実践リポート

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「おはなしのくにクラッシック」で古典の世界を楽しむ

堀川 紘子 教諭

堀川 紘子 京都府京都市立藤城小学校教諭

「おはなしのくにクラシック」ではそれぞれの古典作品の「見どころ」がわかりやすく紹介されており、子どもだけではなく大人も作品を楽しむことができます。作品と合わせて、日本特有の伝統文化についても紹介されているため、社会科の歴史学習と関連づけて視聴することもできます。本番組を視聴すると、「古典=ハードルが高い」から「古典=面白い」と古典の魅力に気付く第一歩になるはずです。
※この実践および所属は、2015年度のものです。

おはなしのくにクラッシック【対象】小学校3・4・5・6年生/国語

おはなしのくにクラッシック

古文・漢文や文語調の詩歌は、多くの子どもにとってはなじみが薄く、「難しい」「つまらない」と思われかねません。そこで、子どもたちを古典の世界へと無理なく導き、「面白い!」「楽しい!」と思ってもらう、そのきっかけを作る番組が「おはなしのくにクラシック」です。

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活用のねらい

同じ場面を実演とアニメで表現

みなさんは、「古典」と聞いてどのようなことを想像しますか?「難しい」や「わからない」と感じておられる方もいらっしゃると思います。『おはなしのくにクラシック』では、古典特有の言葉遣いや作品の魅力がわかりやすく紹介されています。一流の狂言師や俳優による実演、子どもの興味を引くようなCGアニメーションを使って古典作品の世界がわかりやすく表現されています。また、10分という限られた時間で古典作品の見どころを知ることができるため、実際に古典作品を読みたくなる工夫があります。6年生の歴史学習においても文化面の学習と関連づけて学習することができます。古典作品への興味関心を高めるとともに、昔の人の物の見方や考え方について知り日本の伝統文化を知ることができる番組です。ここでは、第8回「柿山伏」の授業実践について報告します。

授業の様子

『伝統文化を楽しもう「柿山伏」 ~狂言を楽しみ、音読しよう~』

山伏になりきって演じる子ども

○授業のねらい

狂言特有のセリフの言い回しやふり(動き)の面白さを感じ、そのよさを音読で表現することができる。

まず教科書教材「狂言 柿山伏」を音読し、古典特有の言葉遣いを知りました。本文の音読を終えて、「登場人物はわかったけど、どんな話なのかわからない」などの声が子どもたちから出てきました。狂言とは、昔の喜劇だということを伝えると、「どこで笑えばいいかわからない」という声も出てきていました。

次に、『おはなしのくにクラシック』を視聴し、この作品の面白かったところや喜劇と呼ばれる理由はどこにあるのかについて問いました。すると、「動物の鳴きまねが面白い」や「畑主」と「山伏」のやりとりが面白いということに気づいていました。そこで、面白さが伝わるように音読練習に取り組み、クラス全体で音読発表会に取り組むことを伝えました。

グループごとに作品の面白さについて意見交流し、それぞれ音読練習に取り組んでいました。狂言特有の言い回しや、オリジナルの動きなどもつけて発表を楽しむ姿が見られました。

子どもの変容

番組を視聴する前は、「古典は難しくて、意味がわからないから嫌い」という子どもたちがいました。ですが、番組を視聴することを通して、作品のみどころを知ったり、現代にも通じる狂言の面白さを感じたりすることができ、楽しみながら学習に取り組む姿が見られました。また単元のゴールに音読発表会を設定したことで、番組を視聴して気付づいた作品の面白さを音読に生かし、楽しみながら音読していました。学習後には、実際に「狂言」を観に行きたいという子どももいました。子どもの中には、狂言についての学習から「昔の人も、現代の人も、面白いものが好きなんだな」と感想を話してくれる子どももいました。番組を視聴することが、子どもたちにとって「古典の世界の魅力」を知る、よいきっかけとなりました。

