2011年02月17日 (木)道徳ドキュメント 授業リポート (2/10)


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道徳ドキュメント は、ドキュメントを通して現実の問題を考える番組です。2/10(木)、東京都板橋区立北前野小学校で、道徳ドキュメント「命の大切さを伝えて」を利用した授業が行われました。その様子をリポートします。

この授業は、6年1組と2組の合同で行われました。授業が始まると1組担任の円浄穂奈美先生は「これまで1年間『命の勉強』をしてきましたね。今日はその最後の学習として、この番組を見てもらいます」と言ってテレビをつけました。

【道徳ドキュメント「命の大切さを伝えて」あらすじ】

交通事故で19歳の息子、零さんを失った鈴木共子さんは、創作活動をしてその死と向き合い追悼展を開きました。すると、同じく子どもを不慮の事故などで失った人たちが声をかけてきてくれました。そこで鈴木さんは、遺族たちの手で開く「生命のメッセージ展」を企画。遺族が亡き人への思いを込めて作った116のオブジェを展示しました。オブジェ作りであらためてその死と向き合うのは遺族にとって、とてもつらい作業です。でもそれを越えたときに何かが見えてくると鈴木さんは語ります。
鈴木さん自身も、3度の受験を経て零さんが通うはずだった早稲田大学に合格しました。「息子に代わって生きてやりたい。だからわたし自身が輝いて生きなくては!」と決意したのです(下の写真は番組より)。

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★ 悲しみを乗り越えて見えたものとは?

子どもたちが番組を見ている間、先生たちはあらかじめカードに書いておいた番組のキーワードやキーシーンを、模造紙にはっていきました。

そして番組が終わると一人ひとりにワークシートを配りました。そこには次の質問が書いてありました。
〈①番組を見て思ったことや感想を書きましょう〉
〈②鈴木さんはなぜ早稲田大学を受験したのでしょうか〉
〈③あなたにとって"輝いて生きる"とはどんなことでしょうか〉

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子どもたちはまず①の欄に感想を書き、発表していきました。「不慮の事故などでこんなにたくさんの人が死んでいるんだとびっくりした」「死んだ人も家族もかわいそうだと思った」「どんな人もお父さんやお母さんにすごく愛されてると思った」「命の大切さを感じた」「大切な命を自分から落とすことなく、楽しく精いっぱい生きていきたい」・・・。

みんなの感想を聞いてから先生は「病気で治療して亡くなるのと違って、不慮の事故で突然亡くなったら、周りもその死をなかなか受け入れられないよね。じゃあ、そのやり場のない思いを鈴木さんはどうしたのかな?」と尋ねました。すると「創作活動をした」「亡くなった人のオブジェを飾る展覧会を企画した」という声がかえってきました。先生は「そうだね。でも、その子が亡くなったときの身長にあわせてパネルを切ってオブジェを作るなんて、遺族にとってはつらかったと思うよ。鈴木さんはなんでわざわざそんなことをさせたのかな?」「死んだ子はもう戻ってこないから」「そう。それをわかってもらうために、改めてその死と向き合わせたんだね。そして鈴木さんは、その先に何かが見えてくると言っていた。それは何だろう?」

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ここで先生は、後ろにはってある模造紙を指しました。そこには番組の流れに沿って、鈴木さんの気持ちの変化が色分けされています。零さんの死を受け入れられなかったころは青。生命のメッセージ展を企画しころは黄色。そしてその先はオレンジ色になっていました。先生は番組のラストシーンの鈴木さんの笑顔をみんなに見せながら、オレンジ色の部分に〈私自身が輝いて生きよう〉〈生きることを大切にする 自分の人生、亡くなった人の人生〉という紙をはりました。

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★ 悲しみに直面したとき、どうしたらいい?

先生はみんなの方を向き直りました。「最初先生たちは、このことをみんなにわかってもらいたいと思ってた。でも何度も番組を見て考えるうちに変わってきたの。鈴木さんは、どうして青からオレンジに変わったのかな?」「共感したから」という声があがり、先生は〈共感〉という紙をはりました。「そうだね。やり場のない思いも、人とつながることで乗り越えられる。悲しみはそのままにしていてはだめ。どんなことも人とのつながりの中で乗り越えられるということを、みんなにわかってもらいたいの」

ここで、赤ちゃんを亡くすという経験をしたある保護者のかたが前に出て、話をしてくれました。大切な娘を亡くしたばかりのときは外に出ることさえいやだったけれど、これではいけないと思って少しずつ外に出ていったこと。そして少しずつみんなと楽しく過ごせるようになっていったこと。お母さんは、今日は自分も大切な勉強をさせてもらったと語りました。

