進化の不思議な大爆発  解説
 険しい氷河地形を示す、カナディアンロッキー山脈の山中に、世界的に有名な化石の産地があります。バージェス頁岩層と呼ばれるその地層は、およそ5億2000万年前・カンブリア紀中期の海に堆積した地層です。ここから、それまでまったく知られていなかった、奇妙な姿を持つ化石が次々と発見され、それらはバージェス化石動物群として知られています。

 バージェス頁岩の化石の特徴は、様々な環境に住んでいた生物の化石が、軟体部を含めて、非常に保存の良い形で記録されているところにあります。それらの化石の中には、現在生きている生物のどれとも似ていない、不思議な特徴を持つ生物の化石が数多く見られます。

 カンブリア紀という時代は、海中に三葉虫をはじめとする殻(外骨格)を持つ生物が現れた、その直後の時期にあたります。この時代には、生物はキチン(タンパク質)やリン酸カルシウムなどでできた固い組織をもつことが可能になりました。そのような硬組織は防御と攻撃の両方に役に立ち、生存競争の中で様々な身体のかたちができたのだと考えられています。

 バージェスの化石生物の中には、現生生物を見慣れた我々の常識を越えるようなものがたくさんあります。目が5つあり、ゾウのような触手を持つオパビニア、とげをたくさん生やしたウィワクシア、前後や上下の区別がつかないハルキゲニア、そして三葉虫を捕食した大型の節足動物・アノマロカリス。エビと魚が合体したようなカナダスピス。それらの奇妙な生物がカンブリア紀の海に生息していました。

 バージェス動物群の生物たちは、世界各地の、ほぼ同じ時代の地層から見つかっています。しかし、ごくわずかを除いて、その多くは次の時代には姿を消していきました。さまざまな形態が試された、進化の実験室の時代をいきのびた、ごくわずかの生物たちの中に、我々を含む脊椎(せきつい)動物の祖先と考えられる動物がいました。外骨格の代わりに脊索(せきさく)という固い棒を体内にもつようになった生物・ピカイア。かれらの持つ脊索が脊椎へと変化したものが、原始的な魚類となり、そして陸上脊椎動物へと発展の道をたどったのです。


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