| 深層海流二千年の大航海
解説 |
地球は太陽からの熱を受けていますが、その熱の供給は赤道地方と極地方で大きな差があります。その差を埋めるように、大気の流れや海流、そして水蒸気のもつ潜熱という3つのかたちで、暖かい赤道地方から冷たい極地方へ熱が運ばれています。
表層の海流は熱を運ぶ役割の点で、大気の流れと共に重要なはたらきをしています。海沿いの地方が冬は温暖で、夏は涼しいのも、海流によって運ばれる海水の保温効果のおかげです。
近年、深さ数千m〜1万mもの深海に、ごくごくゆっくりとした海水の流れがあることがわかってきました。その流れは、場所ごとに決まった方向を持ち、約2000年で海洋を一周する循環をつくっています。この深層水は北大西洋で作られ、その循環が気候の安定化に重要な役割を果たしていることがわかってきました。
過去の気候を知る重要な手がかりが、グリーンランドの氷床を打ち抜いた、ボーリングコアの試料から得られています。そこには氷期の激しい気候変動や、ヤンガードライアス期と呼ばれる約13000年前の寒冷期の記録が閉じこめられていました。
融解し、縮小する大陸氷床が残した大量の淡水が、密度が低いために北大西洋の深層への沈み込み口を覆い、そのために深層循環が停止し、北米やヨーロッパでは氷期に逆戻りしたような気候を一時的に経験したと考えられています。
最終氷期が終わってから、過去約1万年の間、全体として地球は温暖な環境を維持してきました。深層海流の流れは、安定した気候条件を維持するために、きわめて重要な役割を果たしていたのです。 |
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