海からの創世 用語集

【生命の特徴】
生命の特徴 地球上には、様々な環境に適応した生命があふれています。姿かたちや大きさは様々ですが、生命のもつ基本的なしくみは共通です。ここでは、生命の定義を次のように簡単に説明しています。
 外界と自分を区別する境界(膜)をもち、栄養を外界から取り入れ、エネルギーを生み出し、そのエネルギーで自分の身体を作り、成長し、不必要なものを排泄する。また、遺伝子を持ち、自分の複製あるいは子孫を残す。
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【細胞と生命】
 生命の基本単位は細胞です。単細胞生物では、生命維持のすべての役割をひとつの細胞でこなします。多細胞生物の場合、細胞ひとつひとつが生きていると同時に、全体としての生命を、役割分担をしながら支えています。
 人間の場合、身体を作る細胞の総数は60兆個とも言われています。ひとつの受精卵から、60兆個もの細胞に分裂し、しかもそれぞれの細胞が個体を維持するための役割を果たしながら、自分自身も生きています。また、その細胞のどれもが同じ遺伝情報を持っています。クローン技術はそれを利用しています。
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【グレープフルーツ】
 グレープフルーツの房をつくるつぶのひとつひとつは、ひとつの細胞ではなく、複数の細胞から成り立っているようです。柑橘類ではひとつの細胞からなるものもあるのですが、そうではないものも多いようです。
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【細胞内小器官】
 一般的な細胞では、細胞内に核やミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体、植物の場合は葉緑体など、それぞれの役割を持つ小さな器官があり、これを細胞内小器官と呼んでいます。それぞれの小器官の由来には、様々な可能性が考えられていますが、特にミトコンドリアと葉緑体の起源については、もともと別々の独立した生命だったものが、ひとつの核を持つ真核細胞の中にとりこまれた、細胞内共生の可能性が有力になっています。
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海の存在】
 地球の海の存在は、少なくとも38億年以上前にさかのぼります。(→「1.水の惑星・奇跡の旅立ち」参照)紫外線に対するバリアの問題や、化学反応の進行の条件から、生命の誕生も海の中であったと考えられています。逆に言えば、地球に安定した海が存在したあとで、現在につながる生命が誕生したと考えられます。
 月のクレーターの記録から、39億年よりも前には、地球表面にも隕石衝突が頻繁に起こっていたと考えられます。大きな隕石(微惑星)の衝突があると、そのエネルギーが熱になって、海洋が蒸発してしまいます。原始地球では、せっかくつくられた生命材料が、隕石衝突によってこわされ、何度もやり直しになってしまった可能性が考えられています。
 生命の歴史をおよそ40億年としているのは、このような根拠に基づいています。
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【生命の材料】
生命の材料 1953年、有名なミラーの実験で、メタン・アンモニア・水素・水蒸気を封入し、当時想定されていた原始地球環境を再現した環境で火花放電させると、数種類のアミノ酸ができることが示されました。その後、地球の初期大気組成について、メタン・アンモニア型の大気ではなく、二酸化炭素・窒素(・水蒸気)型のものであると考えられるようになりましたが、その条件でもアミノ酸の生成は可能なので、基本的な枠組みは同じでよいと考えられています。
 ミラーの実験の当時、有機物を合成することは生命以外にはできないという考えが支配的だったので、この結果は驚きを持って迎えられました。しかし、現在では適当なエネルギーと材料を与えれば、無機的に有機物を合成するのは難しくない、と考えられています。地球上の様々な場所で、アミノ酸をはじめとする有機物がつくられていた可能性があります。
 その他にも、マーチソン隕石(→「1.水の惑星・奇跡の旅立ち」参照)などで、隕石中にアミノ酸が検出されたことなどから、宇宙空間で生命材料がつくられて、それが地球に降り注いだことの重要性を主張する研究者もいます。
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【生命誕生のシナリオ】
生命誕生のシナリオ 宇宙空間で生命が作られたとする考えは、紫外線などによって分解が起こるため、化学合成がある程度以上は進行しないのではないか、ということと、紫外線に対してDNAやRNAが弱いことなどから、多くの研究者が否定的です。
 地球上のどのような場所で生命が生まれたか、という問題は非常に難しく、いくつかの説があります。現在は熱水噴出口が候補として有力だと考えられていますが、海底の粘土の上や、干潟のような環境を想定する考えもあります。
 現在の地球の生命はアミノ酸や糖の光学異性体のうち、片方しか利用しません。そのことから、生命誕生の現場で、粘土鉱物が関与して選択的に光学異性体の片方を使うことになった、とする考えもあります。