実践を振り返って

古典を扱う授業では、教師側には「何をどのように教えたらよいかわからない」という困りがあり、子ども側には「原文を理解することが難しく作品の面白さがわからない」という困りがあります。教師と子どもの困りをなくす上で、『おはなしのくにクラシック』は役に立ちます。番組は10分という短さにも関わらず、作品の見どころ、作品がつくられた時代の歴史的背景や文化なども紹介されています。「柿山伏」の学習後から、子どもたちの古典に対するイメージが変わり、他の古典作品も知りたいという意欲が高まりました。社会科の学習で「勧進帳」が紹介されたときには、子どもたちから「番組を視聴したい」という声が上がるほどになりました。子どもたちと日本の古典や伝統文化とのよりよい「出会い」を演出する上で『おはなしのくにクラシック』は活用することができます。

本時案(授業プラン)

学習活動 〇学習内容 ◇指導上の留意点 ●児童の反応
1 1.デジタル教科書の動画教材を視聴する。

2.教科書をもとに、冒頭の一場面を音読する。
〇動画教材を視聴する。
●言葉が難しい。
◇視聴した動画が「狂言」であり、室町時代(600~700年前)に始まった喜劇だということを伝える。

〇「。」(丸読み)で本文を音読する。
◇わからない言葉は飛ばして読んでもよいことを伝える。

「柿山伏」のおもしろさが伝わるように、音読しよう。

3. を視聴し、面白かったところやせりふについて交流する。

4.「柿山伏」の面白さが伝わるような音読について考え、音読練習をする。
〇番組を視聴し、面白かったところやせりふについて交流する。
●動物の鳴きまねが面白い。
●山伏と柿主のやりとりが面白い。

〇あらすじと登場人物を確認する。
●登場人物は山伏(シテ)と柿主(アド)
〇山伏役、柿主役、聞き役に分かれて、それぞれの役を全員ができるようにしながら音読練習に取り組む。
◇タブレット端末の操作方法(動画撮影)について伝える。
2 1.音読発表会を開き、感想を交流する。

2.「柿山伏について」を読み、狂言の面白さについて考える。

3.放送番組『にほんごであそぼ』の狂言を視聴することを通して、伝統芸能に親しむ。
◇グループごとに、「柿山伏」の面白さが伝わるような音読について考え、工夫した読みの部分を交流してもよい。

〇これまで練習してきたことをもとに、音読発表会に取り組む。
●私たちのグループでは、せりふに合わせて動きを入れて音読をします。

〇「柿山伏について」を読み、狂言の面白さについて考える。
●修行を積んだ山伏でも空腹に負けてしまったり、必死に動物になりきったりするところが面白いと思いました。

〇番組を視聴することを通して、興味を持った番組や映像クリップを視聴する。
●狂言では音の表し方が面白いと思いました。
◇歌舞伎や人形浄瑠璃、落語の動画があることも伝え、自分の興味を持った動画を視聴できるようにしておく。

木原 俊行

『おはなしのくにクラシック』を活用した堀川先生の実践は・・・子どもたちが古典のよさを味わうことは、日本の伝統文化を大切にする心情を育むという、今日の学校教育の重要課題の1つです。しかしながら、一般的には、これまで、子どもたちにとって、古典で描かれる世界やその表現はあまり身近なものではありませんでした。堀川さんは、子どもたちと古典作品のよき出会いを演出するために、学校放送番組『おはなしのくにクラシック』を授業で活用しています。映像や音声やアニメーションが駆使されている同番組ならば、子どもたちは、古典作品の「楽しさ」を味わい、その世界に共感するであろうと、堀川さんは考えたのです。堀川さんは、さらに、子どもたちに、古典作品とよき関係を築かせるために、授業のデザインを精錬させています。それは音読発表会という舞台の設定や他の放送番組の視聴活動の導入等です。 (木原 俊行)

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