第11弾

車いすバスケットボール × DEAR BOYS

中村 凛 役・飯豊まりえさんインタビュー

“みんながパラスポーツを楽しめる時代になるといいですね”

まず、収録を終えた感想をお聞かせください。

飯豊 すごく楽しかったです。以前、障害者の方たちが働き、生活する「太陽の家」という施設を訪問したことがあって。そこで、実際に車いすバスケットボールを体験させていただいたんです。だから、今回の作品にはとても思い入れがありました。いつかパラアスリートの役をやってみたいと思っていたので、この役をいただけて本当にうれしかったです。

実際に車いすバスケットボールを体験されて、いかがでしたか。

飯豊 下半身が使えず、腕の力だけでボールを持ち上げるのが大変でしたね。競技用の車いすは、進みたい方向に進むのも、うまく回るのも難しくて……。こぐのも一苦労でした。一般のバスケットボールとは頭と筋力の使い方が全然違うので、普通にやるより何倍も大変だと思います。結局、50本くらいシュートを打ったんですけど、1回もゴールに入らなかったんですよ。でも、車いすバスケットボールをやっているチームのみなさんが「惜しい、あとちょっとだ!」って、ずっと背中を押してくれて。そのエネルギーが本当に明るくて。今までやったバスケットボールの中で、一番楽しかったです。

パラアスリートのみなさんからパワーをもらえたんですね。

飯豊 はい。何事も諦めない精神や、自分のできないことではなく、できることに目を向けていこうという姿勢を感じて、すごく刺激を受けました。私よりも本当に強くて、生き生きしていて、ポジティブで。一緒にいて「自分、何やってるんだろう」って思ったんですよね。ふだん、いろんなことに対して「これできないなぁ」「もっとこうしたらよかったなぁ」と思うことが多いんですが、そんなふうに考えていてはダメだと気付かされました。だから、このアニメを見て、健常者の方も障害者の方もみんな背中を押されるんじゃないかなって思います。

アニメの台本を読んだときの印象を教えてください。

飯豊 私が体験したときに感じたことがそのまま描かれていて、すごくリアルだと思いました。主人公の森ぞー(CV:杉野遥亮)は、車いすバスケットボール部のみんなに出会って気持ちに変化が起きる。それが私自身の経験とも重なって、とても共感しました。

実際には森ぞーの立場だった飯豊さんですが、今回はパラアスリート・中村凛役。演じる上で、どんなことを意識されましたか。

飯豊 実際に自分が経験して抱いたパラアスリートの方へのリスペクトを、凛のセリフに乗せながらできたらいいなと思いました。選手のみなさんも、最初はうまくいかず、落ち込むこともあったと思うんです。でも、凛のように努力を積み重ねたからこそたどり着いた“明るさ”がある。それを声だけで表現するのは難しい部分もありましたが、いい経験になりました。特に「私だってできるようになりたい」という凛のセリフが印象的で、凛の挑戦し続ける力強さを伝えられるよう、心を込めて演じました。

ラストで凛と森ぞーがハイタッチするシーンでは、セリフをアドリブで加えていただきました。どんな思いから出た言葉だったのでしょうか。

飯豊 凛は、“ティルティング”という難しい技をずっと練習してきて、それをついに成功させる。その「やっとできた!」という思いから自然と言葉が出ました。なんだか思いが込み上げてきて、まだお芝居を続けたくなったんです。森ぞーからのパスで技が決まりましたし、お互いに一つ壁を越えられたという最高な瞬間だったので。ラストシーンでは、障害者と健常者の垣根を越えて、パラスポーツを一緒にできた喜びを表現したいと思いました。

パラスポーツをアニメで伝える、この「アニ×パラ」についてはどう思われますか。

飯豊 パラスポーツって、実際にやったことがない人が多いと思うんです。だから、このアニメを見て「私もやってみたいな」「一緒にスポーツしたいな」と思ってもらえるとうれしいです。やってみると、本当に面白いので。障害者も健常者も関係なくパラスポーツをやる人が増えて、それが当たり前の日常になっていく。そんな“みんながパラスポーツを楽しめる時代”になったらいいですね。

最後に、視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

飯豊 パラスポーツは、人間の可能性を高めてくれるものだと思います。パラアスリートの方たちのエネルギッシュな姿勢を見ていると、本当に「自分も頑張ろう」って気持ちになれるんです。私もこの作品をとおして、すごく勇気をもらいましたし、もっと自分に可能性があるんじゃないかなって思えました。ぜひ、このアニメを見て、みなさんにもそんな心が揺れる感覚を味わっていただけたらうれしいです。

本日はありがとうございました。