2017年06月02日 (金)学校の先生 やはり忙しい


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 小中学校の先生の勤務実態について、文部科学省が10年ぶりに行った調査結果がまとまり、前回に比べて勤務時間が大幅に増えていることがわかりました。

■ 調査の結果は

 10年前の前回と比べて、小学校の場合、勤務時間が平日で43分、土日で49分増えています。土日については、時間数にして、前回の3.7倍にまで増えています。また、中学校の場合は、平日で32分、土日は1時間49分と大幅に増えています。土日については、こちらも時間数が2.2倍に増えています。今回の調査で、学校の先生の多忙化に一層拍車がかかっていることが裏づけられた格好です。
 この調査は学校の先生の長時間勤務が社会問題になっている中で、実態を調べるために文部科学省が10年ぶりに行ったものです。全国の小学校400校と中学校400校を対象に行い、合わせて796校およそ2万人から回答を得ました。今回は、去年(2016年)10月から11月にかけての7日間の勤務実態についてまとめたものです。

■ どれぐらい忙しいのかというと

 1週間の勤務時間数を厚生労働省が示している「過労死ライン」と比較してみると、そのラインを超えている先生が、小学校で33.5%、中学校で57.6%にのぼっています。この「過労死ライン」は、1か月でおおむね100時間を超えるか、2か月から6か月間の1か月の平均がおおむね80時間を超えた場合を言います。この調査に当てはめてみますと、週20時間以上の残業をした先生が、この先も同じペースで働き続けた場合、過労死ラインを超えることになります。そうでなくても、1週間の時点で、すでに40時間を超えた先生は、中学校では、8.5%とおよそ12人に1人の割合にのぼっていて、本来の勤務時間の2倍以上という働き過ぎの状態になっています。

■ どうして忙しいの?

 今回の調査では、業務内容ごとの増減を調べています。平日は、小中学校とも授業と授業の準備にかける時間が最も増えていて、小学校では35分増えています。これは、前回の調査の後、学力低下の批判にこたえるためとして、学習指導要領が改訂され、理科と算数・数学を中心に2009(平成21)年から授業時間数が増やされたことが影響しているとみられます。一方で、生徒指導にかける時間が小学校で平均16分、中学校で8分短くなっているのが気になります。事務的な作業の時間は減っていませんので、授業と事務的な作業に追われて、授業以外で子どもたちと向き合う時間が少なくなってきていることを示しています。

■ さらに、土日になると

 中学校の先生は部活動の指導に追われることになります。土日の部活動だけをみても、2倍以上に増えています。今回の調査では、部活動の活動日数ごとに先生の忙しさを比較していますが、1週間休みなく活動をしている部活の先生ほど、平日も土日も関係なく長時間勤務になっていることがわかりました。また、土日の部活動にかかわる時間は、運動部の中でも、バレーボール部(平均3時間17分)、野球部(3時間13分)、サッカー部(3時間6分)の順に長くなっていて、部によって差があることがわかりました。文化系では吹奏楽部(2時間24分)が突出して多く、運動部並みに長いことがわかりました。背景には、勝ち負けにこだわるあまり、練習時間の長時間化が進んでいることがあるのではないかと指摘されています。

■ こうしたしわ寄せは

 とりわけ若い先生に及んでいて、年代別にみると若い世代ほど長時間勤務になっています。30歳以下の男性の中学校の先生に限ってみると、土日の勤務時間の平均が4時間40分と全体平均の3時間22分を大幅に上回っています。女性の30歳以下の先生も3時間51分ですから、立場の弱い若い先生ほど、時間数のうえで多く働いていることがわかります。
 一方小学校の先生は、土日は部活指導がない代わりに、授業と授業準備の時間が17分、学校行事の時間が8分増えています。学校によっては、土曜日に授業を組んだり、平日の学校行事を減らした分を土日に回したりしていることが影響しているのではないかとみられます。

■ 今後に向けて

 改めて、先生の働き方改革が必要です。3年後の2020年には小学校で英語の授業が始まる影響で、授業時間数が増えることが決まっていて、それに伴って先生の仕事量が増えることになります。現在は先生の勤務時間について明確な歯止めがないことから、今回の調査を受けて、現場の先生の間で、働き過ぎにならないように勤務時間の上限規制を設けるべきだという署名活動が行われています。また、過熱化する部活動に対しては、文部科学省が生徒の健康面にも問題があるとして、各地の教育委員会に対して、今年の1月に部活動に土日の休養日を設けるように通知を出して対応に乗り出しています。
 国会では大学の無償化が熱く語られるようになっていますが、先生を過労死寸前のまま放ってよいわけはありません。先生の働き方改革に急いで取り組むべきです。だれも疲れ切った先生に子どもを預けたいとは思わないからです。

 

hayakawa.jpg 早川信夫(はやかわのぶお) 

1953年福島県生まれ。教育・文化担当の解説委員。

臨時教育審議会以来、20数年にわたり教育一筋に取材を担当。解説番組 時論公論 や おはよう日本「ここに注目!」、「暮らし◇(きらり)解説」などの番組で、教育問題のエキスパートとして活躍中。関西地方向けの番組 学校再発見バラエティーあほやねん すきやねん にも出演、“のぶにぃ”の愛称で若者に人気上昇中。

投稿者:解説委員 | 投稿時間:11:00

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