引き裂かれる大地 用語集

【金鉱山】
 ここで紹介した金鉱は、南アフリカのウィットウォータースラント地域という、約100年にわたって世界最大の産出量を誇った、金鉱床地域の中にあります。ここには約27億年前の地層が広く分布していますが、その中に金を含む石英質のレキ岩(含金レキ岩)の地層があり、その層を地下で採掘しています。堆積性の鉱床なので、同じ地層を掘っていくと、広い範囲で金が採れることになります。開発されたのは約120年前なので、地上部分はほぼ掘り尽くし、現在は地下での採掘が中心になっています。深く掘るとコストは高くつきますが、金の単価が高いことでそれを可能にしているのです。
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【地下の温度】
 地下約3600mで52度という温度は、地球の他の地域と比較すると、じつはかなり低い値です。もし日本であれば、ほとんどの場所で100度を越えることでしょう。火山・温泉地域であれば、もっと高くなります。

 南アフリカのこの地域は、世界で最も地温勾配の低い地域なのです。温度の低い傾向は、地震波の観測データなどからは、地殻(0〜35km)の下、マントルの100kmよりも深いところまで続いています。この近傍の地域にダイヤモンド鉱山が多いのもそれと関係があります。もし地下が現在よりわずかでも高温であれば、ダイヤモンドは安定でなくなり、石墨になってしまうのです。
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【アイスランド】
アイスランド アイスランドは大西洋中央海嶺が海面上に顔を出したところ、とも言われます。ホットスポットが海嶺に重なっていて、ここだけ地殻が厚いために高度が高く、大地が引き裂かれる様子を陸上で見ることができます。そこでの噴火の形態や地形は、海底の海嶺軸付近の様子を想像するのに良い材料となります。
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【火山】
 火山とは、地下深くから上昇してくるマグマの、地表での出口です。生産されたマグマがすべて噴火というかたちで地表に到達するわけではなく、大半が地下でそのまま固まってしまいます。むしろ、地表に出てくるマグマは全体のうちのごくわずか部分なのです。例えば、伊豆半島沖でここ数年、しばしば火山性地震や微動が観測されますが、噴火に至ったのは1989年だけです。あとは途中でマグマが上昇をやめてしまったようですね。また、地表に深成岩と呼ばれる岩石が広く見られることも証拠です。これらは地表ではなく地下でゆっくり冷えてできた、特有の組織を持つ岩石(=深成岩)ですから。
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【割れ目噴火】
割れ目噴火 地表付近の応力場が引っ張りの場では、火山の噴火口が1点ではなく、連続的に連なるかたちを取ることがあります。まさに大地が引き裂かれるようにマグマが噴出するわけですが、このような噴火形式を割れ目噴火といいます。これは特別な噴火のかたちではなく、玄武岩の火山では多く見られます。日本でも、1983年の三宅島、 1986年の伊豆大島の噴火で見られました。
 このように引っ張りの力が働く場所では、引き裂かれた割れ目の部分で段々に大地が落ち込む、正断層の構造が見られます。
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【ブラックスモーカー】
ブラックスモーカー 煙突のようなかたちをした岩は、熱水噴出口のあとです。
 海嶺軸付近では、高温のマントル物質が浅いところまで来ている関係で、地温勾配が大きく、非常に多量の熱が供給されています。マグマの生産と海洋地殻の形成もそうですが、同様にその熱を冷ますはたらきをしているのが、ここで紹介した熱水系です。
 熱水系では海底の冷たい水が岩石の隙間を通って内部に入り、暖められて、また海底に噴出してくるプロセスが継続します。その間に水は高温になり、同時に岩石中の各種のイオンを溶け込ませて、熱と共に海底に運び出します。その海底面での熱水の出口が、ブラックスモーカーやチムニー(煙突)と呼ばれるものとなって現れます。

 ここで重要な点は、
  1. 高温の水は反応性が高く、岩石から各種金属イオンを大量に溶け込ませて出てくることができる。
  2. 深い海底では、数百気圧の圧力がかかっていて、300度以上の温度でも水が沸騰しない。したがって高温で重金属濃度の高い熱水ができる。
  3. 噴出口周囲の海水は、もっとも密度の高い2度程度の低温なので、噴出口を出て海水に触れた熱水は急速に冷やされ、溶解度も低下し、大量の沈殿物をつくる。それがスモーカーとなる。
 ということです。
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【枕状溶岩】
 枕状溶岩の映像を省略しています。ごろごろしたチューブ状の枕状溶岩が海嶺軸のところで見られて、これは海底で溶岩が流れた証拠だという説明なのですが、 第5回のVTR・アイスランドでの枕状溶岩形成の映像でこれを扱います。
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【海底の大山脈=海嶺】
 地球を取り巻くように分布する海底の大山脈が海嶺系です。太平洋では東太平洋海膨といって、カリフォルニア湾からガラパゴスの西、南米の沖、南極海を通ってインド洋へとつながっています。インド洋では南極大陸とユーラシア大陸、アフリカ大陸、インドの間、そして紅海、東アフリカの大地溝帯へと延び、一部はぐるっとアフリカ大陸を回って、大西洋中央海嶺へとつながっています。さらに、大西洋北部ではグリーンランドの両側に伸びて、北極海へも伸びています。

