課題をつかませました。

「どうしたら、いいかな?」という問いに、子どもたちは、「簡単!簡単!」「分かった!」と口々に言って、挙手をしました。

「リボンを使えばいい」掃除用具入れから、ほうきをとってきて、「ほうきの棒に印をつけて、ドアのところにもっていけばいい」とさまざまなアイデアが出てきました。

自分たちのアイデアを確かなものにするために、続きを見ました。

最後まで視聴し、「みんなが考えた方法と比べてどうだったか?」問いました。

「同じだった!」無事、事件は解決です。「離れているときの長さは、リボンや棒などに長さをうつして比べればよい」ことをまとめ、自分たちの教室の先生の机の縦の長さと入口の幅をリボンで比べてみました。

「ぼくたちの教室の先生の机も、入口を通れるね!」そして、「今日学んだ長さの比べ方を使って、いろいろなものの長さを比べよう」と2人組で協力して活動し、比べたものを発表してもらいました。

子どもの変容

はじめて『さんすう犬ワン』を活用して授業をしたのが、5月末の「なんばんめ?~順番~」です。それ以来、算数の授業のたびに「今日も、『さんすう犬ワン』見る?」と子どもたちはいつも楽しみにしています。

キュウベイのキャラクターは親しみやすく、すっとぼけていたり、いたずらをしたりすると子どもたちはすぐに突っ込みを入れます。また、カズラー引き起こすもめ事は、子どもがその仕掛けに気付きやすく、困っているテンコを助けようと一生懸命に考えます。それが、自然と算数の内容を学ぶことにつながっています。

授業が終わると、毎回「また見たい!」と子どもたち。番組を通して、算数が楽しいと感じ、問題を解決することに意欲的になりました。

実践を振り返って

実践動画動画を見る
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『さんすう犬ワン』に出てくる問題は、教科書の問題と同じ構造であるにも関わらず、毎回題材が面白く、私自身が楽しんで授業作りができました。番組の活用を通して、授業の幅が広がったことを実感しています。子どもたちも、楽しく学習できることはもちろん、番組のサイトにアップされている場面集や図表集、ワークシートを活用することで、視覚的にも楽しく、分かりやすく学習に取り組むことができました。

今後も、番組ならではの魅力を大事にしながら、算数のねらいをおさえ、楽しく学べる授業作りに挑戦していきたいと思います。

本時案(授業プラン)

ねらい 長さの比べ方を理解する。(間接比較)

学習活動 指導上の留意点
1

既習事項を振り返る。
<交番の事件>

<ワンからのもんだい!>
  • 長さの比べ方(直接比較)について、以下の点を確認する。
①端をそろえる。 ②まっすぐのばす
2

課題を把握する。

<カズラーの事件>
  • 「並べて比べることができない時の長さの比べ方を考える」という本時の課題を明確にする。
3

比べ方を考える。

(自力解決、説明・検討)
  • キュウベイの「長さをうつす」やワンが持ってきたリボンをヒントに考えさせる。
4 まとめる。
  • 長さの比べ方(間接比較)について、以下の点をおさえる。
①長さをぼうやリボンなどにうつしとって、比べる。
5 いろいろなものの長さを比べる。
  • 一人ひとりに2色のテープやリボンなどを用意しておく。

中橋 雄

「さんすう犬ワン」を活用した増本さんの実践は…試行錯誤しながら思考する場面を大切にしています。特にこの実践では、番組に登場する人物が直面する課題解決場面において自分ならどうするか番組を一時停止して考えさせる工夫をしています。課題解決場面は、日常生活における状況に埋め込まれており、教室で再現することが難しい場合もあります。そうした問題に対し、番組が状況を再現する役割を果たしています。また、この番組は登場人物に感情移入して課題を解決してあげたくなるような気持ちにさせます。そうした特徴をうまく生かした実践といえるでしょう。(中橋 雄)

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