2016年01月21日 (木)昔話法廷「『白雪姫』裁判」授業リポート


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昔話法廷 は、なじみ深い昔話の登場人物を裁判にかける、法教育を目的とした、これまでになかった法廷ドラマシリーズです。この番組の特徴は、最後まで判決が出ないこと。判決は、視聴者であるあなたにゆだねられます。2015年12月22日(火)、京都市立西京高等学校附属中学校3年C組で、昔話法廷「『白雪姫』裁判」 を使った道徳の授業が行われました。昔話法廷 は、公民や総合の時間で多く利用されていますが、今回は道徳の授業で使った例をお伝えします。

★ 王妃は有罪?それとも無罪?

先生はひととおり白雪姫のストーリーを生徒全員で確認した後、番組を流しました。

===【 昔話法廷「『白雪姫』裁判」 あらすじ】===
とある法廷で、裁判員裁判が始まりました。裁判員に選ばれた大平まみは、この裁判の判決を考えなくてはなりません。被告人は、王妃。白雪姫に毒リンゴを食べさせて殺そうとした罪に問われています。
検察官は、白雪姫の美しさに嫉妬した王妃が、白雪姫を殺そうとしたと主張します。そして被害者である白雪姫と、王妃から白雪姫の殺害を命じられたという狩人を証人によび、王妃の殺意が明白であることや、アリバイもないことなどをあげ、王妃は有罪だと主張します。対する弁護人は、王妃が犯人であるという証拠が不十分であるとし、白雪姫が初めて王子に会ったというのは嘘だと訴えます。はたして王妃は、白雪姫を殺そうとしたのでしょうか?それとも、無罪なのでしょうか?
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生徒たちは、自分が裁判員になったつもりで、ワークシートにそれぞれの証言や証拠について重要度を考え、メモを取りながら番組を視聴していました。

番組が終わると生徒たちは、王妃が有罪か無罪かと、その判決の理由をワークシートに書きました。なんと、特殊な「デジタルペン」を使って書くと、書いたものはすぐに電子黒板と先生のタブレットに映し出されます!先生はそれを見ながら、何人かに意見を聞いていきました。

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まず無罪派。「白雪姫の発言には物的証拠がないので、いくらでもうそが言えると思います。信憑性がありません」

次に有罪派。「王妃は以前狩人に白雪姫を殺してと頼んでいます。このことから、白雪姫に殺意を持っているのは明白です」

無罪派「白雪姫は、助けられたときが王子と初対面だったと嘘をつきました。裏で王子と組んで、王妃をはめようとした可能性があります」

有罪派「王妃は、証言をコロコロ変えるので信憑性がありません。状況証拠はそろっているので有罪だと思います」。

★クラス全体の判決は?

ここで先生は、 “裁判員裁判”について、スライドを利用して説明しました。一般の市民が、裁判員として刑事裁判に参加するこの制度。みんな、あと何年かしたら選ばれる可能性があります。「冤罪という、罪のない人に刑を与えてしまうかもしれないので、慎重に考えないといけません」と先生。

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そして最終判決です。“裁判員裁判”や“冤罪”について振り返り、みんなの意見を聞き、最後にもう一度判決を考えます。先生は改めて王妃は有罪か無罪か尋ねました。すると、有罪が22人、無罪が17人。僅差ですが、有罪の人数が上回り、このクラスでの最終判決は有罪となりました。

授業ももうすぐ終わり。ワークシートにこの授業を振り返って感想を書きました。
「裁判は難しいとわかりました。人の言うことは、いろいろなところであやふやな点があるので、正確に見抜くのは厳しいことだと思いました」
「一票の重さも改めて知ることができました。自分が出した意見で相手の未来を変えてしまうと思うと、本当に裁判は慎重にやるべきものだと思いました」と、判決を出すことの重さを実感する声が多くあがっていました。

この生徒たちはあと少しで中学校生活も終わりです。授業の終わりに先生は「これからみんな、クラスでも部活でも、もし、自分が苦手な相手であっても、しっかりお互いを理解し、いろんなことで関わり合いながら、お互い高め合えることができる、良きライバルになってくださいね」と語りました。
理論的な考えを積み重ねて相手とコミュニケーションしていけば、これから彼らは、表面的ではない関係を築いていけるはず・・・。そんなことを感じた授業でした。


★ 授業を終えた久保先生にお話を聞きました。

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――中学校の授業で、昔話法廷 を利用した理由を聞かせてください。

夏休みの選択制の課題の1つに、「NHK for Schoolのコンテンツを活用したレポート」を作成するという宿題を出しました。すると学年で70人前後がレポートを提出し、そのうち10人が 昔話法廷 についてリポートを書いてきました。私も夏休みの期間に 昔話法廷 を見ていたので、ぜひ授業で使いたいと思いました。
ちょうど2学期に社会科で「裁判」について学ぶ予定だったので、社会科の先生と相談しながらその学習が終わった後に授業をする準備をしていました。だからあえて、“裁判員裁判”や“状況証拠”といった用語も出すようにしたんです。

――王妃は有罪か無罪か、白熱していましたね。先生ご自身はどちらだと思いますか?

私は無罪だと思います。有罪にするほどの証拠はありませんでしたからね。話し合いを経て、もう少し無罪傾くのかと思っていたので、意外な感じでした。
授業の後、生徒に聞いたら、「白雪姫はいい人で王妃が悪い人というイメージがあるから、王妃を有罪にしてしまった」「王妃が、にやっと笑うのを見て、悪い人なんだと思った」と言っていました。論理だけでなく、その人のイメージや印象も判決に影響していたようです。

――タブレットPCやデジタルペンなどの機器も活用している様子が印象的でした。

中学生になると、授業中積極的に発言したり、思ったことをつぶやいたりする生徒が少なくなります。タブレットPCとデジタルペンを利用することで、書いた内容が瞬時に電子黒板と教師用のタブレットに映し出されるので、どの生徒が考えたことも、みんなで共有することができます。あまり発言しない生徒の考えがわかることだけでなく、できるだけ多くの生徒の意見をみんなで共有したいときに、役に立っています。今回の授業では、もう少し時間があったら、グループに分かれて意見交換もさせたかったです。
これからも生徒たちと一緒に、NHK for Schoolの番組を楽しみながらいろいろなことを考えていきたいと思っています。

昔話法廷
番組ホームページ では、3本すべての回をまるごと見ることができます。

投稿者:デジタル教材スタッフ | 投稿時間:17:30

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