2009年09月21日 (月)新型インフルエンザに備える
2学期に入り、新型インフルエンザの感染が広がりつつあります。どういった備えが必要なのでしょうか。今回は、再びこの問題を取り上げたいと思います。
■夏休み中にも感染が相次いだのは?
厚生労働省などによりますと、部活動やキャンプなどでの感染が目立ったということです。宿泊を伴う合宿や部活動などふだんより大勢で一緒にいる時間が長かったことが感染につながったのではないかとみられています。学校が感染の危険性が高いと注意を呼びかけているにもかかわらず、運動部ではペットボトルの回し飲みをしたりする子どもたちがまだまだ多いようです。心当たりがあるという子が案外多いかもしれません。
■2学期は…
「1学期とは違う緊張がある」という声が学校現場から聞かれます。というのは、文化の秋、スポーツの秋、収穫の秋といわれるように、子ども同士、あるいは外部の人と一緒に過ごす機会が増える文化祭、体育祭などの学校行事や野外活動が目白押しだからです。加えて、修学旅行を秋に延ばした学校もあって、また流行と重なるとこれ以上の日程調整は難しいと困惑を隠せない学校もあります。
また、早いところでは大学入試がスタートしています。本番はまだ先とは言っても、秋には、推薦入試や自己推薦型のAO入試が行われます。大学ごとにインフルエンザにかかった受験生への追試や再試験などの対応を検討していますが、若者の将来の問題ですので、受験生に不利益がおきないように十分な配慮を求めたいと思います。
■国は現場にどういった対応を求めている?
個別ケースの対応は学校ごとの判断に任されています。感染防止策としては、3点求めています。まず、基本的な防止策の徹底です。以前から指導している「手洗い、うがい、咳エチケット」を改めて徹底すること。2つめは保健所と連携して必要に応じて学級閉鎖や臨時休校などの措置をとること。都道府県ごとに次第に基準や目安が整えられてきています。3つめは重症化しやすい病気がある子どもへの指導。たとえば、ぜん息や心疾患、糖尿病、腎臓病などがこれにあたります。まずは、学校ごとにどんな病気の子がどれぐらいいるのかを把握して、重症化するのを防ぐことが必要です。家庭や医療機関との連携が欠かせません。
■なぜ、手洗いかというと
仙台市の前の副市長で、危機管理担当だった医師の岩崎惠美子さんによりますと、鼻をかんだティッシュペーパーや、多くの人が触れるドアノブ、エレベーターのボタン、手すりなど身近なところでウイルスが手につきやすいからだということです。途上国での調査で、手洗いを指導した子どもたちは、そうでない子どもたちに比べ、咳と呼吸困難の症状が出る割合がはるかに低かったことがわかりました。手洗いを指導した子どもたちのうち抗菌石鹸を使ったか、ふつうの石鹸を使ったかでは、それほど大きな差はありませんでした。この調査から、どんな石鹸でもいいから、流水で手洗いをすること。これがインフルエンザ予防に効果的であることがわかるのではないか、と岩崎さんは言います。
■感染を広げないために大事なことは?
専門家が口をそろえるのは、早期発見、早期対応です。そのために、学校や家庭でできることでもっとも大切なのは、子どもひとりひとりの体調の確認です。保護者には、朝の忙しい時間に大変だとは思いますが、毎朝の検温を忘れずにお願いしたいと思います。子どもに咳や鼻水、ノドの痛み、いずれかの症状があって38度以上の熱があったら迷わず学校を休ませ、医者に診てもらうことが必要です。一方、登校後に体調が悪くなることも考えられますので、先生はそうした子どもの変化を見逃さないでほしいと思います。変化に気づいたら、速やかに医療機関で見てもらう必要があります。専門家によりますと、これだけ新型インフルエンザの感染が広がっていることを考えると、新型インフルエンザか季節性のインフルエンザかを見分けようとする前に、何はともあれ、新型インフルエンザにかかったことを疑い、医者に見立ててもらうことが大事だということです。また、子どもが学校を休むとなると、小さい子の場合は保護者の付き添いが必要になります。勤め先の理解が必要です。企業側の配慮を求めたいと思います。
■先生の体調管理も必要!
学校には、この点を忘れないでほしいと思います。先生も38度以上の熱が出たら学校を休む。無理をして学校に出ることでかえって先生が感染源になってしまうことだけは絶対に避けなければいけません。学級閉鎖になった学校で、先生が家庭訪問をしているケースがよくみられます。気持ちはわかりますが、休みの間の宿題や家庭生活での注意点などはあらかじめ伝えておくようにし、なるべく直接の接触を避ける工夫が必要です。
文部科学省では、新型インフルエンザへの学校での対応をまとめた指導資料を来年度予算でつくることにしています。しかし、そんな悠長なことを言っている場合ではありません。一刻も早い対応が必要です。
早川信夫(はやかわのぶお) 1953年福島県生まれ
教育・文化担当の解説委員。臨時教育審議会以来、20年にわたり教育一筋に取材を担当。解説番組「時論公論」やおはよう日本「おはようコラム」、スタジオパークからこんにちは「暮らしの中のニュース解説」などの番組で、教育問題のエキスパートとして活躍中。
投稿者:解説委員 | 投稿時間:15:00
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