2017年02月03日 (金)大学選びが難しい?


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 大学入試の季節を迎えていますが、今回は、今年の大学入試事情をみてみましょう。

■ 今年は3つの特徴が

 1つは、志願者の大都市圏への集中、2つめは、学部の変化で選択に迷う、3つめは、改革先取りで試験が多様化、この3つです。

■ 志願者が大都市圏に集中

 大学入試センター試験の出願者は2年ぶりに増えて、およそ57万6千人と、去年より1万2千人あまりの増加になりました。ただ、増えているのは、首都圏や近畿圏、東海圏に集中していて、東北や九州など17の県では逆に減っています。しかも地方の受験生の中にも、大都市圏の大学を希望する受験生が多く、大都市圏の大学により多くの志願者が集まると予想されています。さらに、大都市圏の中でも有力な大学を中心にキャンパスの都心回帰の動きが進んでいて、立地の良さが、就職に有利、アルバイトを見つけやすいと人気を呼んでいます。

■ 地方創生と逆の動きに

 政府は私立大学の水増し合格の厳格化を打ち出しましたが、効果は上がっていません。私立大学が定員を大幅に上回る入学者を出した場合、文部科学省はペナルティを課す方針を示しました。去年から段階的に厳しくして、来年以降さらに厳格にする方針です。定員を著しくオーバーして入学者を出したら、補助金は打ち切るという強硬手段に出たのです。水増し合格を出さなくなると実質的な倍率が上がって、受験生から敬遠されることになるはずでしたが、そうはなりませんでした。自衛策として定員そのものを増やす大学が相次いだからです。これにより、見かけ上大都市圏の大学の門が広がったようになり、かえってそれが受験生の誘い水になってしまったのです。

 

■ 学部の変化で選択に迷うとは?

 大人が受験した時代とは違って、今は学部の名称がバラエティー豊かになって、受験生からすると名前だけで判断しづらく、選択に迷うようになっているということです。国立大学の場合は、文部科学省が文系学部のあり方を見直すように迫ったこともあって、教育学部など文系学部の再編が進み、、例えば、地域貢献型の“創生学部”とか、“グローバル型の“グローバル文化学科”、あるいは情報系の“データサイエンス学部”など、名前を聞いただけではどんな内容の授業をするのかわかりにくい学部や学科が誕生しています。私立大学も、生き残りをかけて就職に直結しそうな健康系、看護系、グローバル系の、さまざまな名前の学部、学科を作る動きが加速しています。これまであったものをなくして新しく作るケースが多く、受験生からすると去年までの進路情報が役に立たないといったこともおきています。

■ 改革先取りで試験が多様化とは?

 大きく変わるのは、英語で英検などの外部資格試験の成績が活用されるようになったり、面接を取り入れる国公立大学が増えたりしていることです。これまで取り上げてきたように、文部科学省は3年後の2020年から、センター試験を衣替えした新しい入試に変えることを検討しています。そうした改革を先取りした動きです。
英語は、今はセンター試験で「読む」「書く」試験とリスニングだけですが、将来的には「聞く」こと「話す」ことも対象にした英検やTOEFLなど外部資格試験の成績を活用することに一本化することが検討されています。国公立大学の中には、今年から外部試験のスコアが一定以上あればセンター試験の英語の成績を満点とみなしたり、センター試験の点に加点したりする大学が出てきています。私立大学の中には、定員の一部について、外部試験を受けていることを受験の条件にする大学も出てきています。英語ができると有利なように見えますが、英語だけできても、ほかの教科の得点が問われますので、外部試験でいい成績だったから合格が約束されるわけではありません。
 一方、受験生に評価するためとして、面接を取り入れる大学も増えています。これまでも国公立の医学部では多くの大学が実施していますが、それが教育学部にも広がってきています。中には、面接の代わりにコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力をはかる大学もあります。先生という職業にはそうした力が必要だと考えられたからです。このように2020年の改革を前に特色のある入試に取り組む大学が相次いできているのが特徴です。

■ 受験生からすると

 大学選びが複雑でわかりにくいものになってきています。それだけに、自分が受けたい大学がどんな入試をするのか、十分に調べて受験に臨む必要があります。今年の受験生はすでに志望校を決めて試験に臨んでいることと思いますが、センター試験の成績次第では、最後まで志望校選びに迷うのではないかと思います。来年以降は、少子化で受験年齢にあたる18歳人口の減少が再び始まり、大学の門は多少広がるのではないかとみられていますが、今年と同様の傾向はしばらく続きそうです。いずれにしても、試験内容の変更は大学側の都合、大人の事情で行われることが多いので、受験生は、大学側の思惑に左右されずに、自分のやりたいことを見極めて大学選びをしてほしいと思います。

 

hayakawa.jpg 早川信夫(はやかわのぶお) 

1953年福島県生まれ。教育・文化担当の解説委員。

臨時教育審議会以来、20数年にわたり教育一筋に取材を担当。解説番組 時論公論 や おはよう日本「ここに注目!」、「暮らし◇(きらり)解説」などの番組で、教育問題のエキスパートとして活躍中。関西地方向けの番組 学校再発見バラエティーあほやねん すきやねん にも出演、“のぶにぃ”の愛称で若者に人気上昇中。

投稿者:解説委員 | 投稿時間:11:50

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