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こうした授業の内容を受けて、子どもたちはワークシート〈③あなたにとって"輝いて生きる"とはどんなことでしょうか〉に自分の思いを書き、積極的に発表していきました。「自分の夢を追いかけて、人を大切にしながら生きていく」「神様にもらった命を大切にする」「親を悲しませないように、自分らしく精一杯生きる」・・・先生は一人ひとりの声にうれしそうに耳を傾けていました。その中に「悲しんでいる人がいたら他人事にはしないで、いっしょに悲しんでなぐさめる」という声があり「そうか。あなたが鈴木さんになってあげるんだね。すばらしいね」と目を細めていました。

最後に2組担任の樋口隆宏先生が、みんなにメッセージを送りました。「君たちはとても仲がいいよね。時々泣く子がいてもだれかが声をかけて、またすぐみんなで笑顔になれる。先生はこれこそが"共感"だと思う。これから中学校に行っても、いまこの瞬間に感じている友だちとのきずなを絶対に忘れないでいてほしい」。子どもたちは、真剣な顔でうなずいていました。

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★ 授業を終えた円浄先生と樋口先生にお話を聞きました。

――子どもたちが番組を見ているのと並行して、先生たちは番組の流れを模造紙に整理していましたね。

はい。今回の授業で苦労したのは、いかに45分間に活動をおさめるかということでした。そこで削れる時間は板書の時間しかないと、あらかじめキーワードをカードにしておいてそれをどんどんはっていったんです。番組と同時進行で内容を整理していったので、子どもたちは番組の内容をふり返りやすかったと思います。

――この番組を通して先生が子どもたちに伝えたいことが、授業の中ではっきりと示されていました。

この授業をするにあたり2人で何度も番組を見て、鈴木さんがほんとうに言いたかったことは何だったんだろうと考えました。「お母さんたちは子どものことを思っている」だけで終わらせたくなかったんです。そして、鈴木さんは人とのつながりを通してつらい体験を乗り越えたこと。息子さんの死と向き合うことで、自分も輝こうと思えたんだということがみえてきました。
でも子どもたちには、子どもを失った鈴木さんの悲しみはほんとうには理解できません。ではこの番組から、12歳の子どもたちに何を伝えられるか。それを考えたとき、どんなに悲しいことも人に伝えることで乗り越えられるということを伝えたいと思ったんです。もうすぐ巣立っていく子どもたちに、絶対覚えておいてほしいと思ったんです。

――道徳ドキュメントは、現実に生きている人の姿を描いています。授業でドキュメント番組を使ってみていかがでしたか?

悲しみを乗り越えた鈴木さんがキャンパスを歩く姿や、息子さんのオブジェと並んだラストシーンの笑顔・・・。こうしたものは映像でなければ見ることができないので、使ってよかったと思っています。
そして番組の内容が、ひとつの価値を教え込む作りになっていないのがいいですね。見る人が多面的にとらえて、さまざまなことを感じることができます。今日子どもたちが書いてくれたワークシートは、あとで大切に見て、一人ひとりの思いをしっかり受け止めてあげたいと思っています。

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道徳ドキュメント
< 教育 (水)午前 10:45 ~ 11:00 >

 

投稿者:デジタル教材スタッフ | 投稿時間:12:05

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コメント

こんにちは、熊本の女子学生です。今日、風邪で学校を休んだのですがテレビで『道徳ドキュメント』の番組を見ました。私は、社会福祉学科で日々勉強をしてます。今回の「ちがう」ことを「ふつう」にというテーマでしたがとても感動しました。みなさん、生きるために一生懸命なんだと感じました。私もつらいことが今までにたくさんありました。けれど、この番組を見てもっと勉強し、多くの人に出会い、いろいろな生き方や考え方を知ろうと思います。

投稿日時:2011年05月27日 10:48 | 河津ひとみ

道徳ドキュメントをご覧いただきありがとうございます。

この番組のテーマのひとつに「人とつながる」ということがあります。私たちは、他人によって傷つけられることもありますが、一人だけでは生きていけないとも思います。他の人の生き様に感動したり共感したり指針としたりしながら生きています。未来を担う子どもたちに「人間も捨てたもんじゃないな」と、番組を見て思ってもらえればいいなと考えながら制作しています。今後ともご支援をお願いします。ありがとうございました。

投稿日時:2011年09月21日 22:04 | 番組制作スタッフ

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