第5弾

ちばてつや × 車いすラグビー

テーマ曲・MONGOL800インタビュー

“月のように、ささやかなエネルギーを渡したい”

「アニ×パラ」第5弾、「ちばてつや×車いすラグビー」のテーマ曲をオファーされて、どんなことを思いましたか?

上江洌 まずは、率直にうれしかったです。ちばてつや先生の絵にモンパチの歌が乗ると聞き、いい意味でイメージが湧かなくて楽しみでした。

髙里 僕は昔からちば先生のファンなので感激でした。「あしたのジョー」はもちろん、剣道の経験があるから「おれは鉄兵」も好きだし、ゴルフをやっているから「あした天気になあれ」も好き。どの作品も、「もうだめだ……」という状況からはい上がる主人公の姿にワクワクするんですよね。読んで力をもらっています。

今回のテーマ曲は、MONGOL800としてちょうど制作中だった新曲の中から選定、提供していただいたようですね。

上江洌 はい。僕としては、お題ありきで作ると「寄せた」感じが出てしまう場合があると思うので、結果的にいい形だったなと思っています。「Light」は、歌詞の細かいワード単位で、今回のアニメに不思議とハマっていたんです。

「Light」はもともと、どんなイメージで作詞・作曲したのですか。

上江洌 かすかな月明かりに、明日への希望を投影するような感じでしょうか。太陽は常にエネルギーをくれるけど、僕は、ささやかに助けてくれる月が好きなんです。暗い中を歩くとき、月はずっとついて来て、道を優しく照らしてくれる。少し離れて振り返っても、ずっと同じ場所にいてくれますよね。

月のように、人に寄り添う曲を目指したんですね。

上江洌 太陽のような光がほしい人もいるだろうけど、「そっとしておいてくれ」と思う人に対して、寄り添いたかったというか。寝る前にいろんなことを考えてしまう中で「明日も頑張ろう」と思えるような、ささやかなエネルギーを渡したいなと思いました。車いすラグビーの選手のみなさんには、一生懸命に試合をやりきった夜なんかに聴いてもらえたらうれしいですね。試合の応援歌である以上に、日常の時間も含めた選手の方々への応援歌を目指しました。

テーマ曲版の撮影では、実際の選手たちと車いすラグビーを体験したそうですが、いかがでしたか。

儀間 とても充実した時間でした。車いすラグビーは「Murder Ball」(殺人球技)とも呼ばれているそうですが、本当にその通り。シートベルトをしているのに、タックルを受けた衝撃で体が浮きました(笑)。

髙里 手加減してもらったタックルでも、車いすがひっくり返りそうでしたね。ボールを持っていると、「狙われる!」って怖くなります(笑)。スリルがあって、観戦するのもおもしろいはず。

上江洌 実際の試合では、タックルを受けてパンクするのも当たり前みたいですからね。観ているだけで、すごく熱くなると思います。

自分で競技用の車いすを操ってみたご感想は。

上江洌 武井壮さんが車いすラグビーを体験している動画で密かにイメージトレーニングしてから臨んだんですが、ものの5分で汗だくでした(笑)。ものすごくハードですね。

髙里 車いすで前に進むだけでも腕がパンパン……ドラムよりも腕を使いました。でも、意外に小回りが効いて、操作自体はしやすい気がしました。

上江洌 だから選手たちは、軽々とフェイントで抜き去ったり、素早くタックルのガードに入ったりできるんですよね。展開がスピーディーで、戦略的なチームプレーが求められるスポーツなんだと思いました。車いすラグビー……今回に限らずまた練習したいです(笑)。

儀間 「こんなスポーツがあるよ」って広めたくなりましたね。車いすに乗ってラグビーをするすごみというか、信念がぶつかり合うような空気感も感じられるので、ぜひ生で見てほしいです。

確かに、健常者のラグビーと同じとも言えるし、それ以上のものも感じますね。

上江洌 儀間が言ったように、選手たちからにじみ出るものがありますね。その点では、今回の曲の「わだちを避けていけ」という歌詞がハマったかな。車いすラグビーの選手たちは、ほかの人が通った跡ではなく、一人ひとりが自分の道を進んでいる感じがするんです。「Light」は、ちば先生のアニメと車いすラグビーの選手たちから深みをもらえた気がします。

本日は、ありがとうございました。