「特別の教科 道徳」スタート!

教科書の使用開始!道徳番組は、授業に使っていいの?

永田繁雄 東京学芸大学教授、中央教育審議会 教育課程部会 道徳教育専門部会委員

永田繁雄
東京学芸大学教授、中央教育審議会
教育課程部会 道徳教育専門部会委員

すべての道徳番組の委員を務める永田繁雄先生にがんこちゃんが突撃インタビュー!

Q1

永田先生! 道徳の授業で大きく変わったところを、分かりやすく教えてください!

永田先生! 道徳の授業で大きく変わったところを、分かりやすく教えてください!

今までの「道徳の時間」が、新しく「特別の教科」としての「道徳科」に変わりました。
初めて道徳の教科書が作られて、配られたのも、教科になったからです。授業も、「考え、議論する道徳」という合い言葉によって、今まで以上に積極的に意見を出し合うやり方が大切になっていきます。

Q2

これからは、「教科書」が主な教材になるの?

これからは、「教科書」が主な教材になるの?

そうです。教科書は「主たる教材」と決められています。
だから、それを中心に用いていくことになります。

Q3

教科書以外の教材は、使っちゃいけないんですか?

教科書以外の教材は、使っちゃいけないんですか?

いや、そんなことはありません。むしろ、その逆です。学習指導要領にも、多様な教材の活用に努めること、とはっきりと書いてあります。それぞれの学校で、子どもたちの様子も違います。だから、それに合ったお話も使いたいですね。NHKの道徳番組には、今、みんなで考えてみたいさまざまなお話が、読み物ではなく映像になっているので、それらも生かすことで道徳の勉強に変化やアクセントが生まれます。きっと、教科書のときとはまた違う子どもたちの姿が見られると思います。

Q4

道徳番組を、年間指導計画にどのように組み込んだらいいんですか?

道徳番組を、年間指導計画にどのように組み込んだらいいんですか?

まず、それぞれの学校で、教科書以外の教材をどのように入れていくかの約束を決めて、それに合わせて各学年で使いたいお話の回を組み込んでいくといいですね。学校で重点としたい内容は、教科書の重点とは必ずしも同じではないので、学校で重点を置く内容のお話を入れることもポイントです。そして、自分たちの学校は「これだ!」というカラーのはっきりした計画にすると、道徳の授業がますます充実していくでしょう。

ダウンロード(PDF)

道徳教科化にあたり、多様な教材を授業にどう位置づけるか

西野真由美 文部科学省 国立教育政策研究所 教育課程研究センター 統括研究官

西野真由美
文部科学省 国立教育政策研究所
教育課程研究センター 統括研究官

「特別の教科 道徳」(「道徳科」)が、平成30年度から小学校で、平成31年度から中学校で全面実施されます。新しい「道徳」の始まりです。

 子どもたちは教科書を手に学びます。これまで道徳教材が十分に行き渡らなかった学校で充実した教材を確保できることは大きな前進でしょう。でも、今までさまざまな教材を活用してきた先生方にとっては、教材が固定化してしまうのではといった不安の方が大きいかもしれません。

 教科書は道徳科の主たる教材となりますが、教科書以外の教材が活用できなくなるわけではありません。
 これまでも道徳の時間では、多様な教材の開発や活用が期待されてきました。この方向は、道徳科にも継承されます。道徳科の学習指導要領には、「多様な教材の活用に努めること」と明示され、「学習指導要領解説」では、読み物教材のほか、映像ソフト、映像メディアなどを利用した教材など、多彩な教材が具体的に例示されています。

 NHK for Schoolの道徳番組には、子どもたちが問題を自分事として考えたり、よりよい解決に向けて話し合ったり、人生の困難をどう乗り越えるかに向き合ったりと、多様な学習活動に応える工夫があります。それらを活用することで道徳授業の可能性が広がります。

 例えば、教科書で学習した価値の理解を基に、映像教材で道徳的問題を考え、議論する。現代的課題について映像教材で関心を広げ、教科書で学習を深める。また、子どもたちの実態にふさわしい教材は積極的に年間指導計画に位置づけるとよいでしょう。
 映像教材の魅力を存分に引き出して、「考え、議論する」道徳の授業を実現しましょう。

ダウンロード(PDF)

学校は「道徳科」で、番組をどう位置づける?