 ちょうど、地球を野球のボールに例えると、その縫い目のように取り巻いているのが海嶺です。そしてそこは、あらたな海洋地殻(海洋プレート)が生み出され、両側にゆっくりと拡がっていく場所なのです。同時に、海嶺はマグマや熱水を通じて、あるいは熱伝導により、地球内部の熱を大量に放出する場所でもあります。
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【地球の熱源】
 地球の内部が高温である、その熱の源は、主に3つの要素が考えられています。地球を形成したときに、材料となる微惑星が集積する際に放出する重力エネルギー。金属核の分離に伴って放出される重力エネルギー、そして、放射性物質の壊変で放出されるエネルギーです。このうち前の2つは地球形成の時に集中して放出されますが、放射性物質の壊変のエネルギーは、時間が経つほど減りますが、地球史を通じて継続して放出されます。

 現在、地殻やマントルにある放射性物質の中で重要なのは、ウラン、トリウム、カリウムなどの同位体です。これらは半減期が数億年から数十億年以上と非常に長いので、地球の誕生から消滅の時間スケールでは、完全になくなるということはありません。

 ただし、だんだんと地球内部は冷える傾向にある、と多くの研究者は考えています。このような岩石惑星のたどるプロセスは、地球よりサイズの小さい天体(月、小惑星など)の歴史を岩石から読み解くことで、よくわかってきました。
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【紅海】
 紅海が開き始めたのは、アデン湾付近での地形・地質の解析では、およそ1000万年前頃のことと考えられています。現在も拡大は続いていて、紅海の下には大陸地殻がなくなり、海洋地殻が出現しています。将来は大きな海洋に成長すると考えられます。
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【大陸の割れ方】
 大陸が割れる事件は、マントルの深いところから高温のマントル物質が盛り上がってくることが直接の原因です。そのような上昇流を、マントルプリュームとか、ホットプリュームと呼びます。このような現象は1980年代後半からよくわかってきました。そういう場所が2ヶ所以上並んで、割れ口がつながることで大陸が割れるのです。
 ホットプリュームが地表部分に突き当たると、その部分が全体として上昇し、3方向にひびが入ります。平面なら2方向に割れればいいのですが、地球表面は曲面ですので3方向に割れます。これは、ミカンの皮を内側から指で突き抜いてみると、3方向に破れるのがよくわかります。
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【フェイルドリフト】
 一般に、その3方向のうち2方向の割れ目が発達して、大陸を分ける境界(=プレート境界)になります。最終的には海嶺になります。残りの1方向はフェイルドリフトと言って、途中で発達をやめてしまい、へこんだ部分に厚く地層がたまるだけになります。
 しかし、このフェイルドリフトの部分は、急速に厚い地層がたまることで、例えば石油の形成に大きな関係があります。現在の油田地帯は、パンゲアをはじめとする中生代以降の大陸分裂にともなう、フェイルドリフトに形成されたものが大半です。北海やメキシコ湾岸、ベネズエラ、アラビア湾、インドネシア、アラスカなど。そういう目で見ても、大陸移動の図はとても面白く読むことができます。
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【トラバーチン】
トラバーチン トラバーチンは、化学的沈殿物としてできた石灰岩をさします。ここで紹介しているものは、海底で観察した熱水性堆積物の地上版といってよいものです。高温の温泉水が運んできた物質を、地表の出口で沈殿させ、それが積み重なってできた構造物です。
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【リフト帯の火山活動】
 リフト帯では、主に玄武岩の火山が見られます。しかし、アルカリ岩と呼ばれる、カリウムやナトリウムの多い、特殊な組成の火山岩が見られることも特徴です。また、浅いところまで高温のマントル物質が上昇しているため、地殻の下部が部分融解して、流紋岩質の火山活動がみられる場合もあります。
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【ナトロン湖】
ナトロン湖 湖水にソーダ(炭酸ナトリウム)の成分が多く含まれ、それが沈澱することで、美しく複雑な模様が生まれています。色の原因はここで繁殖するバクテリアによるものとされています。ナトリウムの多い湖水は、アルカリ火山岩の存在と関係があると思われます。
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【パンゲア】
 約2.5億年前(古生代ペルム紀)頃には、すべての大陸が一ヶ所に集まって、パンゲアと呼ばれる超大陸を形成していました。その後、北米とヨーロッパは離れて、南側に残ったゴンドワナ大陸との間にテチス海という海洋が存在していたと考えられています。やがて、1.5億年ほど前からゴンドワナ大陸も分裂をはじめ、南米、アフリカ、インド、オーストラリア、南極、マダガスカルなどに分かれていきました。
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【大地溝帯】
大地溝帯 アフリカ大地溝帯は、東アフリカを南北に縦断する巨大な谷の構造です。ここでは地震活動や火山活動を伴いながら、少しずつ地殻が割れて、広げられていると考えられています。大規模な断崖が連続しますが、これは地殻の伸張によってできた正断層の構造の一部です。アフリカ大地溝帯の幅は50-100kmにもなり、その谷の間には、点々と火山が分布します。その姿は、海嶺の中軸谷の構造と、規模や地形の点で非常によく似ています。
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萩谷宏(アドバイザー)


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