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【バクテリア】
 バクテリアは、核と細胞質の区別がない、原核生物のひとつのグループで、様々な細菌、大腸菌などのグループが含まれます。おそらく最古の生命は、バクテリアのような単純な形態のものであっただろうと考えられています。
 バクテリアの中には、酸素を用いずに生活する(嫌気性の)ものが多く存在します。地球史初期には、光合成生物が放出した酸素は蓄積していなかったので、大気や海洋中の酸素濃度はきわめて低く、このようなタイプの生命のみが生存できたと考えられます。
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【古細菌】
 古細菌と呼ばれるグループの原核生物の中には、90度以上の高温の水の中で繁殖していたり、強酸性の水の中など、非常に極端な環境で生息しているものがあります。地球史初期の環境は、現在よりもはるかに高温、高圧の大気や海洋など、かなり極端な条件が想定されますので、このような古細菌について研究することは、初期生命の理解につながると考えられています。
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【光合成】
 光合成には、酸素を放出するタイプのものと、酸素を放出しないタイプのものがあります。シアノバクテリアの多くは、光合成で有機物を合成する際に、水素を必要とするのですが、水分子から水素を取りだして供給します。そこで余った酸素を放出します。一方、水素の供与体として、硫化水素を利用するタイプの光合成バクテリアもいます。この場合は、硫化水素から光のエネルギーを使って水素を取りだし、硫黄を排出します。これらは排他的な関係とは限らず、現在のバクテリアマットでも両者が共存している様子が観察されます。
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【バクテリアの棲み分け】
バクテリアの棲み分け シアノバクテリアが放出し始め、陸上の森林生態系が加速して酸素の多い大気、海洋となった現在でも、酸素を使わない、嫌気性の生物は死に絶えていません。それらは、地球上の酸素の少ない環境で生きる場所を見いだし、分解者として生態系の重要な役割を担っています。古いタイプの好熱性細菌は、温泉の出口や、海底熱水系などで発見されています。さらには、地下や海底の泥の中で生活するものもあります。身近なところでは、人間の体内に大腸菌がいますし、浄化槽や下水処理場の中でも嫌気性細菌が重要な役割を果たしています。
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【バクテリアのマット】
バクテリアのマット 地球上の様々な場所で、シアノバクテリアがつくるバクテリアマットを見ることができます。そこでは、様々な種類のバクテリアが共存し、非常に単純な生態系をつくっています。  番組で紹介した地中海の河口のデルタに見られるバクテリアマットは、最上部は緑色のシアノバクテリアで構成され、酸素を生産しています。その下では、分解者として機能する嫌気性(酸素を使わない)バクテリアが生きています。両者の中間には、紅色光合成細菌が、シアノバクテリアが使わない波長成分を利用して、光合成活動を行っています。
 シアノバクテリアがつくるストロマトライト(→「3.残されていた原始の海」参照)の表面も、バクテリアマットの一種です。そこに石灰質の粒子がとらえられることで、ストロマトライトが成長していったのです。
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【真核生物の出現】
 真核細胞に含まれるミトコンドリアは、もともと独立した好気性細菌だったものが、細胞内に共生して、呼吸に関係する役割を分担するようになったと考えられています。植物に見られる葉緑体も同様です。どのようなプロセスで共生するようになったのか、厳密にはよくわかっていません。これらは核とは別に、独自のRNAによる遺伝情報を持っています。共生する前に、どのような生物であったかは議論が多く、まだよくわかっていません。これらが細胞内共生のためにやや特殊化していることも起源を探る上で困難のひとつです。
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【共生の起源】
共生の起源 共生関係は、自然界ではそれほど珍しいことではありません。造礁サンゴのポリプには、褐虫藻が共生しています。おそらく、真核生物の誕生の前にも試行錯誤の共生関係の歴史があったのではないか、と想像されます。その中で成功したものが現在につながる真核生物の祖先であり。当然共生関係の失敗も多かっただろうと想像されます。そのような試行錯誤の歴史こそ、進化の姿だと言えるのかもしれません。
 そのような視点からは、進化とは、なんらかの目的があって、その方向に進化していくことではなく、試行錯誤の繰り返しのなかから、新たな姿を生み出していくことと考えられます。
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萩谷宏(アドバイザー)


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