学校は「道徳科」で、番組をどう位置づける?

安井政樹 北海道札幌市立新琴似北小学校 教諭(道徳教育推進教師)

安井政樹
北海道札幌市立新琴似北小学校 教諭
(道徳教育推進教師)

 道徳科の授業で、「番組を活用しにくくなるなあ…。」と心配されている先生はいませんか?
 私の学校では、これまで道徳の学習においてNHK for Schoolを継続して活用してきました。そして、この春からも継続して活用することにしています。その理由は「多くの子どもにとって分かりやすい」「葛藤場面が意識しやすい」「心情理解に時間を取られずにみんなで話し合える」などさまざまなメリットがあるためです。また、指導案やワークシート、場面絵などの指導資料が充実していることも活用したい理由の一つです。道徳科で求められる「対話的で深く学ぶ道徳」という点でも有効であると感じています。

 そこで、児童の実態に応じた「本校らしい年間指導計画」を、関係する先生たちと話し合って作成し、NHK for Schoolと教科書の教材をうまく組み合わせ、平成30年4月からの指導に活かすことにしました。今回は、実際にどのように計画作りをしたのかをご紹介します。

1学校の重点項目を確認

1学校の重点項目を確認

 各学校で作成している「道徳教育全体計画」を確認します。本校では、校長の経営方針を受け「自分も友達も大切にできる子」というテーマの下、「全学年共通の重点内容項目」として「生命の尊さ」「親切、思いやり」の2項目が設定されています。

2児童の実態に応じた学年の重点項目

2児童の実態に応じた学年の重点項目

 学校によっては、前年のうちに学年の重点が決まっている場合もあると思います。また、4月に担任が決まってから重点を設定したり変更したりする場合もあるでしょう。本校の場合は、各学年で2つの内容項目を重点指導することにしています。例えば、2年生では「規則の尊重」「節度、節制」が重点に設定されています。
例【2年生の重点項目】
<全学年共通>「生命の尊さ」「親切、思いやり」 <2年重点>「規則の尊重」「節度、節制」

3重点に基づいて、教材を検討する

3重点に基づいて、教材を検討する

重点や児童の実態から教材を選定 表1 : 教材検討シート

 学校として、また、担任として、児童の実態に応じて重点を意識した指導をするためには、教材の吟味が必要不可欠です。そのため、まず、教材検討シート(表1)を用いて、学習指導要領に示された内容項目ごとに教科書の教材数を確認し、重点を置いた内容項目については教材数を増やしました。

 例えば、「生命の尊さ」については、4教材(4時間扱い)となりました。学年の重点により、教科書の教材だけでは不足する内容項目の教材として、番組を取り入れることにしました。
 また、地域性や児童の実態などから番組の方がねらいを達成しやすいと判断した場合にも、教材を入れ替えました。

4教材配列(指導時期)を工夫する

4教材配列(指導時期)を工夫する

番組を教材の一つとして位置づける 表2 : 主題配列表

 道徳教育全体計画別葉を基に、各教科や行事などとの関連を図って、指導ができるように教材を配列して指導時期を検討し、主題配列(教材配列)を決めました(表2)。それを基に、年間指導計画としてまとめました。

 このように、児童の実態や学校の重点に合わせて教材を組み合わせ、年間指導計画に多様な教材を位置づけることで、より充実した道徳科の指導が展開できると思います。
 番組活用を取り入れた道徳科、一年間の実践が楽しみです。

ダウンロード(PDF)