| 【バージェス頁岩】 |
カナディアン・ロッキー山脈の山中に、約5.3億年前(カンブリア紀中期)の地層が眠っています。バージェス頁岩と呼ばれるこの地層は、古い時代の地層であるにもかかわらず、驚異的に保存の良い化石を含んでいることで知られています。バージェス頁岩の発見は今世紀はじめで、大量の化石資料が収集されましたが、ケンブリッジ大学やハーバード大学、カナダ地質調査所などの研究者グループによって、その化石生物についての検討が進んだのは最近になってからのことです。現在の生物からは想像できないような、奇妙な生物を多数含んでいることがわかったのです。
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| 【砂泥互層】 |
大陸棚から深海底にかけて、乱泥流と呼ばれる海底の土石流が間欠的に起こり、上方に向かって粗い粒子から細かい粒子へと連続的に移行する級化層理が発達した堆積物が、何十枚も何百枚も積み重なっています。このような砂泥互層の堆積物が、海底に何度も急速にたまることによって、巻き込まれた当時の生物が急速に埋没し、化石となることを助けました。 |
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| 【氷河地形】
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| カナディアンロッキー山脈は、最終氷期の山岳氷河に削られた、険しい地形を示しています。画面でも、U字谷がよくわかります。(→「6.氷河期襲来」参照) |
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| 【バージェス頁岩の発見】
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| バージェス頁岩は、当時カンブリア紀の化石研究の権威として知られていた、ウォルコットによって1909年の8月末に発見されました。彼はまたスミソニアン博物館の館長でもあり、膨大な化石がワシントンDCのスミソニアン博物館に運ばれ、収蔵されました。
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| 【グラインダー】
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| 化石を母岩から取り出したり、露出させるためには、歯科用のグラインダーが好んで用いられます。グラインダーは微細な作業ができるので、化石を覆った岩石をきれいに取り除くことができます。この作業では岩石の細かい破片が空気中に漂うので、防塵マスクをする必要があります。 |
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| 【紫外線カメラ】
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| バージェスの化石は、軟体部や微細構造が残っている点で非常に貴重なものですが、それらのデリケートな特徴は、紫外線をあてて撮影することにより、より明瞭に現れます。そのため、紫外線で化石を撮影する手法が用いられました。
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| 【オパビニア】
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| 現地語で、岩場のもの、という意味の化石。目が5つ、体節構造を持ち、ゾウのようにのびた触手を持つ、節足動物と考えられている化石生物です。尾の構造などにアノマロカリスと共通する特徴が見られます。 |
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| 【オットイア】
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| CGの中で、泥の中に隠れ、時折身体を乗り出して、海底にいるヒオリテス類(貝に似た、殻を持つ生物)を捕食しているのが、鰓曳(えらひき)動物であるオットイアです。身体の両端に身体を支えるとげや鈎があり、U字型に折れ曲がったかたちで発見されることなどから、穴掘りの上手な動物であっただろうと想像されます。また、吻には鋭い歯が並んでいます。吻はめくれ上がったり、延びたりして、獲物をうまくつかまえることができます。 |
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| 【ハルキゲニア】
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| 1対ずつのとげと脚をもつ、不思議な生物です。ハルキゲニアという名前は、「幻のような生き物」という意味です。中国の澄江では密集したかたちで産出し、上下の方向が決定されましたが、前後の方向が未確定です。澄江での化石の産状から、死体を食べていた、海の掃除屋であった可能性が指摘されています。
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| 【三葉虫】 |
三葉虫は古生代の最初のカンブリア紀のはじめ(約5.5億年前)に出現し、古生代末のペルム紀の終了(約2.4億年前)と共に姿を消した、古生代を代表する化石生物です。特に古生代の前半、カンブリア紀、オルドビス紀に産出する割合が高く、カンブリア紀の地層から産出する化石の70%が三葉虫である、という試算もありました。ひとつには、非常に繁栄して種類数、生息数ともに多かったこともありますが、硬いキチン質の殻を持ち、脱皮殻も化石になりやすい等の条件も有利に作用していたと考えられます。
スタジオで紹介した化石は、バージェス頁岩では一般的な三葉虫である、オレノイデス・セラータスという種。スミソニアン博物館から寄贈されたもの。東京大学教養学部自然科学博物館所蔵。
オレノイデスは、三葉虫特有の殻の化石だけではなく、歩脚、鰓脚を備えた付属肢の残った化石が発見されており、身体のしくみが非常によくわかっています。
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| 【多細胞生物の出現】
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多細胞生物の出現は、先カンブリア代後期(約5.8-5.6億年前)のエディアカラ動物群の出現まで証拠がないと思われていましたが、最近、インドの約11億年前の砂岩層から、多毛類がつくったと思われるような生痕化石が報告され、もっと古い時代に多細胞生物が進化していた可能性が考えられています。 |
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| 【カンブリア紀爆発】
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古生代のカンブリア紀(約5.5億年前)になると、化石として発見される生物の数が急激に増大します。先カンブリア代末の化石種が数十〜数百種程度とされるのに対し、カンブリア紀には、これまでに報告されたものだけでもおよそ1万種に達する生物が化石として見つかっています。このような化石種の爆発的な増大を指して、カンブリア紀爆発と呼ぶことがあります。
このような化石生物の多様性の増大は、殻を持つ生物の出現と、それによる生存競争の激化が招いた可能性が指摘されています。しかし、エディアカラやバージェスなどの化石動物群の研究が進むにつれて、カンブリア紀爆発に対する認識が変化しています。 |
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| 【エディアカラ動物群】 |
| オーストラリアのエディアカラという場所で最初に発見されたために命名された、先カンブリア代末の化石動物群。ウミエラやクラゲなどを特徴的な化石とするエディアカラ動物群は、その後ナミビア、アメリカなど、世界各地で発見されています。最近の研究では、エディアカラ動物群とそれよりも3000万年〜5000万年新しい、バージェス動物群の間で連続性を持つものが指摘されるなど、両者の関係について様々な議論がなされています。
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| 【アノマロカリス】 |
カンブリア紀最大の捕食動物です。アノマロカリスの分類状の位置は難しい問題ですが、最近では原始的な節足動物である、とする考えが有力なようです。付属肢のついた化石が発見され、CGで紹介したような泳ぎ回る動物であるというより、海底を這う生活をしていた可能性が大きくなっています。 |
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| 【ピカイア】 |
| バージェス頁岩から化石で発見された脊索動物。我々を含む、すべての脊椎動物の祖先と考えられていましたが、最近、これよりも古い時代により進化した魚の化石が見いだされ、ピカイアを直接の祖先とするのは不適当になりました。 |
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| 【澄江動物群】
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| 中国の澄江でも、バージェス頁岩と類似した保存の良い化石を含む地層が知られていて、澄江化石動物群として有名です。アノマロカリス、ハルキゲニアをはじめ、共通の化石を多く産しますが、時代的には、こちらの方がバージェス頁岩よりもわずかに古いと考えられています。 |
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| 【中国のカンブリア紀魚化石】
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| 1999年に、中国の澄江のカンブリア紀の地層から、2種類の原始的な魚の化石が報告され、脊椎動物の起源がおよそ5000万年さかのぼることになりました。 |
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| 【ナメクジウオ】
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ナメクジウオは、現在も日本の瀬戸内海などの砂地の浅い海底に見られる、長さ3,4cmほどの小さな脊索動物です。「ウオ」と名前がついていますが、魚の仲間ではありません。脊椎動物の脊椎のもとになったと考えられる、脊索という棒状の構造が身体の芯を通っていて、それに沿って神経管がのびている構造を持ちます。そのような脊椎動物への進化の中間段階を示す重要な生物として、生きている化石のひとつともいわれます。 |
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